吟遊詩人のアンデッド化はどうする?
アレリオは起き上がり、シャリルに格闘家娘の事を聞いた。
「シャル、その子のアンデッド化は終わったんだな」
そう聞かれた、シャリルは。
「ええっ! この子はニウって言う名前なのよ、ニウこの人? スケルトンはアレリオ・・・かつて人間だった頃から私の相方で・・・」
「永遠の愛を誓い合った、ダーリンよ」
ミリカは、シャリルが喋り終える直前にまた余計で、ややこしい事を言ってしまう。
「お姉さまっ!?」
「ミリカ様っ!?」
シャリルとアレリオ達は、ミリカの吐いた大嘘爆弾発言に驚きのあまり叫んでしまった。
「二人共、愛し合っているんでしょう? だったら、もう私とジョージ見たいに夫婦って事で良いじゃなぁい」
ミリカは、またアホな発言をした。
「ミリカ、もう・・・それくらいにしておけ・・・お前のボケに一々突っ込むのは疲れるし、みんな困惑するからな」
ジョージは、疲れた感じで言った。
「えぇ~~でも私、間違った事は言ってないよ~~」
子供のふざけた言い訳の様な態度をとるミリカ。
「五月蝿いのぉ~~」
リュージンも起き上がる。
「皆様方、これはいったい? 何の騒ぎですかな・・・おやっ? そちらのお嬢ちゃんは、ほぉ~~アンデッド化を終えたのじゃな」
リュージンは寝惚け眼で起き上がり、生まれ変わったニウを見てそう言った。
「リュージンご免なさいね、せっかく眠っている所を起こしちゃって」
ミリカはそう言って、リュージンを起こしてしまった事を詫びる。
「ミリカ殿良いのですじゃ、それよりもそちらのお嬢ちゃんはワシを憎んでおるかいのぉ・・・?」
「はい、アタシッ! 格闘家のニウはもう見も心も既にアンデッドに変わりました、ですから同じアンデッドの仲間である貴方の事はもう憎く無いですっ!」
リュージンは自分が憎いかとニウに聞くが、ニウは憎んでいないと笑顔で答える。
「むしろ、皆さまに仲間にして頂いて感謝してるくらいですからっ♥」
「ほほっ! 其れならば良かったわい」
笑顔で感謝の言葉を述べるニウに対して、リュージンは良かったと言う。
「ワシの名はリュージン、かつては賢者として学院の魔術と科学の研究をしておったが今は御覧の通リーダーであるジョージ殿とミリカ殿にお仕えさせて頂ておる、して・・・お嬢ちゃんの出身は?」
「私・・・ニウの出身地は、東南アスアのシャムタヤ王国になります」
出身地を問うリュージンに対して、ニウは自己紹介をした。
「ガアォーーーー」
吟遊詩人のビョルンも起き上がるが、彼はまだ腐肉の塊なので喋る事が出来ない。
そして、彼の体は暴れられると困るので自由に動けないように縄で縛ってある。
「起き上がったか」
「で・・・この子はどうするの?」
ジョージとミリカ達は、ビョルンをどうするかと迷う。
「地道にレベル上げさせるしかないですね・・・こいつはリュージンさんの時見たいに縄で縛って連れて行くしか無いですし、出会った足の遅い低レベルモンスターを狩らせましょう」
「ニウは、この方を食した為に腐肉の塊からピーポープへとレベルが一気に上がり進化しましたが、この方はアレリオの言った通地道にレベル上げさせるしか方法は有りませんね」
アレリオとシャリル達は、ビョルンを連れて行くしかないと語る。
「ビョルンが進化するのは、まだまだ先ですね・・・」
ニウは、残念そうに呟いた。
「ニウ、君の相方のビョルンを進化させに夜になったら狩りに出掛けよう、そして弱い敵を倒してビョルンを進化させような」
ジョージはそう語った。
「リーダー、是非ビョルンも仲間に変えて下さいっ! 彼もリーダーにアンデッドにさせて頂いたら、きっと喜ぶでしょう」
「ああ、ビョルンの武器の威力・・・戦った時に嫌と言うほど味わったからな、あの力がこっちに加わってのなら正直かなり助かるよ」
ニウは、ビョルンをアンデッド化させて頂きたいと頼む。
それはまるで、生け贄を差し出すかの如く。
ジョージに仲間に変えて下さいと言っているような物だ。
(・・・ふふっ♥ ビョルン貴方もこれで・・・)
彼女の心はアンデッドの欲望に染まり。
かつての仲間をアンデッドに喜んで生け贄に差し出す様になる。
(・・・早く進化してねっ♥ そして一緒にアンデッドに成ってまた旅を続けましょうね・・・)
ニウは早くビョルンに進化して欲しいと思い、笑顔を浮かべた。
「よし、じゃあ寝るぞ次はシャリルお前が見張りをしてくれ・・・他のメンバーは夜まで交替で就寝と見張りをして夜になったら狩りに出掛けるぞ以上・・・」
ジョージはそう言うと、そのまま横になり眠ってしまった。
「よく眠る男ねっ! はあぁ? 私も何だか眠いわ・・・じゃあお休みなさぁ~~い」
ミリカもそう言うと、短い欠伸をして横になり寝てしまう。
「それでは、私は見張りを」
シャリルは、洞窟の入り口の光の差さない場所に立ち、見張りを続ける。
「シャリル殿、宜しく頼みますぞ」
「シャル、次は俺の番だからな、それまでは無理をするなよ」
「シャリルさん、アタシもお先に寝させて貰います」
リュージン、アレリオ、ニウ達も、そう言うと寝てしまう。
「ガアーーーー!?」
縄で縛られているビョルンは、大きな吠え声で叫ぶが。
その声を聞いたシャリルは冷たい視線を彼へ向ける。
「貴方には少し黙って頂きましょうか、お姉さま方が眠られないと非常に困るので・・・」
そう言うと、シャリルは腐肉の塊のビョルンの口へ。
その辺に、転がっていた大きめの石を詰めて黙らせる。
「私もアンデッドに変えて頂く前は、お姉さまにこうやって黙らせて貰ったのよ」
そう言って、入り口の方に向き直ったシャリルは見張りを続ける。