一、「他人の常識に囚われない」
「一日一話は当たり前」や、「日に○文字ぐらいはかけるよ」。色々ななろう作家を参考にしたなら、きっとこんな言葉を一度は見た事があるはずです。
また、多くのエッセイで「閲覧数をブーストしたいなら毎日投稿は基本」などと書いてあると思われます。
まず、ここに囚われ過ぎないでください。
たとえば私は、一話2000文字ぐらいの話を、二日に一話のペースで書き続けました。五ヶ月で連載は終了しましたが、ともかくそれは置いておきましょう。ややハイペース気味に書いた私の感想として、「毎日投稿は過酷」です。
書き溜めでもないかぎり、ほとんど無理に等しいです。この点を覚えておいていただきたい。
たしかに、毎日投稿で閲覧数は増えます。毎日トップページの更新小説の方に載っていれば、当たり前とも言えます。その分見られる回数も増える訳ですから、ポイントも自然と増えます。注目への第一歩となるでしょう。
しかし待って! 安易な考えで、毎日更新としては大変です!
あなたの一時間で何文字書けるのかはまちまちだと思います。百文字の人、五百文字の人、千文字の人。あなたがかける文字は限られていて、時間は有限です。そこへ、その日のコンディションや都合という不確定要素が追加されます。
私も、筆がとても動く日は四千~六千文字ほど書いた事もありますが、それは絶好調の日だけです。いつもは大体五百~千ぐらいで、やる気が出ない日や転寝してしまった日など、百文字もいかなかった日もあります。
たとえば一日一万書けるあなたでも明日は百文字しかかけないかもしれません。要するに、一日に一話、五千文字を書くとして、たとえどの様な状況、体調下であろうと、"最低でも"五千文字を書くだけの経験が必要になるのです。
また、書けたとしても、そのクオリティはどうでしょう。悪い体調の中書いたそれが、前話のものより極端に品質が下がっていないと、誰が保障できるでしょうか。
しかも、長編では、更に「作品へのモチベーション」も関わってきます。最初は書きたいと思った話でも、書き進めて行くうちに、だんだんと自信ややる気が削がれてくることがあるのです。
そんな馬鹿なと思う方もいらっしゃるやもしれません。ですが、自分はそうでした。長編の一作目、書きだめを二十話分用意してから連載を開始したと言うのに、終盤は自分の課したノルマすら達成できない状態でした。
少なくとも、書き始めたばかりのあなたには、少し難しいものがあると思うのです。
それに加え、筆者としては、初作は長編小説ではなく、短編小説をお勧めします。
長編小説は、やはりその名を冠すだけはあり、何ヶ月、何年と連載を続けることが多いです。また、作品が長く続けば続くほど、小説内の"あの時何があったか"の記憶が薄れる事もままあります。それに、矛盾なく続けるのも難しく、またある程度話の緩急もつけ、さらに合間の描写や会話も忘れてはいけません。
短編小説は読みきりの単発話であるため、非常に楽……ではありませんが、長編小説よりはずっと楽です。ただしこれも、一話で話を完結させる必要があるので、一様に「簡単だ」とは言い切れませんが。
それに、ともかく一度短編を書いて投稿してみて、自分がどれだけ書けるのかを確かめるのもありです。
自分は長編を書こうとする前に、一万文字の短編を一作書き上げました。これにかかった日数は、一週間程でした。ただしこれは、執筆に取り掛かれなかった日を除いての話で、一週間と四日ほどかかりました。
これを基準にして、一作目の長編小説は、一週間に二話程度で書こうと思いました。大体余裕を持って投稿できるのがその程度で、また、いくらかの書き溜めもしました。それでも、上記した状態になったのです。
ともかく一度書いてみる。そんなあなたには、短編をお勧めし、また長編であっても毎日投稿はお勧めしません。不定期、あるいは週刊、月刊の更新をお勧めします。
この項で伝えたい事を簡単にまとめます。
・毎日投稿は当たり前ではなく、あくまでも注目を得る手段の一つでしかない。
・初作から連載小説はお勧めしない。
・連載小説を書くなら、コンディション・モチベーション等の低下を考慮して、不定期や月刊等、ある程度の余裕を持った更新をお勧めする。