グダグダと・・・
「よしっ! 作戦はこうだっ!」
ジョージは歩きながら、仲間達に自分の発案した作戦の詳細を説明をする。
勿論、彼は大した事の無い作戦の内容を自信満々に語る。
「奴等が橋の中央まで来たら挟み撃ちにしよう、橋の下からはリュージンとシャリルが右手から橋に攻撃を仕掛け、左手からはビョルンが攻撃を仕掛ける・・・そして橋の補強された部分を壊して騎兵隊の前方の隊と後方の隊を分断して混乱させる」
ジョージは、作戦内容を長くダラダラと。
サラリーマンのプレゼンや校長先生の挨拶の様に語り続ける。
「そこに俺とアレリオは奴等の前方から現れて道を塞ぐ、後方はミリカとニウが退路を塞ぐ、その後は奴等を料理するって寸法だ、誰か何か質問は?」
「ジョージ・・・どうやって渓谷の崖を登るの? 挟み撃ちにするって言うけど・・・崖を登んなきゃ無理じゃない、その為の階段とか坂は有るの?」
質問を求めるジョージ。
ミリカは、彼に作戦の細かい部分である、アレやコレや。
それ等をどうするのかと質問を投げ掛けた。
「それは・・・無いな・・・」
「じゃあさっ! ここでグダグダと話ながら歩くよりも現地に行って考えた方が良いんじゃない? 橋よりも良い場所を見つけて、そこで待ち伏せすれば」
ジョージに、ミリカはそう提案した。
「そうだよな・・・行ってから決めるかっ!」
「じゃあ、行って見ましょう」
ジョージとミリカ達は話を止める。
結局グダグタな作戦の説明を止め。
現地へ行ってから、細かい事を考える事にした。
七人のアンデッド達は、歩く速度を上げて東に進む。
「そう言えば、ビョルンは名字を名乗ったけど、ニウは名字を名乗って無いよな」
「えっと、それはアタシの名前は長すぎて・・・」
「え~~知りたいっ! 知りたいっ!」
ジョージは名字を教えて欲しいと、ニウに言う。
彼女は長いので、言いたくないと言うのだが。
ミリカは、どうしても教えて欲しいのだと騒ぐ。
「お姉さま、がそこまで言うのなら・・・では言いますよ、ニウ・ターンラット? ~~? ーー!?~~!? ~~! ~~?」
お姉さまの為ならばと。
仕方無しにニウは早口言葉を喋るが如く、高速でフルネームを言い続ける。
「にっ! ニウ、分かったっ! もう良い」
「長すぎて分からないっ!?」
ジョージとミリカは余りにも長すぎるニウの名前に驚いてしまった。
「ニウ、そう言えば・・・前はエッペンて名乗っていたよね? それと僕と出会う前はビアーーって名乗っていたとか・・・君は名前を変えすぎだよ」
「だって、アタシの国じゃあーー名前は長いのは当たり前だし、しょっちゅう名前を変更するのも当たり前だしぃ」
ビョルンはそう言って、ニウに文句をぶつけるが。
当の彼女は当たり前だしと言うが。
「まあ・・・これからは名前を無闇に変えないでくれよ、ニウ・・・ポンポン、ポンポン名前を変えられたら迷惑だからな」
「リーダーがそう言うなら・・・」
リーダーであるジョージ。
彼の言葉には、配下のアンデッドであるニウも逆らえず渋々従う。
「そうっ! それに、今のニウちゃんのニウって名前は呼びやすくて良い名前なんだから変えないでねっ?」
「はいっ! お姉さま♥」
自らが心の底から崇拝と敬愛の念を抱き。
女神の様に信仰するミリカに、そう言われたニウ。
彼女は、顔に眩しい程の笑顔と紅潮を浮かべて喜んで答えた。
「しっかし、最初は四人だったのに、今や七人のパーティーになるとはなぁ」
「ふふっ♥ こんなに人数が増える何てこれもリーダーとお姉さまの人徳のおかげで御座いますね」
アレリオとシャリル達は、増えた仲間達は指導者たる二人の人徳のおかげだと言う。
「そうっ! 全ては私の人徳のおかげよっ!!」
(・・・人徳じゃあ無くて感染血液と血族化の洗脳効果のおかげだろっ! アホッ! ・・・)
腕を組み、胸を張って言うミリカ。
彼女に対し。
ジョージは心の中で、中川家礼二に悪口を言う兄の如く、彼女の事をアホだと思った。
「リーダー殿、そろそろ食事の時間にしましょうぞ」
「そうね、ジョージ、お腹空いたわ」
リュージンが、食事の時間だと告げると。
お腹を擦りながら、ミリカも腹が空いたと言い出した。
「んあ? もうそんな時間か? んーー飯にするか、誰か交易所から食料や飲み物を持って来なかったけか? 俺はハムとウィンナーがあったんで持ってきたんだけど・・・」
「リーダー、食いもんなら俺がベーコンとジャーキーを持って来ましたが」
「アタシも、ブルーチーズとリンゴを何個か見つけましたが」
「僕は、レモネードとオレンジジュースを」
「リーダー、私はミルクとサンドイッチを幾らか」
「ワシは、紅茶とチョコ菓子を」
「私は、マカロンとソーセージを持ってきたわよ」
ジョージが飯の時間だと言うと。
他の仲間達も次々と持参した食料を懐から取り出す。
アレリオ、ニウ、ビョルン、シャリル、リュージン、ミリカ達。
彼等は、皆それぞれ交易所から持ってきた食料を分けあって食事を始めた。
「まあ、皆色々持ってきたのか、んじゃ飯にしますか」
こうして、彼等は人間の生肉では無く。
人間の手によって作られた食料に噛みつく事にした。