キョンシー賢者と格闘家娘の対決
「先程の勝負、中々の物であったぞ、小娘?」
「あら、そう・・・で、良いから掛かって来なさい、じじい言葉のアンデッド」
ニウの戦いっぷりを誉める、リュージン。
それを挑発と受け、戦闘態勢を取る彼女。
「ふぉっふぉっふぉっ? キョンシーと読んで頂きたいですなぁ~~」
「そんな事っ! どっちでも良いわよっ」
『ガンッガンッ』
ニウは、両腕のトンファーで右から攻撃を行う。
だが、リュージンの偃月刀の刃に弾かれてしまう。
次いで、反対側からのトンファーの攻撃も同様に、偃月刀の柄に弾かれてしまった。
「ツッ! あんた強いのね?」
「ふぉっふぉっ? そうですか、貴女様も中々の実力流石ですな・・・しかし、まだまだワシには敵いますまいっ!」
苦戦するニウに対して、リュージンはそう延べる。
「このリュージン・・・魔術の研究と槍術の鍛練を何十年も重ね、幾多の戦場を駆け抜けて来た事かっ! 貴女様はまだ若い、そして経験が足りぬっ!」
「うっさいっ! じじいっ! 見た目若い癖にっ! じじい言葉を使うから変だわと思っていたけど、アンデッドになって魔力か魔術で若返ってたのね、あんた?」
『ガンッキンッガッ』
ニウとリュージン達は、互いに攻撃と防御を続け会う。
「何度攻撃されても同じですじゃ」
「そうかしらっ? じゃあこれはっ!」
『ヒュゥッ』
「うごぁっ」
ニウは下から、リュージンの顎を目掛けた素早い蹴りを繰り出す。
その後、直ぐに回し蹴りを彼の胸に叩き込む。
「ゲェッ」
リュージンは回し蹴りを喰らい。
後ろへと吹き飛ばされるが、その間に風魔法を放つ。
「エアーカッター」
「はっ? あっ!」
ニウも不意を突かれ、風魔法の斬撃をくらい後ろに倒れ込む。
その時右腕と頬に斬撃を喰らい。
体のあちこちを擦りむき、体中に軽い傷ができた。
「ふっ!」
リュージンは、それを見て目を細め、ニヤリと不気味な笑みを浮かべた。
「うっ! やるわねっ!」
「お主こそっ!」
そこへ。
『ドドドドドドドドドドドドドドドーー』
音の連続音が響き渡った。
「うわっ! なんじゃっ!?」
リュージンの体を、後方から音の弾丸のような攻撃が貫いた。
攻撃は、リュージンの腕や脚などの体の弱い所を貫き。
彼は血が吹き出てしまい、倒れ込んだ。
その血液が、ニウの体に振りかかる。
(・・・これは!? 余計な手間が省けたな・・・)
リュージンは、またもニヤリと不気味で怪しい笑みを浮かべる。
そして。
「ニウっ! 逃げようっ!」
「ビョルン、その傷」
助けに来てくれたビョルンの傷を、ニウは優しく心配する。
「ぼっ僕は大丈夫だっ! でも、スケルトンが追い掛けて来てっ!」
「喋らないでっ! さあ、肩を貸して」
傷ついたビョルンを心配したニウ。
彼女は、肩を貸して彼と逃げようと、二人で何処かへと向かって行く。
「ニウ、すまない」
ビョルンは、ニウにそう礼を言った。
「まてぇーーーー」
アレリオが、ふらふらとした体で二人を追い掛けるが。
リュージンは、負傷して手足が動かず。
ニウに、一撃をくらわされたシャリルも気絶状態。
ジョージとミリカ達は、ビョルンの歌のおかげで、まだ動けずじまいだ。
アレリオもまだ体がふらふらとしていて、とても二人を追える状況では無かった。
「これじゃ、奴等を追い掛ける事は出来ないな・・・」
アレリオは、回りに倒れている仲間の様子を見て言った。