モグラの巣穴
「嫌ああぁぁぁぁ~~~~」
「うわああぁーーーー~~」
穴の中の坂を転げ落ちるジョージとミリカ達。
二人は、何処へと続き、どれ位の長さか分からない、穴のそこへと落ちていく。
『ヒューードンッ!?』
「うわっ」
ジョージは、穴の底に頭から派手に激突してしまった。
その後を追って、今度は天井の穴からミリカが落ちて来た。
『ドンッ?』
「硬っ! 何これ?」
「おっ! 重いっ! ・・・ミリカ、早く退いてくれ」
ミリカは、ジョージの背中の上にドンッと落ちた。
アンデッドであるジョージには痛覚は無いが。
衝撃や重みは感じる事の出来る触覚は残っている。
「重いって、セクハラよっ!」
「いいから退け、デブスッ!」
ミリカとジョージは喧嘩を始める。
アホとバカ二人、こんな時に何をやっているのかと。
アレリオやシャリル達が、この場に居たら呆れてしまっているだろう。
「ギキーーキギーー」
「キキギーーギーー」
バカとアホを取り囲む、牙モグラ達はジリジリと迫り。
奇妙な鳴き声を上げ近寄って来た。
「は? ヤバイっ! ミリカ、下がれっ!」
「下がれって、もう後ろは壁よっ!」
ジリジリと迫り来る牙モグラに、二人は壁際まで追い詰められてしまう。
雑魚とは言え、幾ら何でも、この数を相手にしては勝ち目は無い。
牙モグラの数は、うじゃうじゃと大勢で数えても分からないほど沢山居た。
「取り合えず、戦うぞっ!」
「それしか無いわねっ! フレイムボール、フレイムボール」
二人は戦い始める。
ジョージは、ショートソードを振り回し牙モグラを倒し。
ミリカは、レイピアを振るい、反対の手で火炎魔法を撃ちまくる。
「リーダー殿、ミリカ殿、ただ今救援に参上致しましたぞっ! エアーストーム」
リュージンが天井の穴から落下しながら、眼下の敵に向けて、風魔法を何発も放つ。
「キギーー」
「キキギーー」
風魔法は牙モグラを次々に吹き飛ばし。
降り立ったリュージンは偃月刀で牙モグラを薙ぎ倒していく。
「リーダー、ミリカ様、御無事でしたかっ」
「リーダー、お姉さま、御怪我は有りませんか」
アレリオは穴から落ちて来るや否や、そのまま牙モグラ達に斬りかかって行く。
その後を追って、穴から落ち出てきたシャリル。
彼女は、ジョージとミリカ達に素早く駆け寄ると怪我は無いかと心配する。
「とっ!? うわっ! 敵だらけだっ!」
「リーダー、お姉さまーーどこ~~」
ビョルンとニウ達も、穴から降りてきて、牙モグラと直ちに戦闘を開始する。
『ドドドドドドドドドドドドドーー』
「これでも、喰らいなさいっ!」
ビョルンは、周囲を囲む牙モグラに音波魔法を撃ちまくり。
ニウは、ダンで殴り掛かり牙モグラを倒して行く。
「ぐっ! 斬っても斬っても、次から次へとこいつ等、しつこいぞっ!」
「邪魔よっ! モグラ共がっ! サンダーショット、サンダーショット」
アレリオは、長剣モンタンテを横に振るい。
三匹纏めて牙モグラの胴を跳ねる。
シャリルは、雷撃魔法で牙モグラを感電死させていく。
「キギキギーー」
「キギーーキギーー」
牙モグラ達は直も執拗に、ジョージ達アンデッドのパーティーに向かって迫り来る。
「クソッ! 数が一向に減らない、こうなったら・・・皆あの天井の穴を狙い撃てっ!」
ジョージは自分達の落ちてきた天井に開いた穴に向け、暗黒魔法を放つ。
その指示を聞いた、他の仲間達も穴を狙い魔法を放つ。
「ダークボール、ダークボール」
「フレイムボール、フレイムボール」
『ピシッ! ガラッガラッ! ドゴォォォッ』
「キギーー!?」
「キキギーーギーー!?」
天井の穴の付近に様々な魔法が当たり。
天井の土が崩れてきて、牙モグラ達は大量の土砂の下敷きに成ってしまう。
殆どの牙モグラは、土砂の下敷きに成り潰れてしまうが。
残った牙モグラ達は蜘蛛の子散る様に我先にと逃げ出したが。
二、三匹だけ横穴を掘り逃げ出すのに成功するが。
残りは、ジョージ達に無惨にも剣の刃に切り裂かれたり。
魔法の威力で、虐殺されてしまった。
「一か八かと思ったが、成功したな・・・」
「何とか凌いだわね・・・」
牙モグラの群れを漸く倒したジョージとミリカ達が、そう言うと不意に声が聞こえた。
「みんなっ! こっちに石で整備された通路がある」
どうやら、その声はビョルンが奥に続いている通路を見つけたらしく。
他の皆を、大きな声で呼んだ。