キャンプ地はすぐそこだ
「はあ~~食った食ったあ~~」
腹を満たしたジョージは呟いた。
「お腹一杯になったわね・・・はあ~~んん~~」
ミリカも、両手を天に伸ばして眠そうに欠伸をする。
「ミリカ、寝るなよ・・・後は丘を越えればキャンプ地にたどり着くんだからな」
ジョージは、ミリカを寝せないようにする。
「わかっ~~てるってぇ」
ミリカは眠たそうに、ジョージに返事を返した。
「ジョージ様、もう行きましょうか? それとも、今日はここで就寝しますか」
「ああシャリル、ミリカが眠ってしまう前に、キャンプ地を目指そう」
シャリルの質問に、ジョージは行こうと答えた。
そして、彼等はキャロルが逃げ込んで居るかも知れぬ、キャンプ地を目指して行く。
「と言うわけでして・・・・・・」
キャロルは医務室で一通りの説明を終えた。
「ふむ・・・・人間に化けたアンデッドに、師が身を呈して弟子である君を庇い負傷してしまい・・・君に助けを呼びに行けと頼み、その後は君はひたすら走り、遂にこのキャンプ地までたどり着き今に至ると言うわけだね・・・」
僧侶はそう言って彼女の話を要約した。
「はい、皆様に助けていただき感謝致します」
キャロルは頭を下げた。
「君は疲れただろう、さあもう横になって休みなさい、私は仕事が残っているのでこれで退室させて頂くが、何かあったら私か医師を呼びなさい・・・」
そう言うと、医務室から僧侶は退室した。
「はいっ・・・」
(・・・師匠・・・きっと師匠はもう奴等に・・・アンデッド達に・・・)
キャロルはベッドの上で毛布にくるまり思案に更ける。
(・・・師匠・・・私が絶対に仇を打つからね・・・)
心の中で硬く誓い、キャロルは毛布の中で目を瞑る。
「おーーい、帰って来たぞおーー」
見張り台の見張り番は声のした方を見つめる。
その方向には、五人の人影が立っているのが確認できた。
「誰だ、合い言葉を言えっ! ・・・」
「ハンター21スターだ」
「よしっ! 橋を下ろして問を開けろ」
『ガタガタガタッ!』
音を立てて吊り橋が下りてきて、五人は橋を渡る。
そして、彼等は警戒する大楯と長剣を持った男とクロスボウを構えた女の間を通る。
彼等は、キャンプのリーダーの元へ向かう。
「遅かったな・・・お前ら、そしてよく無事に帰って来たな」
キャンプリーダーは、帰って来た五人を執務室に集めて状況を説明した。
「まあっ? お前らが帰って来る前に客が来てな・・・」
「リーダー、敵ですか」
状況を説明するキャンプリーダーに対して、敵かと銃を持つ男は言ったが。
「いや人間だ、勿論敵じゃないぞ・・・それよりも、その人間・・・少女の話何だが」
キャンプリーダーは帰って来たばかりの五人に対して、今までの経緯を話す。
「・・・では、その少女は四体のアンデッドを師匠が足止めして、その隙に逃げてきました・・・と」
銃を持つ男はそう言った。
「こっちの情報何だが・・・最初は遠くから岩影に隠れて観察した時はゾンビナイトにスケルトン・・・そして、一見人間に見えるが、その正体はアンデッドと言う女吸血鬼と、僧侶に見えるリッチに、チャイニーズの老人らしきゾンビが五匹も居たんだが・・・」
銃を持つ男は語る。
「その後・・・迂回し先回りして待ち伏せしていたんだが、その時には老人のゾンビは居なく、変わりに若いチャイニーズの男がアンデッドの仲間へと加わって居た・・・そして、こちらが奇襲を仕掛けると風魔法で風を起こして土煙を巻き上げて消えちまった」
銃を持つ男は、ゆっくりとそう語る。
「ではっ! その老人はアンデッド仲間入りしたと・・・!?」
キャンプリーダーは驚く。
「おそらくはな・・・」
銃を持つ男はそう言った。
「大変です」
剣士らしき男が、執務室の扉を開けて駆け込んで来た。
「どうした、落ち着いて話せ?」
「また二人の人影が」
キャンプリーダーの問いに駆け込んで来た剣士は、謎の人物が現れた事を伝える。
「どんな奴等なんだ」
「それが暗くて良くは見えないのですが、女性の二人組みらしくて一人は赤い魔法剣士の格好を、もう一人は僧侶の格好をしていて・・・」
キャンプリーダーの問いに剣士は、二人組みの女性らしき人物の容姿を語る。
「なにぃっ! リーダー、そいつらは今言ったアンデッドだ、間違いない」
「何だってぇっ!? おいっ! 伝令っ!! 皆にアンデッドが来たと伝えろっ!? いいか、くれぐれも静かに射撃準備を整えろと分かったな」
銃を持つ男は、そう告げると。
キャンプリーダーは、伝令へ命令を下す。
「了解、皆に伝えに行ってきます」
伝令の剣士は、命令を仲間に伝える為。
部屋を飛び出て、外の仲間の所へと駆け出して行った。
「やれやれ、今日は厄日か・・・」
「そうらしいな・・・」
キャンプリーダーと銃を持った男はそう言った。
その直ぐ後、銃を持つ男もアンデッドへの射撃準備へと向かって行った。