あいつらも新たな仲間に変えよう・・・
『ガンッドンッガンッ』
勢い良く鉄と鉄のぶつかり合う金属音が辺りに響く。
ニウは、シャリルを追い詰めていた。
「大した事は無いわね、あんた」
「くうぅ、流石は格闘家さん大した腕ですね? 攻撃と防御を同時にこなす事の出来る武器と、それを上手く扱う武術」
シャリルは、ニウの身のこなしを褒め称える。
「私達の様に是非、リーダーとお姉さまに気に入られると良いですね」
「はあ? 何言ってんの? あんた」
シャリルの言葉に、ニウは不思議がる。
「私はデスシスター、詰まりアンデッドと言うわけです、さあ貴女も我等のリーダージョージ様とミリカ様に仲間に」
「うわっ! 気持ちわるっ! もう良いわ御託を並べるより、決着を着けてあげる」
『ドンッ』
「ぐっ・・・」
『バタッ』
シャリルは顎に、ニウのトンファーの渾身の一撃を喰らい。
地面に、バタッと前のめりに倒れた。
シャリルは、アンデッドで痛みは勿論感じない。
だが顎を伝い、脳ミソまで衝撃が伝わった為に、彼女は気絶してしまったのだ。
「ハッ! あんた、本当にっ大した事は無かったわね、さっビョルンの手伝いにっと・・・?」
『スタッ』
「そうは行かないんじゃよ」
ビョルンを助けに行こうとするニウの前に、リュージンが現れた。
「またぁ~~アンデッド~~もう嫌っ!」
ニウが疲れたように、リュージンに向けて言った頃。
ビョルンの方は。
「神の~~祝福を我等~にぃ~~女神の子等にぃ~~」
ビョルンは聖なる歌を歌う。
「う~~頭があぁァァぁ~~ーー~~ーー」
「うぅゥうおァゥう~~~~~~!」
「ゥうううゥぇェえェーー~~ーー」
ジョージ、ミリカ、アレリオ達は、聖なる歌を聞くと、転げ回り悶え苦しむ。
「やややっ! 奴めっ!」
「イヤァーー頭があァァぁーーーー」
「うげぇェェえぇっ!」
ジョージ達アンデッドが、苦しんでいるのを確認するとビョルンは。
「暫くはそこで苦しんでいろっ! 不浄なるアンデッド共がっ! うっ! 痛たたた」
ビョルンはそう言うと、体の負傷した胸の部分に右手を当てて歩いて行く。
「まっまて・・・」
ジョージは悶え苦しみながら、ビョルンへと手を伸ばす。
「よくも、リーダーとミリカ様を・・・」
ビョルンを追い掛けようと、ズサズサと音を立てて這っていくアレリオ。
「ひいぃっ! くっ! 来るな、スケルトンッ!」
ビョルンは迫る、アレリオから逃げていく。
その様子を俺は見ている。
(・・・体が動かない・・・だが頭はまだボンヤリとして痛みも残ってはいたが考える事は出来る・・・)
ジョージは、逃げるビョルンの背中を見つめる。
(・・・あの魔法の音のマシンガンと聖なる歌の能力・・・以前シャリルが人間のプリーストだった時に歌っていたがまさかあいつも使えるとは・・・)
ジョージは思案する。
(・・・そしてあの女・・・攻防一体の武器とそれを巧みに使いこなす格闘術・・・機敏な動き・・・シャリルをノックアウトさせた実力・・・よしっあいつも仲間にして戦力に・・・)
ジョージは、二人の人間をアンデッドに変えて仲間に引き入れようと決める。
(・・・格闘家のニウと吟遊詩人のビョルンを仲間にすれば大分強力な戦力に成るだろう・・・)
ジョージは思った。