昴side
正くんが倒れてから、2日たった。
まだ正くんは目を覚ましていない。
(正君大丈夫かな?)って考えていると、青ちゃんから、
「お兄ちゃんが目を覚ましたよ!」と連絡があった。
僕が正くんの病室に行くと、疲れている様子だけど、青ちゃんと話している正くんの姿があった。
「正くん!良かった」と、正くんに駆け寄ると、
「兄貴何で泣いてんの?」って言われて、自分が泣いていることに気づいた。
僕は涙を拭うと、正くんの頭をなでた。
「兄貴なにすんだよ」正くんはそう言って笑った。
その笑顔は、僕と初めて会ったときの正くんを思いださせるくらい、無邪気でかわいかった。
(この時間が永遠に続けばいいのに…)
あれから4日たった。正くんの体力もけっこう戻ってきていて、正くんはどんどん元気になっていった。
そしてやっぱり、
「退院させて」って言ってきた。
「正くん。もうちょっと待ってね」そう言って僕は、話をはぐらかせてきた。
発作がおきたばっかりだし、検査の結果、病気は悪化していたから…僕は退院させたくないんだ。
ーこんな調子で、2日たったー
「正くん。ご飯食べれる?」
「要らない」
「あんまり病室から出るなよ」
「もーうるさいなぁ」
正くんは僕の言うことを聞かなくなった。そして、機嫌も悪くなった。
「それでさ、僕元気なんだから、いいかげん退院させてよ」
「まだ待ってくれる?ごめんな」
「嫌だ」そう言って、正くんは布団に潜り込んだ。
正くんは、病院を抜け出す体力はないみたいで、抜け出そうとはしないけど、僕に対しての態度は、悪くなっていった。
(ごめんな。正くんを退院させることは出来ないんだ。正くんは僕が守るって春子さんと約束したから…)
(たとえ正くんに嫌われたとしても…)