三題噺第18弾「野菜」「ガイコツ」「バカな目的」
「あと誰だっけ」
そう呟いて、考えてみる。
「名前が出てこないんだよね。あの人なんだけど、ほら。そばかすがあって、ロングヘアーで、長身で、いつもばっちりメイクしている子が出てこない」
「もしかして、七瀬藍?」
友人のアリサから返答をもらった。
「そう、そんな名前だった」
アイドルにそばかすがある子が選ばれるのは珍しいと思う。そばかすがチャームポイントになっているのが珍しいと言った方がいいか。
「その子がどうしたの?」
「いや、2020のアイドルグループで一人だけ名前が出てこなくて」
2020の人数は五人。センターは星野ユナちゃんだ。
「ゆうがアイドルねー。なんか似合わない」
似合わなくて悪かったな。と思いつつ、自分でも似合わないと思うからしかたがない。
「かえろっ」
アイドルと付き合えたらいいな、と“バカな目的”は置いといて、家路に着く。
「ただいまー」っていっても誰もいないけど、なんとなく帰ってきたって感じで毎回言ってる。
家に帰ったら、まず着替えて、テレビをつける。この時間はニュースしかやってないけど、それを見る。
『“ガイコツ”の模型が展示されているここ博物館では、多くの人が訪れています』
ガイコツの展示に訪れる人がたくさんいるのは珍しいと考えるのは俺だけだろうか。
『話を訊いてみましょう。こんにちは』
『こんにちは』
『今日はガイコツを見にいらっしゃったんですか?』
『はい。珍しい展示があるなと思い、訪れました。見にくると精巧にできてて驚きました』
ガイコツが精巧にできてたら不気味に思うけどな。
『ありがとうございました。ガイコツの展示は明後日までとなっています。見にいきたい方はお早めにどうぞ』
ゲームでもやるか。
「ただいまー」
三時間たっぷりとゲームをやっていたら、親が帰ってきた。
「おかえり」
「今日は暑かったわね」
「そうだね」
最高気温が37.7度もあった。クーラーつけてないと死ぬレベル。実際熱中症で亡くなってる人が毎日出てるみたいだし。
「すぐご飯作るからね」
「よろしく」
ご飯ができた。
今日のご飯は、鶏肉の照り焼きと“野菜”と味噌汁。
うまい。
明日はどんなことが起こるのやら。つまらない学校で授業を受けて適当に終わる一日にならなければいいな。
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