東に向かえ
灰色の砂が積もる砂漠。
灰色の地面。
この境目までたどり着いた、ジョージ達アンデッド達のパーティー。
砂漠の南から吹く夜風は、夜なので冷えきっており。
ヒンヤリと肌を冷たく撫でる様に北へと通り過ぎて行く。
「着いたな・・・東に向かうか・・・」
とジョージは呟く。
「ねぇ、ニウちゃんっピーポープってさあ何なのかな?ステータスの説明には東南アスア地域のシャムタヤ王国の死鬼って書いてあるけど?」
ミリカは、ニウに質問をする。
「お姉さま、ピーポープ・・・つまり、ピーはアタシの国の精霊であり、また悪霊でもある霊的な存在で、ピーポープは人に取り付く悪霊の様な恐ろしい死鬼で、取り付かれた人は、人肉を好んで食べるようになると言われています」
ニウは、自分の進化したピーポープの事を語る。
「まあ~~今はお姉さまのおかげでアタシ自身がピーポープに成って仕舞いましたが~~」
ニウは嬉し恥ずかしそうに顔を仄かに桃色に染め。
頬に両手を当てて、体をくねらせる。
「ニウちゃぁ~~ん、そんなに私にピーポープに変えて貰って嬉しかったのぉ~~」
ミリカは、ニウが喜ぶ様子を見て嬉しいのかと聞いた。
「はい、ニウはお姉さまにアンデッドに変えて貰ってとっても嬉しいですっ♥」
「うふふっ! ニウちゃ~~んっ! ありがとっ♥ 『チュッ』・・・」
ニウは、ミリカに感謝し。
ミリカは、ニウに突然のキスをした。
「んっ・・・ん~~んむぅ~~ぷはっ」
「んっ!? ん・・・んっ! ぷっはぁ」
ミリカとニウ達は、唇を重ね合わせる。
それを横から、羨ましそうに見ながら嫉妬しているシャリルは。
「お姉さま、先を急ぎましょう」
と言うが。
「だいじょ~~うぶ、シャリルちゃんにも、ちゃあんとキスして上げるからぁ~~ペロ~~『チュパッ』・・・」
ミリカは、シャリルの背中から抱きつき。
顔を両手で押さえ、唇を舌で嘗め回しキスをした。
「っ!? お姉さまっ有り難う御座います」
シャリルはミリカに感謝して喜ぶ。
ジョージはそれを見て、楽しそうだなと思った。
「何よっ! ジョージ羨ましそうにこっちを見てぇ~~? あっ! そうかぁ~~ジョージもこういう事したいんでしょっ!」
ミリカはそう言うと、ジョージは。
「ちがっ!」
と言うが。
「違わないでしょ私・・・」
(・・・ミリカどうせ私としたいんでしょって言うんだろう・・・)
ミリカの言葉に、ジョージはどうせいつものからかいだと思うが。
「達見たいに、アレリオやリュージン、それに、ビョルンともしたいんだあーーーーBLって奴ねっ素敵ぃ~~」
「ブッーーーーーーアホーーーーーーーー誰がそんな事考えるかっ!?」
ジョージにBLと言って、からかうミリカに対し。
彼は口から盛大に唾を吹き出し、アホーとミリカに怒鳴った。
「リーダーー」
「何だっ! アレリオ俺にそう言う趣味は」
アレリオは、ジョージを呼ぶが。
「違いますよ、敵のお出迎えですよっ! それに俺だってそんな趣味有りませんよ」
「ワシもじゃ」
ジョージに、アレリオは敵の襲撃を伝え。
次いでにそんな趣味はないと言う。
リュージンも、それに続いてそっちの趣味はないと言った。
そして七人のアンデッド達の前に巨大な敵、要塞蠍が立ちはだかった。
まるでその名の通り、全長二十五メートルはあろうかと言う。
灰色の巨体は、難攻不落の要塞の如く。
ジョージ達の行く手を阻む様に立ち塞がる。
殻は銃弾すら弾き返す程に硬く。
巨大な鋏は切るのではなく、簡単にジョージ達を挟んで潰してしまうだろう。
尾は、巨木の幹の様に長く毒針。
それは、馬上試合に使われるランスのような形をしており。
やはり、鋏と同様に注すより。
自分よりも、小さい敵を潰す為に使われるのであろう形状をしていた。
「でっかあ・・・何こいつ? ガイサック? それとも、デススティンガーか?」
「あんた、それはゾイドでしょうがあーーーー」
タカラトミー製のプラモデルの名前を出すジョージ。
彼に、ミリカはそれはゾイドでしょうがと怒鳴る。
「お前、良く知ってたな?」
「知ってるも何も、あんたの家で見たでしょうが」
ジョージは良く知ってたな。
と言うと、ミリカはあんたの家で見たと怒鳴った。
「御二人とも、目の前の敵に集中をっ!」
シャリルは、フォートスコーピオンに対して、攻撃体勢を整える。
「リーダー殿、ワシは左から攻めます」
リュージンは、フォートスコーピオンの左側面へと駆け出し始める。
「待てっ! 俺に考えがあるっ・・・」
ジョージは、戦いの準備を始めた仲間に、そう言って作戦を伝えようとした。