歩く不死者達とそれを見つめる何者か達?
灰色の平原を歩く不死者達。
夜空はいつの間にか晴れ渡り、満天の星空が輝いていた。
「綺麗だな・・・」
「綺麗ねぇ・・・」
ジョージとミリカ達は、満天の星空を見てそう思う。
「俺達の居た世界の夜空より綺麗だな」
「そうね、こっちの夜空のほうが明るくて綺麗ねっ?」
ジョージとミリカ達はそう言いながら、星空を眺めてゆったりと歩く。
二人の眺めている星空。
そこは、赤、青、緑、黄、等と多様な色が力強く光輝く。
本来暗闇と暗雲に包まれているはずの夜空に浮かぶ星は、強い光彩を放つ。
まるで、宝石箱の暗い内側に納めてある宝石の様に彩っていた、
赤はルビー、青はサファイア、緑はエメラルド、黄は琥珀。
他にも紫はアメジスト、橙はファイアオパール、桃はピンクパール。
これ等の色とりどりの星達が、宝石の様に夜空に輝いている。
「ジョージ・・・あの星空はまるで宝石見たいに綺麗ね? 見ていると欲しくなってきて、手を伸ばしたら届くんじゃないかと思ってしまうわ・・・」
「ヴァンパイアクイーン様はその手に持ちきれない程の宝石を御所望ですかい?」
ロマンチックなミリカに、皮肉を込めて冗談を言うジョージ。
「あんたねっ! せぇっ~~かくの良い雰囲気も、あんたの余計な一言で台無しじゃないの~~~~」
ジョージの一言に対して、角の生えた鬼の如くぶちギレるミリカ。
その姿は、鬼母神の様に怒り狂い、彼に殴りかかる。
「あーーーー女王陛下、ほんのちょっとの冗談に御座います」
「なあーーにがっ! 冗談じゃあ~~ボケーーーー」
ふざけるジョージに対して、ミリカは直もぶちギレて殴り続ける。
そして、ミリカに、ジョージは体を捕まれて頭を思いっきり殴り飛ばされる。
「うりゃあーーーー」
「ああーーーーーー」
『ドンッ』
ミリカに勢いよく地面へと殴り飛ばされた、ジョージは頭をぶつけてしまう。
とそこに・・・。
『バンッ!』
「きゃああっ!」
「うわあーー!」
ジョージとミリカ達の悪ふざけ以外は、静寂に包まれていた。
ところが、灰色の平原に一瞬にして銃声が響き渡る。
「あっぶねーー」
「危なかったわね」
銃弾は、ミリカの背後から頭の右横を掠める。
それは、殴り飛ばされたジョージの頭上を掠めて地面に当たり、小さな土煙を上げた。
「皆さん、敵襲ですじゃ」
「散開しましょう、固まって居ては良い的になりますっ!」
リュージンとシャリル達は、戦闘体制を取り、周囲を警戒して辺りを見渡す。
「どこだっ! 敵はどこに隠れているんだ!」
アレリオは、腰のベルトの鞘からモンタンテを抜き取り警戒する。
「さあなっ? 相手方は銃を使っているから銃兵か・・・」
ジョージは、敵を探すアレリオにそう言って返す。
「シャリルちゃん、リュージン魔法を地面に射ってっ! 早くジョージもよっ!!」
ミリカは指示を出すが、三発もの銃声が響く。
『バアンッ!』
『バンッ! バンッ!』
銃弾が、ジョージ達の足下や背後の地面に当たる。
「地面に撃つより、敵に撃ち返さないと」
「じゃあ、ジョージとシャリルちゃんは敵に魔法を撃ち返してっ!」
ジョージが叫ぶと、ミリカはそう言うが、敵は執拗に攻撃を続ける。
『ヒューー』
『ボンッ!』
音が聞こえて、矢と火炎魔法が飛んでくる。
「危ない」
アレリオは、シャリルに向かって飛んで来た矢をモンタンテで弾く。
「有り難うっ! アレリオ・・・」
「シャル、礼はいいっ! それより気を付けてくれ」
シャリルは礼を述べる。
アレリオは、そんな彼女を気遣うが、今度は石が飛んでくる。
『ヒュウウッーーガンッ!』
飛んで来た石を、リュージンは偃月刀で叩き割った。
「これは不味いですな・・・敵はこちらが反撃出来ないように交代で、遠距離攻撃をしてきている様です」
リュージンがそう言うと、ミリカは。
「これじゃあ、戦いどころじゃ無いわよっ! フレイムボール、フレイムボール」
『ボンッ! ボンッ!』
ミリカは、地面に魔法を撃ち込んだ。
「ミリカ、そうかっ! 全員魔法を地面にうてっ! ダークボール」
ジョージも魔法を地面に撃つ。
それで、地面にたちまち土煙が立ち込める。
そして、それを理解した、シャリルとリュージン達も魔法を撃ち込む。
「はいっ! リーダー、サンダーショット」
「分かりました、では、ワシはこれを」
シャリルは魔法を地面に撃つが、リュージンは魔法の風を起こす。
「エアーストーム」
『ビュウウゥゥーーーー』
音をたてジョージ達の姿は土煙の竜巻に巻かれる。
竜巻が収まると五人の姿は、まるでそこにいなかったかの如く消えてしまった。