後始末
ベッドから転げ落ちたファレドは、いきなり現れたアンデッド達に驚き、竦み上がる。
更に、扉から三体のアンデッドが、ぞろぞろと入って来る。
「あっ! あっ! あ!? アンデッド・・・」
「ガタガタ、うっせーなっ!!」
床に腰を落として、ブルブルと震え上がるファレドに対し。
小屋に入って来たばかりのアレリオはそう言った。
「んんっ! あっ? お前は、あの時の?」
「ああんっ? そうだよ、どおすんだよ、この傷はっ!!」
ファレドは、スケルトンであるアレリオを指差し。
自らが、仲間を助ける為に銃弾を当てた相手だと気付いた。
一方、アレリオの方は撃ち抜かれた下顎の傷痕を見せつける。
彼の傷は、シャリルの回復魔法で治される予定だった。
だが、当人はスケルトンであり、出血等の心配が全く無い。
更に、ファレドから騙して、情報を聞き出すのを優先した為。
まだ弾痕が残り、穴が開いたままと言う状態であった。
「ゆっ! 許してくれっ! あの時は仕方がっ!」
「それよりも・・・俺のシャルに手ぇ出しやがって」
ファレドは謝ろうとするが。
アレリオは銃で撃たれた事よりも、シャリルに手を出された事に怒り。
腰の鞘からモンタンテを抜き取ろうとする。
ジョージは陰から、シャリル、ファレド、アレリオ達の三者を見て考える。
(・・・あれじゃまるで美人局をやるヤクザと情婦・・・そして騙された哀れな被害者だな・・・)
と、三人じぃーーと見つめて思う。
「やっ! やめっ! 止めてくれぇっ!」
『ガシッ』
『スッ』
「美味しそうねっあんた」
「動かぬ方が良いぞ」
アレリオのモンタンテにビビる、ファレド。
彼の両腕が、後ろからガシッと、ニウに捕まれて動かせなくなる。
そして、首筋には偃月刀の刃がスッと静かに、リュージンによって添えられる。
「しゃっ! シャリルさんっ! お助けを~~」
「ふふ・・・まだ気づかないんですかぁ?」
ファレドは恐怖し、シャリルに助けを求めるが。
彼女は、竦み上がる彼に対し、ふふっと不気味で妖しい笑みを浮かる。
「へっ?」
「この声に・・・聞き覚えは有るでしょう・・・」
頭に?マークが浮かび、はっとなるファレドに対し。
シャリルは右手をかざして、人差し指をむける。
「あっ! あっ! まさかっ!? しゃっ! シャリルさんも、アンデッ!?」
「サンダーー」
ファレドは、シャリルもアンデッドの仲間だと気付いたが、時既に遅し。
シャリルは、ファレドが台詞を言い終える前に雷撃魔法の詠唱を行う。
「やっ! やめっ!」
「・・・ショットーーーー」
遂に、シャリルの雷撃魔法が、怯え竦み上がるファレドに対し、放たれた。
「ぎいぃぃやあ~~~~~~」
ファレドは断末魔の叫びを上げて、床に倒れた。
「・・・ふぅふぅ・・・」
だが彼にはまだ息があった。
ふぅふぅと息を吐き、苦しそうに倒れている彼の耳元で、再びシャリルは優しく囁く。
「ふふふ、ファレドさん・・・貴方のおかげで良い情報を手に入れる事が出来ました、その御礼に貴方も我々の仲間に変えて上げましょう」
そう言うと、シャリルは彼の口に水筒を近づけ。
中身の人間の血液と自らの唾液の混ざった物を彼の口に垂らす。
「貴方はこれから腐肉の塊に成りますが、もし我々の仲間に入りたいのならば、レベルを上げて進化してから追い掛けて来てくださいね」
そう、ファレドの耳元でシャリルは語り終えると。
「おいっ! シャリル一人言を言ってないで、準備を整えろ早くしないと朝日で殺られちまうぞ」
「はいっ! リーダー準備は出来ております」
ジョージの問いに、シャリルはそう答え。
他の仲間達と共に、交易所から少し離れた場所に穴を掘り、そこで眠りについた。