一方その頃、バカとアホは・・・
商人や傭兵の死体から血を啜る赤い服装の女性の影。
「あ~~美味しい~~~~」
「おいっ! ミリカ、血ぃ~~吸いすぎて腹壊すなよ」
傭兵の死体に、美味しそうに吸い付いているミリカに対し、ジョージはそう言った。
「あーデリカシーのない発言っ! セクハラで訴えるわよっ!」
「どこに訴えるんだ? 裁判所か? ここにはんなもん無いだろ、それにもう、三体も人間の死体から血を吸っているだろう」
ミリカはふざけて、セクハラで訴えると言うが。
ジョージは、それを気にする事なく、血を吸いすぎていると注意する。
「少しは、シャリルやアレリオ達に残しておかないと、アイツ等も不満に」
「分かってるわよ、ちゃんと皆の分も残して有るからっ!」
皆の分も残しておけと言うジョージに対し、ミリカはそう言って返事を返す。
と・・・そこへ。
「リーダー、ミリカ様、周囲に敵影は有りません・・引き続き僕とリュージンさんの二人で見張りを続けますが・・・」
二人の所に報告に現れたビョルンはそう言った。
「ああ、頼むよビョルン、後でお前らの分の人間の血液や肉を上げるから頑張ってくれな」
「そっ上げるから頑張ってね~~」
二人がそう言うと、ビョルンは。
「はいっリーダー、ミリカ様、リュージンさんにも伝えておきます」
と言って、見張りに戻って行く。
「さて・・・と、シャリルちゃんの方はどうなっているのかしらね?」
「なら行って見るか?」
二人は、シャリルとファレド達の居る小屋の方を目指し歩き始めた。
それから、その小屋の方では・・・。
「それで・・・貴方と仲間の商人の方々はここを通る魔物猟師や冒険者を相手に補給を行って居たと・・・」
「そうです、我々はそれ以外にも東のレンジャーキャンプや西の魔物猟師団・夜営地などにも物資を届けておりましたが」
シャリルとファレド達は話す。
「猟師団夜営地の遥か西の中規模なキャンプ地が五体のアンデッドに襲われたとか? ここを通ろうとした騎兵隊の一団に聞いたので、我々はここも危険になると思い」
ファレドは語る。
「交易所を引き払い、東の方へ移動しようかと思っておりましたが・・・そこをアンデッドに襲われた、と言う訳です・・・」
ファレドは語り終えると、シャリルは。
「そう・・・その遥か西のキャンプ地に居た方々は今はどの様な状態に成っているのでしょうか?」
「騎兵隊の方の話しでは、負傷者を沢山出した様でキャンプ地の隊員の三分の二が別のキャンプ地に移動し、残りの負傷者は騎兵隊の馬車二台で、この交易所の先、東の渓谷の吊り橋を越えて港町まで運ばれるとか」
シャリルの質問に、ファレドはそう答えた。
「そうなの・・・じゃあもう良いわね」
「シャリルさん? どうしたのですか?」
突然下に俯むき、不気味な笑みを浮かべるシャリルを不思議に思い。
ファレドは、キョトンとした顔で、どうしたのかと問うが。
『コンコン』
「シャリル、入って良いか?」
「シャリルちゃん、そっちはどうなってるのぉ?」
扉を叩く音が聞こえ、ジョージとミリカ達がシャリルを呼んだ。
「はいっ! 必要な情報を得ましたので、どうぞ、お入り下さい」
シャリルがそう言うと、扉が開かれる。
「じゃ入るぞーー」
「お邪魔しまぁ~~す」
『ガチャ』
扉を開き二人の人影。
ジョージとミリカ達が、小屋の中に入って来た。
二人のアンデッド達の姿を見た、ファレドは。
「ひっ!? ひぃぃぃっ!!!!」
ファレドは入って来た二人のアンデッドに驚く。
一人は騎士の鎧を着ていて、顔が負傷して腐り。
その身が、人間ではない事を物語っていた。
もう一人の女は、赤い服に血の様な真っ赤な髪と瞳に唇。
そして、口から誰かの死体から吸いとって来たのであろ血を垂らし。
己が吸血鬼であろう事を、隠しもせずに堂々と晒していた。
「リーダー・・・後、一時間で夜が開けますよ? そろそろ荷物を纏めてここから出ないと・・・」
またもう一人、顔に黒と紫のメイクを施し。
黒い服装の悪魔のような、銀髪の男が現れる。
「ひいぃぃーーお助けを~~!?」
ファレドはそう悲鳴を上げて、ベッドから転げ落ちる。