商人の語りを聞いて
語りを聞くリュージン。
「逃げ込んだ子供を執拗に付け狙い、アンデッド化した賢者を筆頭に、ゾンビナイトに、スケルトンナイト、それから若い見た目の赤い格好の女吸血鬼と女僧侶に化けたリッチがキャンプ地を襲撃した・・・と聞いておりますが」
カマルが話終えると。
「そうですか・・・」
「ええ、その後襲撃されたキャンプ地に騎兵隊が到着し、アンデッドは退却していつの間にか消えてしまった・・・と聞いており、子供の方は身寄りがなく仕方無いので、キャンプ地の人が親戚のいるどこかの国の村へ送る為に騎兵隊に預けたと聞いております」
リュージンはそうですか、と短く一言発したが、カマルは話の続きを語った。
「その騎兵隊はどこへ向かいましたか知っておりますかっ!!」
「たっ! 確か、東のこの島の唯一の入り口の港町を目指して向かった筈です・・・」
リュージンは凄い勢いで、子供を連れて行った、騎兵隊の行き先をカマルに聞くが。
リュージンの勢いに驚きながら、カマルは東の港町へ向かったと告げる。
「あっ! いや失礼、ワシはそのアンデッド化した者と子供とは知り合いでな・・・出来る事ならワシが、その子供を引き取ろうと思ってな・・・」
リュージンはそう言うと。
「では、我々はこれにて失礼させて頂きますな・・・」
リュージンは踵を返して、ジョージ達のもとへと歩き出す。
「では皆さん、さようなら」
シャリルも、リュージンについて歩いて行く。
やがて、二人の姿が見えなくなるとカマル達は。
「はあ~~良かったぁ~~ただの旅人で」
カマルは、ため息を吐きそう言った。
「だねっ? カマル、もしあの二人がアンデッドだったぁ~~ら~~」
カマルに、ファビアンは両手を伸ばし、子供を怖がらせる様にして脅かすが。
「ファビアン、冗談を言うのはよしてくれよ」
カマルは、再びため息を吐きながら言ったが。
「冗談じゃ無かったかもね・・・」
ザリーンは、冷ややかな声で喋った。
「ザリーンっ!? それはどういう事だ!」
カマルは、驚きながら言った。
「あいつら本当にアンデッドだったかも、それに男の方は手練れよ・・・」
と言ってまたザリーンは馬車の上に飛び乗る。
「はぁ~~脅かすのは勘弁してくれ」
カマルは、そう言うと焼き上がった肉を食べる。
「アタシも貰うよっ!」
「俺は飲み物を用意して来る・・・」
ファビアンも肉に噛ぶりつき、ダンは馬車に水を取りに行く。
四人の人間達は運良くアンデッドに襲われずに済んだ。
曲がりくねった山道をゆっくりと歩いて行くアンデッドの二人。
シャリルとリュージン達は歩きながら話し合う。
「襲わ無くて正解でしたね、あの四人の内、商人を除いて黒人の女銃兵と大柄な男・・・そして、あの謎のマントを羽織りフードを被った女・・・三人の護衛はかなりの実力者でしたね・・・」
「シャリル殿、あの中ではフードを被った女は一番の手練れじゃったよ・・・あの目・・・あれは人を簡単に殺す目じゃ、恐らくは暗殺者として幾人もの人間を殺して来たのじゃろう」
シャリルとリュージン達は、話し合う。
「本当っ! 襲わなくて良かったわ・・・」
「リーダー殿達が駆けつけて来る前にあの女一人にワシらは殺られて居たじゃろうな、リーダー殿達が来たとしても数を物ともせずにこちらを殲滅していたじゃろう」
襲わ無くて良かったと言う、シャリルに対して、リュージンは語った。
二人は、話し合っている内に山の麓までおりていた。
「山を下りてしまいましたか、シャリル殿、リーダー殿の所へ急ぎ向かいましょう」
「はい、リュージンさん、お姉さま達も首を長くしてお待ちしているでしょうし」
リュージンとシャリル達は、そう言うと。
仲間のいる山の東側の麓を目指して駆け出した。