食い終わったら戦いだっ!
「おっし、食い終わったな・・・じゃあ次の食料確保の為の魔物狩りと東の渓谷を目指してまた行きますかぁ~~」
ジョージは一人呑気に喋ると再び歩き出す。
暫く歩くと岩山が見えてきた。
その岩山は、ギザギザと尖った岩が山を覆い尽くしており。
見るからに、非常に危険な場所だった。
「ここは流石に避けて通るか・・・」
「リーダー、この山を避けて通るならば騎兵隊に遅れを取ることに成りますが・・・流石にこの山は無理ですよね」
皆の安全を考え、避けて通った方が得策だと言ったジョージに対し。
シャリルは、騎兵隊に遅れを取る事を考慮して進言した。
「幾らなんでも危険過ぎだろ、ここは」
「そうよねーー? ここはちょっと・・・他の道を探しましょう」
ジョージとミリカ達は、ギザギザ山の尖った針鼠の背に生える毛針の如き岩と。
立ちはだかる急な斜面を見上げながら呟いた。
「リーダー、では山を大きく迂回して渓谷を目指しましょう」
『ガバッ』
「キギーーキギーー」
突如、シャリルの足下が盛り上がったかと思う間もなく。
地面の中から、牙モグラが現れた。
「シャル、危ないっ!」
アレリオは、腰の鞘からモンタンテを抜き取り。
急ぎ、シャリルの足元の牙モグラの登頂部を狙い。
モンタンテの鋭い切っ先を、素早く突き刺した。
「キギーーギッ!? キ・・・」
ドサリと地面に倒れる牙モグラ。
その姿を見たアレリオは、モンタンテを振るい、刃に付いた血を払った。
「シャルッ! 気を付けてくれ、敵は何時何処から来るか分からないんだから」
「ええっ! 有り難うアレリオ」
アレリオは、危うい処だったシャリルを気遣い言葉を掛けると。
当の彼女は、笑顔と共に礼を言ったが。
『ドドドドドドドーードッ!』
「二人ともっ! まだ戦闘は終わってないよっ!」
『ゴンッガンッ』
「まだまだ、地面の下に敵は腐るだけいるわよっ!」
ビョルンは、愛用の魔法楽器ニッケルハルパを使い。
地面から、ワラワラと飛び出して来る牙モグラに音波魔法を撃ち込む。
ニウは、両手に備えた格闘武器ダンで牙モグラを殴り飛ばし。
もう一匹の牙モグラを、回し蹴りで倒す。
『ガバッ』
『ガバッ』
『ボゴッ』
「キギーーキギギーー」
「キギーーキ」
二人が幾ら倒しても、次々と牙モグラは、地面から雨霰の如く。
次から次へと、弾丸のように飛び出てくる。
『スパッ』
『ザシュッ』
「はああっ! エアーストーム、エアーストーム」
リュージンは偃月刀を振り回して、一匹の牙モグラの首を撥ね飛ばし。
二匹目の牙モグラを、頭から真っ二つに切り裂き。
風魔法を、他の牙モグラに向け連続ではなった。
「皆っくぅっ!?」
『ボゴンッ』
ジョージの足下にも牙モグラが現れ。
地面を崩して、穴に引き込もうと彼の足に掴みかかる。
「話せっ! 話せ、モグラ野郎っ!」
「キギーーキギーーキ」
「キギーーキーー」
「キギーーギキギーー」
穴から次々と、牙モグラが現れジョージの下半身に絡みつく。
彼は、ショートソードで斬りかかるが。
斬られても、斬られても、牙モグラは穴からどんどん這い出て来て途切れなく現れる。
「ジョージッ! フレイムボール、フレイムボール、フレイムボール」
ジョージの危機を救うべく。
険しい表情をしたミリカは、牙モグラに向けて火炎魔法を連続で放つ。
「キギィーー!?」
「キキギーー!」
ジョージに群がる牙モグラ達。
奴等は、何発もの火炎球が当たって、身体中の体毛に燃え広がり、炎上する。
「ミリカっ! 助けっ!?」
「!?きゃっ?」
『ボゴッガバッボゴボゴッ』
今度はミリカの足下にも大量の牙モグラが現れ。
二人は強引に穴の中に引きずり込まれてしまう。
「リーダーーー」
「お姉さまーー」
アレリオとシャリル達は、穴の中へと、強引に引き摺り込まれる二人に向かって叫ぶ。
「二人とも叫んで無いで、リーダー殿と、ミリカ殿を追いますぞっ!」
リュージンは、そう口から発すると。
牙モグラが開けた真っ暗く、深さの分からない穴の奥底に飛び込む。
「そうだなっ! シャル、行こう」
「アレリオ・・・行きましょう」
「僕らも行かなきゃ」
「お姉さまっ! 今助けにっ!」
アレリオ、シャリル、ビョルン、ニウ達。
彼等四人も、何が待ち構えているのか不明な深い穴に飛び込んだ。