夕ご飯
売店に行くのは、病室から出たかっただけなので、別に買いたいものはなかった。
だから青ちゃんに、
「青ちゃん何か欲しいものない?」って聞いて、青ちゃんが飲みたいって言ったリンゴジュースを買ってあげた。
病室に戻ると、疲れたのか僕はすぐ寝てしまった。
「正くん。夕ご飯食べれる?」と兄貴に起こされた。食欲はなかったけど、
(食べれるかな?)って思ったから、
「うん‥多分」って答えた。
しばらくして兄貴が持ってきたのは、お粥とハンバーグだった。兄貴が、
「無理しなくていいからな」って言ってくれた。
僕は、お粥に少し手をつけたあと、箸を置いた。
「よく食べたな」兄はそう言って、僕の頭をなでた。
でも、案の定吐き気が襲ってきた。僕の異変に気づいてか、青ちゃんが、
「お兄ちゃん?ナースコール押すよ」そう言ってナースコールを押した。
しばらくしてやってきた兄貴は、
「気持ち悪いんだろ?我慢したらもっときつくなるよ」って言ったけど、僕は、青ちゃんの前では吐きたくなかった。だから、青ちゃんに聞こえないように、
「青ちゃんの前で吐きたくない。」って言った。
「そんなこと言わずにさ…我慢したらきついのは正くんだよ?」
「絶対やだ」そう言っている僕は、体中から、変な汗をかいていた。
「分かった。青ちゃ~ん、悪いけど、これでお菓子買って来てくれる?」そう言って、兄貴は青ちゃんに、五百円を渡した。
「うん!」青ちゃんは、素直に五百円を受け取って、売店に行った。
僕は限界だったので、兄貴が用意してくれた受け皿に、胃の中のものをすべて出した。
それなのに、まだ吐き気は収まらなくて、僕の目からは、涙が溢れてきた。
「大丈夫だよ」とか言いながら、兄貴は僕の背中をポンポンと叩いてくれた。
僕の吐き気はだんだん収まってきて、楽になった。
そして、眠たくなってきた。
それに気づいてか、兄貴は、
「おやすみ」って言いながら、僕の頭をなでた。