兄が伝えたいこと
それから半年がたった。
僕は、兄貴の助けがないと、ご飯を食べれなくなってしまった。
「正くん。ご飯食べれる?」
「うん。すー君の手料理なら…」
「はいはい」
食べ進めていると、僕はむせてしまった。
「正くん?大丈夫?」そう言いながら、兄貴は僕の背中をさすってくれた。
僕は疲れてしまって、
「もう要らない」って言った。
そして今日、忘れていた事実を聞かされることとなった。
「ねぇお兄ちゃん?何で僕たちには親がいないの?」青ちゃんが兄に聞いた。
「えっ…」兄は困っていた。そして、ゆっくりと話し始めた。
「そんな事が…お兄ちゃんたちありがとうね」
「何で?」
「僕を育ててくれて…大変だったでしょ?」
やっぱり弟は素直で可愛かった。
「この際だから、正くんに伝えたいことがある」
「えっ」いきなり言われて、少しびっくりしたが、
「うん。いいよ」って言って、聞くことにした。
「先に言うけど、僕たち、本当は、血がつながっていない…」
「えっどういうこと?」
言っている意味が分からなかった。
「正くかのお母さんと僕のお父さんが再婚して…」そう兄は話し始めた。
「ごめんな。今まで黙ってて」
「えっ、じゃあ、僕の看病する必要ないじゃん。何で?」
「だって正くんはお兄ちゃんの大切な弟だから…」
「同情だけで僕の看病してるの?「違う!」」
「じゃあ、何で?ハァハァ」僕はパニックを起こしかけていて、息が上手く出来なかった。
「正くん!?」
「うるさい!ハァハァ」
「正くんごめん。落ち着いて」
そう言いながら、兄は僕の背中をさすってくれた。
でも僕は、何が兄貴の優しさか分からなくなって、余計に息は苦しくなっていった。
「ハァハァゴホゴホ」咳も混じってきて、かなり苦しかった。
「正くん。深呼吸して!すーぅはぁー」兄貴に合わせていると、だんだん息が出来るようになった。
(僕こんなに弱かったかな?)って不安になった。
でも、兄貴が僕の頭をポンポンしながら、強く抱きしめてくれた。
「ねぇすー君?僕、すー君の弟でいいの?」
「うん!僕こそダメな兄貴だけど…」
どれが兄貴の優しさかどうかを考える必要はない。
兄の優しさに、偽りはないのだから…




