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ハルフェン  作者: 殆ど小説を読まないやつ
新天地
98/114

偽悪者(前)

前回はどうも申し訳ございませんでした。ですがしかし、彼らの事も無視するのは失礼だと思ったので一応書いておきました。

戦士達に敬礼です。


今回のサブタイトル、alphabetにしようかとも思ったのですが、めんどくさいしそこまででもないかな?と思いやめました。




第78回、今回のあらすじ。


ワイノスでお祭りです。ようこそ、ワイノスへ。

まあ、うんぬんかんぬんで、まあ、うんぬんかんぬんですね。まあ、まあ……ワイノスへようこそなのですね、まあ……



ってちょっ!……今回は12000文字程度です。


かなスィーバンな第89話 -落ちない汚れ-




神崎「くそっ、遅かったか……」

アルケ『ああ、お前の想定通りのことが起きちまったわけだ。だが今回は不幸中の幸いだな。』


神崎さんは感染者の遺品など全てのデータに触れるなと頼んだのだが、既にその時向こう側ではそうなっていた。

死亡した開発関係者の遺品を調査していたスタッフが突如発狂、自殺はせずに情報を拡散、次々に感染を広げていった。最終的にはそのスタッフに感染させられた他のクルーがそれを射殺し、そのクルーも後に自殺。その現場は封印され、拡散や記録されていたデータも隔離した。

結果的に1人が広げた感染により50名程のクルーが死に至った。


アルケ『この事故処理はお前にしかできない。頼んだぞ。』

神崎「全くえげつないことになったなぁ……一人が発症すると伝染は容易だからな。あと、これ、再発しないわけじゃないぞ?もう治らないんだ、正確には治せないことはないが……」

アルケ『だが、それを克服できれば、シルバレットの力が手に入るのだろう?』

神崎「今はこっちも忙しい、この話はまた今度直接だ。だが、そのシルバレットの力を手に入れようという考えは捨てておけ、愚かだ。お前前に(第68部 "お薬は薬剤師にご相談ください"で)麻薬の危険性について俺にキツく当たってたよな?そんな感じだ。手に入れられても嬉しいものではないんだ。わかったな?」

アルケ「わかった、6日後には到着できるハズだ。じゃあな。」



6日後、エリア28の東方30km位の所に海があり、そこに艦隊が来るらしい。

その時にレイズ君の正式な入隊式とかが行われるんだとか……

そしてスィーバンはこの地での任務を終え、再び戦場へ出向く。




神崎「まあただの簡単な儀式だから難しいことはないよ。ただ敬礼して貰うもん貰って終わりだよ。デューク君そこ立ってて。」


と、立たされる。


神崎「近寄ります。敬礼をします。受けとります。前向いたまま数歩下がります。あとはなんかされて、退場。ね、簡単でしょ?」

レ「とても簡単だな。」

神崎「あああ、けどねえ、これね、皆の前でやるらしいよ。だから君にもスピーチしてほしいんだって。」

レ「スピーチ?」

神崎「ああ、思ったことを言ってもらえればいいよ。人肉が食べたいですとか、目玉をえぐり取ってみたいですとか、虐殺するから怯えて待ってろとか、人間風情がこっち見てんじゃねえよとか、思ったことを言えばいいのさ。」

デ「イヤダメでしょうそれ、完全アウトですよ、逆効果ですよ。」

レ「大丈夫、そんなこと思ってないから。」

神崎「悪魔と人間だと味覚も違うとか無いのかな?」

レ「皆の前でって、いったい誰の前なんだ?」

神崎「ああ、ここの国の人々を1度ワイノスに連れてくんだってさ、全くなに考えてんだか……まあそういうことになってるんだ。友情の証しの為なんだとよ。」

レ「信頼の為のスピーチ……」

神崎「更にさ、君の入隊式の前にはさ、俺もなんか言うことになってんだよねぇ……学校でのスピーチは決めてあるんだけどね……」

デ「学校で?」

神崎「うん、生徒達に言いたいことがあるんだ。もう予定には組み込んでもらってるよ。」




5日後、メルコス新王国国立小学校仮説校舎グラウンド。


神崎「集合って言われたらグズグズするな!戦場なら死ぬぞ!」


相変わらず危険なことをしている。空に爆弾を投げるもんだからもう子供達は泣きまくりだ。

それでも神崎さんはマイクを片手に叫び続ける。

ハンズフリーだと誰がしゃべってるかわかりにくいからね。


神崎「いいかガキ共!多分明日には俺はここからいなくなるが、最後に3つ、大切なことを教えておいてやる!泣き止め!泣いたところで現実は変わらんぞ!」


まーめちゃくちゃだよね……



10分後


神崎「いいかガキ共!これから俺が話すことは恐らく理解できないだろう。だがな、絶対に忘れるんじゃないぞ。そして未来に語り継げ。やがてその意味はわかる。

まずは1つ目だ。歴史ってのは、地層みたいなもんだ。大きな影響力のある事象の度、時代は姿を変える。しかしそれは遡ることができる。記録された出来事は掘り起こせば見ることができる。現地にいけば断層の様に見ることもできるだろう。だが多くの者は表面しか見ようとしない。空を見上げない者もまた多い。

2つ目。」


えっ?もう2つ目!?


神崎「あらゆるものは1、もしくは0になろうとする。この世界ではこの限りとは言えないだろうが、これは基本姿勢としては間違っていないハズだ、良く覚えておけ。」


はい?……


神崎「最後、3つ目だ。テメーらテキトーなことぬかしてんじゃねえぞ。データの信用性は再現性にあるんだ。再現性の無いデータは不確実なものとして扱われてもしかたがないんだ。どいつもこいつも都合のいいことばかりぬかしやがる。前そこにいるヤツが言ってたよ。信じたいものを信じればいい。確かにそうだろうな。だがな、信じるべきものはしっかり選べ、じゃねーと後悔するぞ。わかったな!?」


ちょっと待って、マジで意味わかんないです。色々とおかしいです。結局あなたは何が言いたいんですか?


神崎「どうせ何言ってたか理解できないだろうからまとめてやる。ノウハウと保存則と再現性を忘れるな!以上!後は明日の事についてアドバイスしておいてやる。お前ら俺らのホームベースに来るんだってな?だがいいか?俺達はやがて居なくなる。敵に勝てずに殺されるかもしれないし、元の世界にも待っている奴らがいる。だからどのみち俺達は消えるんだ、これを忘れるなよ!いいか?心掛けは命懸けだ!!」

デ「神崎さん、子供嫌いなんですかね?」

レ「俺に聞かれてもわからないな。」



デ「で、結局何だったんですか?さっきのスピーチは。」

神崎「やっぱり君もわかんなかったか。」

デ「意味不明ですよ。」

神崎「ただの足跡さ。小麦を撒かないと気が済まなくてな。」

デ「わかりません。ていうか神崎さん、子供嫌いなんですか?」

神崎「イヤ別に、全然好きだよ?じゃあ何故って?いつか解るかもね。」

フーレスト「いつか、か……」


と、不正確なロボットはガラスの向こうで呟くのだった。




翌日午前3時、メルコス城正面庭園。


神崎「時間だ、全機離陸。多分ここともおさらばだ。」


スィーバン達は輸送機達の安全を確保するため、ルート上の敵を殲滅する。

これ自体は2日前から行われていた事だが、スィーバンの参加は今回が初で、やらないと気が済まないらしい。クリップアイを信用きれていないのだろう。2重のチェックは良い心がけだ。


僕には迎えが来るらしいのでそれまでは待機。今日から再び新しい部隊に配属され、僕も再び戦火の中へ身を落とす。そもそもこの世界に人間にとって安全な場所など存在しないのだ。

新しい機体は単座な上に、攻撃方法が理解できない。これって乗っちゃダメなやっだよね?

と、思うのだった。


デ「おきをつけて!」

「これでようやくうるさい奴らが消えて静かになったよ。」

神崎「計画通りだな。」


彼らを見送る僕の耳には、後ろで呟かれた陰口が入ってきてしまったが、コックピットの中の呟きは届かなかった。




9時間後、だいたい正午、エリア28東方約40km海上、ワイノス艦内。


「指令、ご報告いたします。全てのキャリアーは無事に本艦に到着。ゲスト全員の確認も完了。そしてただ今スィーバンが到着いたしました。」


艦隊最大の艦艇ワイノスで、これから3日間に渡り交流会という名目で、選ばれたエリア28の住民、約3000に見学が許可される、というかつれてきた。これは人口の5%を超えるんだとか。この間甲板はお祭り会場となるのでジェット機は一切使用できず、使えるのはプロペラのVTOL機のみだ。

※VTOL機:垂直離着陸が可能な飛行機。ティルトウィングやティルトローター、ヘリコプターやF35B等がこれにあたる。ヤク41先輩マジリスペクトッス!!

因にF35Bはヤコブレフ設計局の機体をパクったわけではないらしい……ほんとかな?


重要区画や危険区画等、安全が保てない区画を除き、ワイノスは全面的に解放されている。祭の運営に必要な業務用通路は除くが。

しまわなくてはならないものは皆しまってロックをかけ、触られてはならないものは、取り除くかカバーをかける。ぶつかるとヤバイものにはクッションをつけて、清掃のしやすいようにも準備を行ってきた。

艦載機はできる限り他の艦へ移しておくが、他の空母の稼働率を下げるわけにはいかないので、空母ではない艦にヘリで無理矢理置かせてもらう。海に浮かせられる様なら頑張って浮かす。

移しきれなかったものは倉庫の隅に詰めて置くか、展示品にするしかない。


艦内は自由行動となっているので、当然迷子が続出するに決まっている。故に、あらゆる人員が艦内至るところに配置される。アンドロイドなので3日くらい休まずとも平気だが、不満は多い。しかし、艦内に、"幸せを守りたい"と書かれたポスターを貼ったところそれは消えたらしい。無邪気な子供達で癒されてくれると良いが……

甲板から落ちる者も多く出るだろうが、落ちたら死んでしまう可能性が高いので、全面的にネットが張られてある。大変な作業だったらしい……柵もあるし、自分から飛び込むような事をする人はいないと思うけど……

食堂は初めてのフル稼働で、食べ放題だ。飲食は甲板及び食堂のみで許可されているが、守られないのは目に見えている。テイクアウトは存在しない。けどさすがに食器は返してくれるよね?

トイレは元々こういう人達が使うとわかっていたので、ほぼ全てが洋式便座となっている。ウォシュレットって初めて使うとビックリするよね。僕もシルベリオンで初めて使ってビックリしたよ。

メディカルセンターも大忙しだろう。だが薬の持ち帰りは固く禁じている。それに誰かに処方された薬を他人が飲むのは良くない。因に手術でも体重等で嘘をつくと麻酔等の量が合わず、死に至るので、お医者さんには嘘をつかず、言われたことは正しく行おう。

※シルベリオン:リーモア艦隊の帰るべき場所。超巨大空中空母。空飛ぶ国。大きく分けて5段のユニットになっているため、単純な面積だけで考えれば首都圏以上の大きさは普通にあると思う。そんなにはないのかな?……よくわかんないです……


しかし、夜になると甲板上と、仮設の睡眠スペース以外は閉鎖させる。勿論トイレやメディカルセンターは解放されている。


空母2日目からは空母は動きだし、艦載機の離発着のデモンストレーションや、模擬戦闘も行うんだとか。

因にこれ、スィーバンがアグレッサー部隊として強く名乗り出たそうだ。レイズ君に至っては……殺されるらしい……彼の命は僕の魔法とメディカルセンターにかかってるんだとか……更にこの事、本人にはまだ伝えてないらしい……本当にひどいことするよね……

※アグレッサー部隊:敵を再現した部隊。訓練の仮想敵の役を専門とする部隊。


3日目はまあ儀式的な事がメインで、お昼には皆お帰りになられるらしい。午後には清掃等後片付けだ。

因にレイズ君の入隊式と、僕のあれも、この時点でようやく行われるらしい。



これらには僕もフリーの警備として参加するが、神崎さんが何やらかすかわかったもんじゃないのでマークさせてもらう。


と、思っていたのだが……

神崎さんは漫画に夢中だ。

漫画を読んでいるのではない、書いているのだ。それも僕向けなんだとか……

何でそんなことをするのかと尋ねたら、


神崎「書ける、書ける書けるぞぉ!」


とのことらしい。今までできなかった事ができるようになるのが嬉しいのはわかるのだが……



レイズ君は身体検査だ。乗艦者全員が簡易スキャンを受けているが、彼の場合、4DMRIという機械や血液検査等の精密検査なんだとか。

4DMRIってのは、6重螺旋構造がうんぬんかんぬんで1回転で全身をスキャンできるからうんぬんかんぬんらしい。詳しいことは僕にはわからない。


因にここで言う4Dは、天文学でよく使われるあれだ。

XYZの空間軸に加え、t、つまり時間軸を加えたということだ。これにより面倒ではあるが、時間変化も観察できるらしい。

※MRI:電磁気で水分をスキャンすることにより体内を超精密にスキャンできる機械。レントゲンやCTとは根本的に異なるが、多くの人はそこにあまり興味がないらしい。(が、いざ自分がMRIを使われる側になると放射能がどうのこうの言う人もいるのは迷惑だと思う。)


他のスィーバン隊員達は基本的に大人しいので問題は起きないとは思うんだけど……




と、甲板で突っ立っていたら、突然首を絞められた。

僕は反射的に反撃してしまったが……僕が甲板に叩きつけてしまったのは、なんと…………アルさんだった……オワタァ…………


アル「キサマァ……」


後ろでは天使の3人組が翼を隠した状態で僕を哀れそうに見つめていた……


この後僕は関係者以外立ち入り禁止区域に連行され、ひどい目にあわされました。



アル「人が本当に死ぬかもしれない病気で寝込んでいたのに何なんだ貴様は?」

デ「ちょっコワイコワイコワイ顔が近い……」

アル「御見舞いに来れなかったのは十分わかるが、まさか私の事を忘れていようとはなぁ……!」

デ「こっちも色々大変だったんですってー!それにアルさん、スパコンのタスクかなり割いて特効薬を開発してもらったらしいじゃないですか。」

アル「貴様に礼儀というものは無いのかっ!」

デ「ありましェブゴガッァ!?!!」


アルさんの腹パンで僕は通路の端の壁まで吹き飛ばされた。壁には配管やら色々あってスゴく痛かった。

しかし威力がおかしいです。


ギャグ補正なんてこの世界には無いんですけど……


アル「ふむ、礼を言うぞ。」

エ「あっはははははは……」


ああ、そういうことか……天使の加護がうんぬんかんぬんか……


と、4人はスタンした僕を置いてどこかへ消えてしまった……コレがこれからの部隊なのかぁ……




甲板に出ると、赤髪のお姉さんとやらに人だかりができていた。28の人々にとっては珍しいというか、あり得ないことだからだ。だからまあアルさんしかいないよね、エンジョイしてるね。また感染症もらってもしーらない。


と、また背中から誰かに肩に手をかけられた。

振り替えると見覚えのある黒毛の獣人さんと、その仲間達だった。メルコスの親衛隊だ。

1人1人のスペックはだいたい僕の6割より上とメチャクチャ強い人達だ。


「よう。」


何でこんなに馴れ馴れしいんだろう?僕にはその理由がよくわからなかったが、まあ、気にしないことにした。


デ「ああ、今までお世話になりました。」

「お前達、こんなスゲーとこに居たんだな。」

デ「まあ、コレが我々の戦い方ですから。」

「俺達の大半は船に乗るのが初めてなんだが、それがこれだよ。」

デ「まあ、木造では到底考えられない大きさですよね。」

「それに空まで飛んできちまった。」

デ「まあ僕は空飛んでて落とされたことあるんですけどね。」

「こんなのに襲われたら俺たちゃ成す術がねえよ。」

デ「それでも悪魔達には勝てないんですけどね。」

「な、何だって!?」

デ「僕らが来たあの日だって、いくらか悪魔達に落とされてるんですよ。数には限りがあるし、未来は明るくはないですよ。っ!」


こんなこと言っちゃダメだったんだ……


「なあ、あんた達の話、俺らに聞かせてくれよ。」

デ「ああ、そういうことでしたか……けど僕もよくわかんないこと多いんですよね……神崎さん、呼んできてもいいですか?」

「あの変なヤツか?」

デ「あれでも根はいい人なんですよ。」

「まあ、いいよな?」

「まあいいんじゃねえの?」

デ「ああ、けどこっちから出向いた方が早いか。」






"コンコンコン!"


仮眠室の重い防爆扉を3回ノックする。


神崎「何?デューク君?入って良いよー。」


と言われたのでレバーを上げて、扉を押す。



神崎「んあれ?多くない?多すぎだよ。」

デ「狭くはならないしいいじゃないですか。」

神崎「まあそうなんだけどさぁ……」

デ「お話が聞きたいそうです。」

神崎「刺客かよー……」

デ「親衛隊です。」

神崎「見りゃわかるよ。」


何に対してだかはわからなかったが、神崎さんは何かにあきれていた。



僕らの向かい側の3段ベッドには親衛隊員達が寄りかかったりはまってたりして話を聞いている。狭そう……


神崎「で、皆さんは何のお話が聞きたいんですか?」

「そりゃ勿論あんた達の事についてさ。」

神崎「うわー……1から話すとなると、俺の情報開示クリアランスの範囲だけでも3日はかかるよー。」

デ「まあ確かにそうですね。」

神崎「こんだけ人数がいると質問が飛び交うからイヤなんだよ……10人はいるもんね。」


今ここに居ない親衛隊員は皆城の警備に残っている。


神崎「まあ君達が知りたいのは戦闘機の事だろうね。」

「戦闘機って何だ?」

神崎「やっぱりまずそこからだよね。質問は後で聞くからしばらく黙っててね?

戦闘機ってのは元々、飛行機を落とすために作られたんだ。だが色々あって、我々の保有する物はまあいろいろあったんだ。」

デ「今の説明じゃ何もわかりませんね。」

神崎「そもそも我々は、この世界での戦いについて知らなかったんだ。悪魔が居るってのはわかってたんだけど、その戦い方までは知らなかった。その結果ひどい目にあったんだよ。まさか瞬間移動を連発されるとはね、困ったもんだよ。何が困るかって?前しかろくな攻撃ができないし、悪魔達の驚異的な反応速度に対処しきれないんだ。」

デ「それでもわかりませんよ。」

神崎「じゃあまずは銃について教えちゃおうか……本とは良くないことだと俺は思うんだけどね、どのみち明日わかっちゃうからね。教えちゃうよ。デューク君、我慢してね。」

デ「あっはい。」


神崎さんの意図を察した僕は立ち上がり、距離をとった。


神崎「皆さんこれ見て、片手で扱える大きさの銃。これ皆の前で使うのは初めてだよね。すごい大きな音が鳴るから注意してね。」


と、神崎さんも僕の反対側へ歩いていく。



神崎「我慢してね、デューク君。」


子供の頃の地獄の訓練に比べればこんなものどうってことはないのだ。


神崎「じゃいくよー。3 2 1 」


"パァン"


神崎「あダメだねー、効かないねぇ。」

デ「それでも痛いんですけどね。」

「なっ何だ?」

「何が起こった!?」

神崎「はいはい静かに静かに今から説明しますからね静かにしてくださいねー?」


僕は跳弾したタングステン弾を拾い上げる。熱い。


神崎「簡単に説明します。今彼がつまんでるものが、ここの穴から飛び出ました。はい、これだけです。コレが銃という武器です。弓矢みたいなもんですね。」

「スゲーッ!」

「何だそれ見えなかった!」

神崎「近すぎたし知らなかったから見えなかっただけです。もう1回やるんで見ててくださいな。」


"パァン!"


神崎「ね?見えたっしょ?」

「うおおおおお!」


"パンパンパンパンパンパンパンパァン!"


この連射はしゃがんだら外してくれた。


神崎「銃の歴史は長く、今ではこの様な武器となっています。空飛ぶあれについてるのは両手でも持てないくらい大きくて、仕組みが大きく違う部分があるけど、結局は何かを勢いよく飛ばすもの。しかし銃より歴史の長い弓矢とは別の物として分類されていますと。」


今の説明、なにか変だと思いませんか?勿論変な説明です。とても、とても……

間違っていないのに間違っていて、間違っているのに間違っていない。ね?怖くないですか?


神崎「しかし、これには大きな欠点がありました。消耗ですね。剣など刃物の場合は攻撃が当たらなければ基本的に刃毀れはおきません。なので使うのは時間と体力位ですね。ところがこれの場合、中にはこんなものが入ってます。」


と、マガジンを抜き出し、そこから弾薬を摘まみ出して皆に見せる。


神崎「デューク君、俺にゃできないからやってよ。」

デ「やるって、何をですか?」

神崎「薬莢摘まんでナイフで雷菅叩いて。」

※雷菅:弾の中の火薬に点火するために叩く部分。ハンドガンだろうがガトリングガンだろうがこれは叩いている。

因に知っている人も多いだろうが、あのロシアの超大ベストセラー、AKに使用される7.62mmNATO弾も一般的なスナイパーライフルに使われる7.62mmNATO弾も、最大秒間100発の連射力を誇るM134ミニガンに使われる7.62mmNATO弾も皆同じである。(尚、この中にも様々な弾種が存在するが、同じ企画なので、使えないものは無い筈です。)


長くなるのでAKとミニガンについては後書きで。


神崎「はーい、よーく見ててね。」


僕は弾薬を軽くつまみ、ナイフで雷菅を軽く叩く。


"パァン!"


すると僕が摘まんでいた弾薬は、直径9mmのタングステンの弾を前に飛ばすと、僅かな煙を残し、薬莢をどこかへ飛ばしてしまった。

強く摘まみすぎてもダメだからね。


神崎「と、この中には1回使うとダメになっちゃうものを沢山入れてるって訳なんですね。だからこれがなくなっちゃうと、使えなくなっちゃうんです。これ、秘密ですからね。間違っても他の誰かに話したりしないでくださいよ。それがわかったときには私、容赦なく殺すつもりなんで。」

デ「じゃあ教えなければよかったじゃないですか!」

神崎「まあまあ、説明するには重要だ。そしてこれ、僅かな訓練で誰でも使えるようになるってのが最大の強みだね。さすがに小さな子供が使うには無理があるけど、あんた達ならこれくらい余裕なはずだ。貸さないけどね。」


と、ホリスターに銃をしまう。が、代わりに腰に刺していた何かを引き抜いた。


神崎「次はミサイルだね。銃ってさ、基本的に真っ直ぐにしか飛ばせないんだよ。そこで作られたのがミサイル。まあこの場合爆弾ってこともあり得るんだけど、弾そのものを敵に向かわせようと考えたわけ、そして産み出されたのがミサイル。実はロケットって1枚噛むんだけどね。で、コレが我々の使う中では最も小型のミサイル。弾頭は基本的に小型HEかナパーム、シーカーは可視光のデジカメ式。誘導は推力偏向。安定翼は展開式ね。」

デ「神崎さんそれじゃわかりませんよ。しかもそれ使えるんですか?」

神崎「ただのクラッカーだよ。射程はせいぜい200m、だけどショルダーから抜けば1秒でスタンバイ、クラッカーとしてはまあまあ使えると思うよ。」

デ「かもしれないですね。」

神崎「これらについても明日見られると思うけど簡単に説明しておくね。まず先端の部分に敵を見つける目の様なものが何かしらつけられてる場合が多いいね。特に空の敵に攻撃するための物は皆ついてるね。これの場合この透明な部分とかがそうだね。」

「おおー。」

「これは、ガラスなのか?」

神崎「いや、これの場合はポリカーボネードだよ。軽いしね。だけど、表面は薄くダイヤモンドで被われてるよ。」

「ダイヤモンド?……」


まっさかぁ、という表情で皆神崎さんの顔とミサイルのレンズを見つめている。

けど広角レンズとしてダイヤモンドはどうなのだろうか……


神崎「金剛石とも言うよね。」

「う、嘘だぁ!?」

「ダイヤモンドだなんて!!」

神崎「全然嘘じゃないよ。君達ダイヤモンドの特性って知ってる?」

「高い!」

神崎「まあ貴重かもね。それ以外は?」

「透明!」

神崎「真っ黒なのも存在するんだけどね。」

「えええっ!?」

神崎「それ以外は?」

「ええっと……」

神崎「ダイヤモンドってね、メチャクチャ硬いんだよ。圧力にもそれなりに強いよね。そしてダイヤモンドには銅のだいたい2.5~5倍位の熱伝導率があるね。カーボンナノチューブには全然勝てないけど。って、ここまでの話わかるかな?」

「ダイヤモンドは硬い。」

神崎「うんダメだね、ごめん。硬いって知ってる?」

「曲がりにくい。」

神崎「それもそうなんだけど、今回の場合そうじゃないだな……ダイヤモンドはとても傷付きにくく、削るのがとても大変なんだ。だけど、砕くのは容易いことなんだ。片手で持てる小さなハンマーでも簡単に粉々にできるんだ、衝撃に弱いからね。」

「ええっ!?そうなの!」

神崎「で、熱伝導率ってのは、熱の伝わりやすさだね。明日よくわかると思うけど、我々は炎を沢山使ったりと色々と熱とは付き合いが多いんだ、工学的にね。そしてそこでは熱の処理が重要になるんだ。動き回ると体熱くなるじゃん?防具とか着てたら特に暑いじゃん?暑いと色々と大変じゃん?だから熱の伝わりやすさってのは重要な要素なんだ。で、ダイヤモンドはとても熱が伝わりやすい。つまり温めればすぐ熱くなるし、冷やせば直ぐに冷たくなる。」

「そ、そうだったのか……」

「スゲー……」

神崎「あとは、ダイヤモンドは屈折率が高いよ。といわれてもわかんないよね。分かりやすい例だと、よくキラキラするよ。ダイヤモンドが美しいのには、キラキラ輝きやすいっていう理由があるんじゃないかな?まあキラキラさせるには形がスゴい重要なんだけどね。」

「だから人気が高いのか……」

神崎「まあ俺の知ってる限りだとざっとこんなもんかな?で、ダイヤモンドは鉱物としてはかなり貴重な方のハズだけど、我々は自力で作れるんだ。整形もだいたいレーザーでオッケーだね。」

「な、何だって!?」

神崎「まあ、誰かにあげたりしないと約束できるのなら、きみたちにもアクセサリーとしてあげられるけど?……欲しい?」

「欲しい!」

「勿論だ!」


わざわざ聞くとはイヤらしい。


神崎「ふう、欲が丸出しだね……これはあんた達戦士達にあげるものなんだ、自慢するのは良いとしても、しっかり働きなよ?もし誰かにあげたりなんかしたら、殺すからね?これは許せないよ?もらうからには覚悟してね?下劣なカスどもに何かを与えるつもりは無いからね?」

「ハッ!」


ピュアだなぁ……


神崎「後で作らせとくから、明後日の式典とかまでには出来上がると思うよ。ああ、そうなると陛下の分までもか……と、話がかなり脱線したけどいいかな?一旦ダイヤモンドの事は忘れよう?ね?」

デ「無理なんじゃないですかね?……」

神崎「まあ進めるよ。で、ミサイルってのは銃とは大きく違うところがあるんだ。それがなにかというと、自力で進むんだ。説明するのは難しいんだけど、とにかく、火を使って進むものだと思って。で、何かしらの方法で自身の向きを変え、敵に自分をぶつける。それがミサイルって武器。まあところがワープ連発してくる悪魔にはコレがあんまり効かないんだよねぇ……」

デ「そこで」

神崎「ダメ、それはダメだデューク君。明日のショーには使われない、わかった?知ること事態不味いんだ。」


明日見せられないものは言ってはならないのか。


神崎「コレが我々が持ってきた主な武器だね。だけどそれがあんまり役に立たなかったんだ。そこで我々は新たな武器を作ってるんだけど、それはどうしても教えられないんだ。君達が誰にも言わなくとも、悪魔達はその情報を抜き出す術を持ち合わせてるはずだからね、ゴメンね、だから明日見せられないものは教えることすらできないんだ。もしこれが漏れたら人類は滅ぶからね。素手で悪魔と殴りあっても勝ち目無いっしょ?」

「あ、あぁ……」

神崎「人間ってのは弱いからね、武器を使って数で押すしか無いんだよ。だから手の内は隠しておかないと。それに、いや、何でもない。」


うちのクルー達から情報を得ることはできないだろうからね。


「武器の事はわかったが、空を飛ぶあれは何なのだ?」

神崎「何だと思う?」

「我々の知らない魔法だろう?」

神崎「ざんねーん。基本的に魔法は使わないんだ。」

「な、魔法じゃないだって!?」

神崎「基本的な原理は、鳥と同じだよ。」

「え?だって、鳥だって」

神崎「魔法を使ってる鳥もいるみたいだね。だけど、それは魔鳥でしょ?鳥は魔法なんか無くとも空は飛べるよ。そしてあれは空飛ぶ金属だね。まあこれも詳しいことは言えないけど、あらは空飛ぶ金属なんだ。中にいろいろ詰め込んでてね。頑張って空に浮くようにしてるんだよ。あ、鳥と同じ原理って事は秘密だからね、誰にも話さないでね?けど難しい話だし、魔法と思っておくのも悪くはないのかもね。」


この人の秘密管理ガバガバだな……いや、グラグラか?


神崎「なんかももうこれ以上戦いに関することを話すと危険だね。今まで聞いた話はお仲間さんにも女王陛下にも話さないでね?マジで漏れると滅びかねないから。ただでさえ劣性かもしれないってのによ……」


とは言うものの、今まで沈められた鑑定は1隻も無い。大襲撃のときフリゲートが何隻か壊されたけど、沈むまでには至っていない。ダメコンもスゴいからね。

※ダメコン:ダメージコントロールの略。だいたいは浸水を抑えたり火を消したりすること。応急修理はどうなのかな?……


壊れた艦艇も、主力クラスでなければ33の港で修復が可能だ。フリゲートなら造船も始まっている。


「じゃあ、あんたについても聞いていいか?」

神崎「聞きたいことは沢山あるだろうね、答えられる範囲で答えるよ。」

「あんた昨日も子供達に怒鳴ったらしいな。」

神崎「まあ、シルバレットの都合だね……」

「何だそりゃ?」

神崎「まあ、シルバレットってのは一応俺のコードネームなんだけど……」

デ「1種の特殊階級みたいなものですよ。神崎さんには、この艦隊で1番偉い艦隊指令を含め、誰1人として尋ねてはならない秘密を、艦隊指令よりも偉い人から教えられているんです。だから、このシルバレットという名前に関することについて、聞き出すことはできないのです。」

神崎「シルバレットってのは、副次的にその秘密に関する力を使えるようになる場合があるんだ。まあそれはおいておいて、辛いことも多いもんなんだよ。」

「何が言いたいかさっぱりわからん。」

神崎「すまないか、この秘密は知るだけで死ぬ。この間もそれで数十人死んだよ。明後日俺はその事故処理をすることになってる。これ以上は話せない。」

「何だかわかんないけど、本当にその秘密とやらのせいなのか?」

神崎「また半分はね……」

「半分って何だよ。」

神崎「もう半分は、あれがおれ自身ってところかな?別に子供が嫌いな訳じゃない。だけど、どうしても伝えたいことなんだ、だからインパクト、つまり忘れないでほしかったんだ。それに、軽く喋ってもいけないことだと思ってた。だから、表現するときのイメージも内容に近い方が、関連記憶という考えからしても相応しい。それに何より……この続きは、また今度話すよ……本当は誰にも話したくはなかったんだけどね……納得いかないよね……今まであなた達には大変な迷惑をかけてきたと思ってる。謝るよ……申し訳、ございませんでした。」

デ「神崎さん?……」

「あんた、何を……世話になってるのは俺達の方だろう?……」

神崎「これ以上重たい話はよしましょう。さあ、甲板ではあなた方でも楽しめるものが沢山あると思いますよ。食堂でもお腹いっぱい食べられますよ。さあ。」

デ「行きましょう。」


僕はこの前彼が言っていた事を思い出す。


神崎「これ、再発しない訳じゃないぞ?もう、治らないんだ……」



メタイ話をすると、話の内容がシルバレットに関係する話である必要性は無い。再発は別の条件で発生する。勿論無関係ではないけど。

因に今回神崎さんの気が沈んだ原因は、シルバレットうんぬんにあまり関係の無い方の話だ。



「ダイヤモンドのアクセサリーって、いったいなんなんだろうな?」

「指輪にピアスにペンダント、もしかしたら全部かもしんねえな!」


さっきから話題はダイヤモンドの話ばかり……やっぱり教育を受けなければ、自分の思想というものは芽生えにくいんだろうな、と僕は思ったのだった……

3ベアリング回転ノズルはわかるとしても、リフトエンジンって発想はマジリスペクトッスよ!

胸を開けるとか驚きッス。

まあヤク36から学ばないとなんとも言えないんですけど……とにかく先に実用レベルに達したVTOL戦闘機を作ったのはヤコブレフです!

まあ、西側にはVTOLなんて必要なかったからなのかもしれませんがね……


にしてもロシアの戦車装甲っていつのを見ても皆えげつないですよね、良い意味で。


何?お前は東側かって?

勿論極東に住んでるんですから。

いや違う、共産主義かって?赤狩りはやめなさい、冷戦は終わったのです。

結果的に私は、民主主義でも共産主義でも食うに困らないなら良いんじゃないかなと思ってます。

因にリーモア艦隊は完全に共産主義です。内部に通貨は存在しません。労働力や時間等も含め、資源そのものが価値なのです。

まあ、追い詰められた共産主義が、チェルノブイリの悲劇を引き起こしたんですけどね……

歴史は波のように揺れるのです。


親衛隊がデューク君に馴れ馴れしい理由?それは筆者にもわかりませんが、そんな感じになりそうな理由はいくつも思い浮かびますよね。人間として見下してるとか、戦士として尊敬してるとか、哀れみとか、風習とか、気の向上とかいろいろありますよね。



AK:アブトマットカラシニコフ(?)

前にも説明したような気がしますが……

カラシニコフさんが設計したロシアの銃。

7.62mm弾を使用するAKは、ロシア軍に正式配備されたアサルト(?)ライフルで、AK47シリーズにおいて爆発的なヒットを記録した(???)。

構造が単純で生産コストがメチャクチャ低いのにスゴく頑丈で信頼性が高く、30口径(7.62弾を使用する)とだけあって、威力も高く、とにかくスゴい銃。

そこにたどり着くまでの歴史は書ききれないので、もしそこに興味のある方はWikipediaを参照されたし。

その生産性故に、不正規品も含め、世界中で生産された結果、世界一人を殺した銃とも言われているほど。

そのせいで扮装地でも大量に出回り、同じくソ連の大ベストセラー、皆大好きRPG7と共に入手が容易である。

新しく開発される銃もこれに互換性を持たせたりと教科書的な存在。

因にこれ以降のAKは影が薄いがしっかりと存在している。


M134:ミニガン

もう何回も説明した気が……

よくヘリのドアガンとして付いてますね。

M61バルカンの小型化版で、バルカンシリーズで間違いないらしいです。

あんまり速く撃ちすぎてもメリットよりデメリットが大きくなっちゃうから抑えられるけど、基本的に秒間16~50発のファイヤパワーで敵を圧倒している。

7.62mmNATO弾はスナイパーライフルに使われる弾とだけあって、こんなもん食らったら装甲無かったら確実に死にますね。

まあ遠くで凪ぎ払われたのが当たった程度なら生きてるかもしれませんが……


機銃掃射:凪ぎ払い

凪ぎ払う様に撃たないと掃射って言わないんですって。

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