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図書室と先輩  作者: アデル
16/22

その16 ちょっと怖いです

「あのぉ、先輩たちって、ひいおじいさん、います?」


 わたしなりに筋道立てて話し出したつもりだったんだけど、よくよく考えれば脈絡なさすぎ。あ、でも先輩たちの表情が一瞬フリーズした。ちょっと、してやったり?こんなことで喜ぶわたしもどうかと思うのだけれど。


「ひ」と先輩。


「い?」あとを引き継ぐ小峰先輩。


 別々に言ったにも関わらず、違和感なく言葉として成立している。なんなんですか、その奇妙に息の合ったコンビネーションは。

 うぅ、返り討ちにあってしまった。やっぱり、この二人相手では分が悪いみたい。


「うーん、うちはじいちゃんもとっくに死んじゃってるしなあ」


「うちは、おじいちゃんはいるけど、ひいおじいさんは……、ねえ」


 やっぱりそうなのかな。


「高橋さんのところはいるんだ?いくつ?」


「えーと、今度90歳になるんですけど」


「元気?」


「ええ、身の回りのことは全部自分でやっているみたいです」


「へえ、すごいわね」


と言いつつ、「で?」と目でわたしに訴えてくる小峰先輩。

 ようやく話し始めたのが「ひいおじいさん」じゃ、さすがに先が読めないようで。


「その曽祖父がですね、来週誕生日迎えるんですけど、そのお祝いにですね、わたしも行かなければならなくなって……」


「ふーん、いいんじゃん。なんか問題あんの?」


(いえ、ですからね)


 もう、どうしてそうなんですか、先輩ったら!落ち着け、わたし。ここが一番肝心どころ。


「えっとですね、母方の、祖母方の、曽祖父、なんですけど……」


「うん」


(落ち着いて)


「うちの両親、離婚しているんです。だから……」


 つかえた。まずい。思わず俯いてしまうわたし。次、何て話せばいいんだろ。

 ドスッ!鈍い音。

 顔を上げると、どうやらまたしても小峰先輩の肘が先輩のわき腹に突き刺さったようで。 顔をしかめる先輩の耳に口を寄せると「ジンはちょっと黙ってて」と声をひそめて言う小峰先輩。

 うわ、つかんだ耳たぶねじってる。いたそー。

 にっこり。

 あのー、わたしに微笑みくれるのは嬉しいんですが、ちょっと怖いです……。

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