次はどこへ行くのか?
「あーー起きた~~~~」
「起きたわね~~」
馬鹿とアホ《ミリカ》が時刻が晩方に成ると、深い眠りから目覚め早速行動を開始した。
「他の皆は?」
「さあ~~ねぇ~~? まだ寝てるんじゃない?」
たった今、起きたばかりの馬鹿と阿呆は、そうやり取りをして周囲に気を配る。
辺りに敵の気配は無く、ただ夜風が静かに吹くのみであった。
そして、二人は近くの石に腰掛け、静寂に包まれる中二人は沈黙する。
「!?」
不意にジョージの体に、ミリカが体を擦り寄せる、突然の行為にジョージは戸惑う。
「お前・・・」
「少しの間だけこうさせて・・・」
焦るジョージの問いに、ミリカはそう静かに答えた。
彼女もただ、彼に寄り添い寂しさを紛らわせたいのだ。
「分かった・・・良いよ・・・」
ジョージはも静かに呟いた。
二人は、他の仲間が起きて来るまで短い間、肩を寄せ合い無言で過ごした。
それから少し・・・
「リーダーでは次の目標ですが、どうやら騎兵隊は東の渓谷の石橋を目指して行った模様です」
シャリルは手に持った地図を指差し、ジョージに現況を簡潔かつ手短に説明する。
「この渓谷の川の水は途中で横穴に途切れており、谷底を歩いて通る事が可能です」
「で、そこまで奴等を追跡するか」
シャリルが説明を語り終えると、その話を聞いたジョージは追跡しようと決める。
「リーダー殿、それよりも先回りして奴等を待ち伏せしましょうぞ」
すると、リュージンは敵よりも先に渓谷へと回り込み。
奇襲体制を整え先制攻撃しようと考案した。
「渓谷の石橋は所々崩れており、簡単な補修が成されていますが、橋の中央は石橋が崩れて裂かれており、そこに簡易の木製の手すりや板が敷かれて一応通れる様には成っておりますが」
リュージンは、渓谷の石橋の詳細を丁寧に語る。
「その中央まで奴等が来れば下から攻撃して奇襲を仕掛け、中央の補修されている箇所を壊し、その後橋の両側から挟み撃ちにすれば、奴等を殲滅させる事も可能なはず」
「でもさあ~~太陽の光を浴びたら、俺たちは灰に成ったり、眩しさで戦闘どころじゃないぞ」
そう語るリュージンに対し、ジョージはそう質問する。
「御心配は要りません、渓谷事態が深く、石橋は渓谷のかなり下の方谷底に掛けてあるので太陽の光も届かなく暗い日陰に成っており、石橋の更に下の谷底は暗く太陽の光も届かず一日中暗闇に包まれたままなのです」
「じゃあ大丈夫だな、それとずいぶん詳しいな、リュージンは」
リュージンが語り終えると、ジョージはそう言った。
「はいっ! ワシを始め、この島に来たものは皆あそこを通り、この島の内陸部を目指すのです」
「ん~~そうなのか、って待てよ、待ち伏せが奴等にバレていたらどうする?」
説明するリュージンに、ジョージはそう言った。
「リーダー、騎兵隊には負傷者が居ると、聞き出した情報には有りました、それならば騎兵隊はあの渓谷を通るしか近道は有りません、なので万が一待ち伏せが知られていたとしても、奴等にはあの橋を通るしか道は無いのです」
シャリルは、そう語った。
「そうか・・・」
「はいっ、それに我々は渓谷の谷底からの入り口から入り石橋の真下を目指しましょう、そうすれば奴等よりも先回りできる筈です」
そうかと短く一言呟いたジョージに対し、シャリルは自らの意見を具申した。
「んじゃ、お喋りはこの辺くらいにして歩いてそこを目指しますか」
そう言って話を御開きにした、ジョージ。
彼は、東の渓谷の入り口を目指し再び歩き出した。
「目指すは渓谷の入り口か、めんどうだが行かなきゃな・・・」
「ジョージ、文句言わないのっ!」
文句を言って歩くジョージに、ミリカはそう言った。
一方その頃、騎兵隊は・・・。
「もう少しで、この山も下り坂だ」
(・・・師承・・・)
騎兵隊の誰かの声が聞こえる。
それが、誰の声か。
そんな事も気にしないキャロルは、浮かない顔で、馬車の上で見張りをしていた。
騎兵隊の編成は馬に乗った騎兵が二十人と馬車が三台。
そして、馬と馬車の屋根の上には、銃や弓を持った兵士達が警備に立ち。
それと、魔法使いが護衛として見張りに就いていた。