進路はまた東へ・・・
ジョージ達アンデッドは、暗い夜の灰色の地面を歩き続ける。
「なあ・・・そう言えばさあ? 俺やリュージンとニウは、アジア系の顔だろう?」
ジョージは語り出す。
「何かさ異民族に対する偏見とか顔の違和感とかは無いのか? アレリオとシャリルは・・・」
ジョージの問いに、アレリオとシャリル達は。
「アジアって? アスア地域の事ですか? 俺は正直言って、ジョージ様の顔は出会った頃から、既にゾンビでしたのであまり人種の事は気になりませんでした」
アレリオはそう話す。
「リュージンさんとニウの事は人種と言うより、人間って理由で憎かったですね、それもアンデッド化して仲間に成ってくれて殻は憎しみも無くなりましたが」
アレリオはそう話した。
「私はジョージ様がモンガル人のゾンビだと思い、正直に申しますと偏見が有りましたが、今はその愚かな感情も消え・・・」
シャリルは話す。
「偉大なるジョージ様とお姉さまに忠誠を尽くす一体のアンデッドと化してからは、アレリオと同様に人種がどうこうと言うよりも人間その者が憎くて堪りません」
シャリルも話した。
「んっんん・・・そうかそれなら良いんだ・・・」
(・・・相変わらずにスキルの洗脳の力は凄いな・・・本当はこんな力は使いたくないんだけど・・・俺とミリカが元居た世界に帰る為には皆に迷惑を掛けるけど・・・この力はこれからも使わせて貰うし・・・これからも強そうな人間を見つけたら仲間に成って貰うぞ・・・)
ジョージは、アレリオとシャリル達に返事を返し、心の中でそう思った。
そうこうしている間に、沢山の野生の魔物の集団が見えてきた。
「あれは、クリームゴートの集団ですね」
「今度は、山羊肉って訳ね?」
「これでまた、アタシはご飯が食べられるわね」
魔物の名前を教えるシャリルと、食欲旺盛なミリカとニウ達。
「あいつらを囲んで仕留めよう、包囲すれば逃げられないからな? ついでにビョルンをあいつらの中心に放って狩りをさせよう」
ジョージは、そう言って作戦の案を出した。
「俺とニウは背後から中心に追い込んで行く、リュージンとアレリオは奴らが逃げ出したら直ぐに左側から囲い込め、ミリカとシャリルは右側からあの無駄な贅肉たっぷりの山羊共を攻めろ」
ジョージはそう言って、指示を出す。
「囲んだら最後にビョルンを群れの中心に放って暴れさせる、質問は無いなっ・・・じゃっ! 行こうかっ!」
全員がが頷くのを確認するジョージ。
彼はニウと共に、ビョルンを連れてひっそりと動き出す。
ビョルンは、口に縄を猿ぐつわをされる様に顔に巻き付けられる。
アレリオとリュージン達は、左側面に回り込み。
奇襲を、いつでも行える様に攻撃体勢を整える。
ミリカとシャリル達は右側面から密かに進む。
集団で休んでいるクリームゴートにゆっくりと近づいて行き。
魔法を放つ準備を整える。
そして、ジョージとニウが後方へたどり着くと。
「攻撃開始ぃ~~~~!!」
「ご飯と、ビョルンの為に突撃ぃーー!!」
ジョージとニウ達は、クリームゴートに襲い掛かった。
「ではこちらも、エアーカッター」
「うおおぉーー!! リーダーとミリカ様の飯になれよ山羊どもっ!!」
リュージンは、風魔法を放ちながら掛け出して行く。
アレリオは、雄叫びを上げながらクリームゴートを追い込む。
「ご飯っ♥ ご飯っ♥ 早く食べたいなっ山羊の肉っ♥ フレイムボール、フレイムボール、フレイムボール」
「お姉さま、奴らを肉に変えてやりましょう、サンダーショット」
ミリカとシャリル達も魔法を何発も放つと、クリームゴートに突撃して行く。
そして・・・アンデッド達は、ある程度クリームゴートを囲い込む。
ジョージは敵が怯んだと見て、腐肉の塊のビョルンを群れの中心に放つ。
「グアアァォーーーー」
ビョルンは雄叫びを上げて、クリームゴートの群れへ突っ込んで行く。
暴れ回り、殴り蹴り、引き裂き、噛みつく。
次々と、クリームゴートを血祭りに上げていく、ビョルン。
魔物として雑魚である、クリームゴートを虐殺し終えると。
ビョルンの体に異変が起きた。
「グアアアァォォーーーーーーッ!!」
ビョルン雄叫びを上げ、両膝を地面に着き、腰から上の体をのけ反らせる。
両手をだらんと開き、顔を天に向ける。
「あれは・・・遂に始まったかっ!?」
「リーダー、あれが進化ですね? ビョルンも、これでアタシ見たいに・・・」
ジョージとニウ達は、その光景を遠くから見守って居た。