蠍と蟷螂の対決を見届けよう
『ガタガタガタガタガタガタッ』
砂漠蟷螂は、ジョージ達へ向かって走り出して進んで来る。
「このまま前進だっ! 奴に突っ込むぞっ!」
ジョージは、皆に指示を出した。
彼を含むアンデッド達は、向かって来る砂漠蟷螂に対し。
正面から突っ込んで行く。
砂漠蟷螂と、ジョージ達を追いかけるフォートスコーピオン。
奴等は、お互いを視認してアンデッド達には目をくれず、戦闘を開始した。
砂漠蟷螂は、急に腕を振り上げる。
それから、鋭い鎌の切っ先を、フォートスコーピオンに向け。
奴の腕と鋏の間接部の隙間を狙い、一気に振り下ろした。
『カァンッ』
金属音の様な音を立て、鎌と鋏がぶつかる。
その様子を間近で見せつけられた、ジョージとミリカ達は。
「怪獣映画だこれ・・・」
「ゴジラとガメラ見たいね」
アホ二人は、砂漠蟷螂とフォートスコーピオンの戦いを見て言った。
直も、戦い続ける二匹の昆虫型の魔物達。
「リーダー、今の内に逃げましょう」
「そうだな、よしっ行くぞ」
シャリルが走り出そうとする。
ジョージも、また指示を出して駆け出した。
『ガタガタガタ』
『ガンッ』
『キンッ』
後ろから聞こえて来る音を無視し。
その場からコソコソと逃げ出す、アンデッド達。
砂漠蟷螂とフォートスコーピオンの戦いは苛烈を極める。
砂漠蟷螂は、フォートスコーピオンの目や間接部を鎌で執拗に攻撃する。
フォートスコーピオンの方は、砂漠蟷螂の胴体を鋏で真っ二つに切断しようと襲い掛かる。
連続パンチを繰り出す様に右腕を前に出して掴み掛かろうとする。
そして、フォートスコーピオンが尾のランス状の毒針を振り上げた。
鋏の連続攻撃を回避する砂漠蟷螂の隙を狙い上から突き刺す。
『ドォーーッン』
フォートスコーピオンの突き出した毒針。
それは、周囲に砲撃音にも似た大きな衝撃音を立てる。
音が鳴り響いた後、地震が起きたかの様な揺れを起こし地面に深い穴を開けた。
そして、砂漠蟷螂は、ランス状の毒針に貫かれたのかと思いきや?。
『ガタガタッ』
土煙の中からガタガタと足音をたてて砂漠蟷螂が動き出す。
仕留めたと油断していたフォートスコーピオン。
奴の顔面を、砂漠蟷螂の大鎌が切り裂き、其のまま顔面奥深くに突き刺さる。
ドンッと音をたてて、崩れ落ちるフォートスコーピオンの体。
「ん・・・終わったのか?」
ジョージが後ろを振り向くと。
砂漠蟷螂は、フォートスコーピオンに勝利し。
その死骸の肉を喰らおうとしている所であった。
「今の内にまたまた逃げ出そう」
ジョージがそう言うと、アンデッド達はそそくさと逃げ出して行く。
こうして、フォートスコーピオンと砂漠蟷螂との栄誉ある訳ない。
アンデッド達の撤退戦は終わりを告げた。
その後・・・。
「ここまで来れば、もう追っては来ないだろう」
「あーー死ぬかと思ったわぁーーもう死んでるけど」
ジョージは振り向いて言うと、ミリカは愚痴った。
「アタシは、もう二度とあんなデカブツと戦うのは御免です」
「同感です、私もあんなデカイのとは戦いたくは有りません」
「しっかし凄い大きさだったなぁ、あの蠍は」
「蟷螂も中々の大きさじゃったな」
ニウ、シャリル、アレリオ、リュージン達も愚痴った。
「皆今日はもう寝よう、穴を掘って地下で就寝だ」
「ええーー食料わあーー? お腹ペコペコーーーー」
「リーダー、アタシもお腹がすいて眠れません」
ミリカとニウ達は、我が儘を言って、ジョージを困らせる。
「二人とも、あんなのとまた戦いたいのか? それなら良いんだが・・・」
ジョージが二人を脅す。
「やっぱ、明日まで待つわぁ~~もう寝ましょっ! ジョージッ!」
「アタシも気が代わりましたっ! 疲れているので明日の晩まで就寝させて頂きます」
ミリカとニウ達は、焦りそう言って、ワガママな態度をやめた。
「リーダー殿、私は罠を仕掛けますので少し時間を、明日の晩方には何か捕まっているやも知れませぬからな」
「ああ、分かった」
リュージンはそそくさと歩き。
罠を仕掛けに、周囲の地面にトラバサミを仕掛けていく。
ジョージはそれを聞いて、分かったと返事を返した。
「俺はリーダーを手伝いますよ」
「リーダー、私は見張りを」
アレリオとシャリル達は、そう言った。
「んじゃあ、俺は穴を掘りますか、ダークボール、ダークボール」
闇魔法の暗黒球を地面に放ち穴を開けていく。
そして、ある程度深い穴を掘ると。
底に入り、ジョージとアレリオ達は鎧の籠手で穴を横に掘る。
それから、二人はテントを入れる位の穴を開けると外に出て仲間に告げる。
「出来たぞ・・・寝場所が」
ジョージが言うと、仲間達は全員で中に入って寝た。