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人間達の籠城戦


 こちらに向かって飛んでくる、氷結魔法。

 それは真っ直ぐ、ジョージに向かって飛んでくる。



「うわあーーーー!?」


 ジョージは魔法を避けようとしたが。



『パキッ』


 氷結魔法自体は外れたが、顔を掠れ。

 鼻から肉の抉れた右顎にかけて、凍ってしまった。



「うーー? 何か風邪引いた時見たいに鼻が変だ・・・」


 ジョージは鼻が凍り、変な感覚だと思った。



「シャリル頼む・・・」


「ぷっあははっ! ジョージ、面白いっ!?」


 ジョージは鼻声でそう言うと、ミリカは彼を馬鹿にしてからかう。



「うっせーーバカ女っ!!」


「リーダー今治療を施します」


 ジョージは、ミリカにキレた。

 そんな彼を、シャリルは治療する。


 その間、ジョージは塹壕から頭を少しだけ出して、キャンプ地の壁上を眺める。



 二十から、三十の兵士達が、銃や魔法で攻撃して来る。


 ここからキャンプ地までは、百二十から百三十メートルくらいある。

 銃は、フリントロックやホイールロック等の銃なのか、それほど撃ってこない。

 更に、余りこちらまで、正確に弾が跳んで来ないが油断は禁物だ。


 クロスボウも強力だが、射程が銃同様に短く、あまり当たらない。


 弓や投石は射程が長く、結構こちらまで飛んできて厄介だ。

 弓は軌道が読めるから良いが。

 投石は、意外と威力が高く。

 頭に当たると、へたしたら死ぬかも知れないな。


 魔法は雷撃や火炎等の強力な一撃が飛んでくるのでとても危険だ。

 塹壕に隠れてなければ感電死するか丸焦げになるか。

 はたまた氷付けになるか、何の魔法が当たるか分からないからな。



(・・・それにあの正確な魔法の一撃は・・・)


「ジョージッ! ねぇ? ジョージ・・・」


 敵の攻撃を観察するジョージの耳に、ミリカの声が聞こえて来た。



「あっ?」


「ジョージ、皆作戦通り動いていいの・・・?」


 ジョージは、はっと我に帰りミリカに顔を向けた。

 すると、彼女は彼に質問した。



「あっ! ミリカ、そうだなっ! さあ皆行けっ!!」


 ジョージは仲間達に指示を下す。



「しかし、あの正確な攻撃いったい誰が・・・?」


 ジョージが呟くと、リュージンが魔法を撃つのを止める。



「あれは・・・あんな遠い距離から、こんなに正確な魔法を放てるのは我が愛弟子キャロルに違いない・・・」


 リュージンは、敵の方に鋭い視線を向けて呟いた。



「では、リーダーの御命令通りに」


「リーダー、私達も行ってきます」


 リュージンは、左側面に作戦掛けて行く。

 アレリオは、シャリルを抱き抱えて走り右側面に向かって行く。



「さあ~~て、俺達も撃ち合いを再開するぞっ! ミリカ」


「ええっ! ジョージ」


 ジョージとミリカ達は、そう言って魔法を放つ。



「ダークボール、ダークボール、ダークボール」


「フレイムボール、フレイムボール、

フレイムボール、フレイムボール」


 ジョージとミリカ達の次々と放った魔法は、キャンプ地の丸太の壁に当たる、


 ジョージの暗黒魔法は貫通はしなかったが、丸太の壁に暗黒球はめり込む。

 それから、無数の穴を開けて壁をボロボロにする。


 ミリカの火炎魔法は、壁のあちこちに当たる。

 先程よりも、多く放った為に消化が間に合わず、火の手を上げる。

 ジョージの暗黒魔法と共に放たれた火炎魔法。

 それは壁を少しずつ削って行くだけでなく炎上させた。


 それにより、氷結魔法とバケツの水による消化が行われる。

 だが、他の三人の魔法攻撃が消化を妨害する。

 ジョージの暗黒魔法。

 左右から放たれるリュージンの風魔法。

 走るアレリオに抱き上げらながら雷撃魔法を放つシャリルの魔法。

 これ等の魔法攻撃を受けた消化役は火を鎮火する事が出来なくなっていた。



「怯むな、撃ちかえせーー敵に隙を与えるなあーーーー」 


 男が叫ぶと、その一声に人間達は勢いを増し、更に攻撃を激しく行って来た。



「今だ、今度は向こうが怯んだぞっ! 今の内に消化活動を再開するぞ」


 ジョージ達の攻撃に釘付けにされた人間達。

 彼等の消化活動は再開され、壁に水や氷結魔法が掛けられる。

 だが、丸太の壁は段々とボロボロになって行く。


 それを見て、キャンプリーダーは。



「おい、使いを出せっ!」


「はっ直ちに・・・」


 キャンプリーダーにそう言われた伝令は木の箱まで歩いていく。

 その前で、小さな紙と紐をポケットから取りだす。

 その木箱の檻のような鉄の細い棒が付いた蓋を開けた。


 すると、中から白い鳩が出てきた。

 彼は、鳩の足に紐で紙をくくりつけて、どこかへと飛ばした。



「行けっ! 飛んでけっ・・・俺たちの為に救援を呼んできてくれよ・・・」


 キャンプリーダーは、それを見ながら両腕を組む。



「敵は五体とは言え、あまり時間が掛かると、向こうが増援を呼ぶかも知れないからな・・・」


 祈るように、キャンプリーダーは呟いた。

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