吟遊詩人を狩りに連れて行こうか
辺りは静まり暗い夜の静寂が訪れる。
洞窟の中にもすぅ~~と静かな涼しい風が流れ込む。
そして、見張りに立つリュージンは、肌に風を感じて涼しむ。
「夜風は涼しいですな・・・」
そう一言呟くと。
「さぁ皆様方、我々の支配する夜に成りましたぞ」
リュージンが、そう言うと皆は起き上がる。
「んっ? リュージン、もう夜に成ったのか?」
「はあ~~よく寝たわぁ~~~」
ジョージとミリカ達も起きる。
「あっ!? 行く時間か」
「はっ! 狩りの支度は?」
「早く、ビョルンを狩りに連れて行きましょう」
アレリオ、シャリル、ニウ達も起き上がる。
「皆様方、吟遊詩人殿を狩りに連れて行く時間に御座います」
リュージンは皆を起こしてそう言った。
「リュージン、分かったよじゃあ行くか」
ジョージは皆に行くと指示を出して歩き出す。
「朝になる前にはここに戻るとするか」
ジョージはそう言った。
「リーダー、それはいいんですがこれからはどこに行くんですか?」
アレリオは、ジョージに聞いた。
「あ~~それは、シャリルに・・・」
ジョージがそう言うと。
「はいっ! ジョージ様、ここより南に灰色の砂漠と呼ばれる場所が有りますのでそこへ向かいましょう」
シャリルはこれから向かう場所の名前を言った。
「そこには確か弱い魔物の群生地と成っており非常にレベル上げに適した場所と成っております」
「じゃ、そこへ向かうか」
シャリルがそう言うとジョージはそこへ向かうと短く言った。
ジョージ達アンデッドの一団は南の砂漠を目指し。
群青色の岩と、固い地面の上をさ迷い歩く。
暫く歩き続けると、群青色の固い地面は消え。
代わりに灰色の地面がジョージ達の足下に姿を表す。
「ここなら穴を掘れそうだな」
ジョージは独りそう呟くと、また歩き続ける。
「ジョージ、あれ? あそこ!?」
ミリカが指を指した方には、小高い山の上に、大きな丸いテントが張ってあり。
薪をしているのが見えた。
「あのテントは商人か、それとも魔物猟師か何かだろうな?」
「ジョージ、あのテント襲う?」
テントの中に居るであろう、人間の職業を考えるジョージ。
彼に、ミリカはテントを襲うかと持ち掛ける。
「可愛い女の子が居たら私が・・・」
「いや、ミリカやめておけ・・・この間の時のニウとビョルンとの戦いで懲りたろう」
ギラギラとした目をテントに向け、涎を垂らして、それを舐めとるミリカ。
テントに居るであろう、女の子を獲物に定めたミリカ。
彼女は、獰猛な獣のように人間を狙うのだ。
ジョージは、テントの中にどんな武器と能力を持っている人間が居るか分からない。
だから、ミリカにやめておこうと言って、テントを襲うのを止める。
「ミリカ、今回はやめておこう・・・下手に刺激しない方が良い・・・」
「えぇ~~でも人間が居たら襲って私達の戦力増強に成るしぃ~~」
やめておこう、と言うジョージに対して、まだワガママを言って駄々をこねるミリカ。
その姿は、まるで子供の様である。
「リーダー殿、ここはワシを行かせて貰えますかな」
「リーダー私も行かせて下さい、テントの人間から情報を得たいのですが、宜しいでしょうか?」
リュージンとシャリル達が、テントに行きたいと申し出た。
「うぅん、リュージンは兎も角シャリルは前のキャンプ地襲撃の時に顔が割れているし・・・ひょっとしたらリュージンの事もアンデッドだとバレているかも知れないしな」
ジョージは思う。
「ジョージ、私は?」
「お前は待機だ」
直も行こうかと言うミリカに対して、ジョージは怒りながら待機だと言った。
「えぇ~~しょんなあぁ~~」
「仕方ないだろうミリカ、もしも、あそこに高位の僧侶が居て、俺たちを浄化しに掛かって来たらどうする」
しょげるミリカを、ジョージは危険なので、行かせられないと言って説得して宥める。
「ジョージ、心配してくれるの?」
「ああっ? そうだけど・・・?」
ミリカはふざけて言うと、ジョージも答える。
「ジョージ、やっぱり私の事愛してるのねっ♥」
キャッキャッとはしゃぐ、ミリカ。
それに対して、ジョージは。
「あをーーはいはいそうですよーー愛してますよーー」
と棒読みの台詞を喋る。
そして。
「リーダー殿、では我々は行っても良いのですかな」
「ああっ! 行っても良いけど、念の為に俺たちは山の下に待機してるからな」
山に行きたいと言う、リュージン。
ジョージは、彼に許可を出して自分達は待機していると言った。
「リーダー殿、分かりました油断せぬように気をつけます」
「リーダー、ではテントへ行って参ります」
リュージンとシャリル達は、山に向け歩き出す。
「行ったか・・・俺たちも迂回して山の西側の斜面に向かうぞ」
ジョージは指示を出す。
「はい、リーダー、俺たちは山の下に待機ですね」
「ビョルン待っててね進化はもう少しだからね・・・」
アレリオとニウ達もそう言ったので、ジョージ達は山の西側を目指して走り出した。