入院
僕が目を開けると、病院だった。
夏なのに、異常に寒く、ナースコールを押すと、すぐに兄貴が来てくれて、
「正くん。大丈夫?どっかきついとこない?体温はかるぞ」
僕は、兄貴に無理やり病院に連れて来られたことが嫌で兄貴に冷たく当たった。
「いーや。僕大丈夫だから…」そう言って、検温を拒否した。
「正くんに拒否権はないの」兄貴はそう言いながら、僕に体温計を突っ込んだ。
ピピピピ
体温計の表示には、38,8の文字があった。これを兄貴に奪われると、
「よくこれで大丈夫とか言えたな…」って怒られた。
「それで、きついとこは?」ちょっと怒りぎみに言われて、正直に答えるしかなくて…
「寒い…」
「寒い!?まだ上がりそうだな…」兄貴はそう呟きながらナースコールを押して、
「水枕と冷えピタ、毛布持って来て」って言った。
僕に冷えピタを貼ったりしながら、兄貴は、
「寝れるなら寝た方がいいよ」って言って、僕のほっぺたに手を当てた。
「すー君冷たい…」僕はそう言いながら、夢の世界に入って行った。
目を開けると、青ちゃんが僕のいるベッドの上の机で勉強をしていた。
「青ちゃん?」
「あっお兄ちゃん呼ぶね!」そう言って青ちゃんはナースコールを押した。
しばらくして、兄貴がきた。
「正くん体温計ろっか」そう言って、僕のおでこに手を当てながら、体温計を突っ込んだ。
その間に、兄が、
「正くん体調どう?」って聞いてきたが、正直言って、気分が悪いのも寒いのも解消してないし、寒いのに関しては、悪化している。でも、
「別に大丈夫」って答えた。すると、タイミング良く(悪く)、体温計がなった。
表示を見ると、39,3で、けっこう上がっていた。
兄貴が体温計を奪いとると、顔をしかめた。
「正くん?大丈夫じゃないだろ?ちゃんと言ってっていつも言ってんじゃん」
「もー泣かない泣かない」兄貴がそう言って気づいたけど、僕の目からは、なぜか涙が溢れていた。
「すー君」
「な~に?」って兄貴が優しく答えた。
「寒い」
「寒い!?正くん大丈夫か?」兄貴がそう言うのも分かる。僕はこの暑い夏に、長袖長ズボンの病院服を着て、毛布を二重に巻いている。それでもまだ寒いんだから…
僕は毛布を持って来てもらって、体に巻いた。兄貴が、
「解熱剤入れる?」って言ったけど、
「いーや」そう言って、目を閉じた。