Imagine Magic
第74回、今夏のあらすじ。
今回は短編2つです。
1つは翼を失った彼らの話。(翼というかは機体ですが……)
もう1つは過去の話。タイミング逃しちゃったんで短編の次に捩じ込みました。
けどまあ然り気無くalphabetタイトルですね。後書き大ヒントですよこれ。
今回は1000文字程度+4000文字程度で、5000文字程度です。
いろいろとヤバイ感じな85話 -想像力の世界-
多くの犠牲を伴ってしまったが、結果的に作戦は成功した。
本作戦の戦績のほぼ全てである自爆攻撃を行い、僕らの命を救ったディカプルウィングのクルー達には2階級特進が授与された。
そして生き残った僕らにも、他の部隊の事を救うため、自らの危険を顧みず囮となり、仲間を逃がした僕らにも勲章が授与された。
しかし、僕らは機体を失ってしまった。
アルケ「今ここにデュークは居ないが、お前達5人は、新たに創設された飛行隊に配属された。名前はスピリッツ飛行隊。魂を持つ者、という意味だ。そして機体だが、これに乗ってもらう。RMM1、ホッドリーパーだ。」
エ「これは……新型ですか?」
アルケ「そう、ようやく完成した新型機だ。これはアンフィーやデューク、神崎や悪魔達の戦闘データや生体サンプルを元に、新たに開発した戦闘用マジックデバイスを搭載しているのだが……」
アル「だが何だ?」
アルケ「これの開発に携わった主なメンバーは、これを完成させた1人を除き、皆死んでいる。」
一同「!?」
アルケ「皆頭がおかしくなっちまって、自殺か射殺で死んでいる。唯一生き残った研究員も、こいつを完成させたとき、勝った、と、そう言い残し、自分を無理矢理シャットダウンさせちまいやがった。これは自殺に近い行為だな。そしてこいつが残したメッセージでは、この新型デバイスの中身に興味を持つな、知るな、知ったら死ぬ、疑問を抱くな、と。そしてこれは、恐らくこれこそが神崎が知ってしまった真実だろう、とも。だから機体のAIも少し劣化させてある。意思を持たないように、思考はデータから単純な選択を連続させるように変えてある。だから、この機体のAIは最低限の支援しかしてくれない。だから訓練が必要だろうが、皮肉なことに、どうやらそれも無理らしい。」
アル「それはいったいどういう事だ!?」
アルケ「このデバイスの仕組みを知るな、知ろうとするな、気にするな。死にたくたければ知るんじゃない。」
エ「じゃあ、この機体を真の意味で使いこなせるのは、神崎さんだけってことですか?」
アルケ「いや、そうでもないな。このマジックデバイスは中身を知ってしまう事を防ぐために、間接的で抽象的な操作を行う為の、スピリットイメージングシステムというシステムがこれのために開発された。このシステムは、使用者の想像をできる限り具現化するものだ。魂を見れば思考も何となく解るからな。このマジックデバイス自体がこれを可能にしているらしい。それも何となくどころではない高精度なんだとよ。」
エ「そんな優秀なシステムまでたった1人で作ったんですか!?」
アルケ「さあな、詳しいことはわからないが、開発に携わったことは間違いないだろうし、ごく少人数だったことも間違いないだろうな。他に質問は?」
エ「そのスピリットイメージングシステムは、テストされているんですか?」
アルケ「そこは問題だ。結論を言えば、勿論されていないな。他には?」
エ「これって複座じゃないんですか?」
アルケ「単座だ。あんまり言いたくはないが、これも元は複座として開発されていたんだ。他は?」
フ「これにはいつから我々が乗るのですか?」
アルケ「今日からだ。ああ、そうそう。このマジックデバイス、生き残った研究員はこれを、シルバーバレットと言っていた。」
筆者[以下はタイミングを逃して入れられなかったエピソードです。時系列的には、レイズ君を仲摩にして間もない感じです。]
今日は違う飯使いの女の子が、僕達の夕食を1人で運んできてくれたが、僕は別に可愛いとは思えない。むしろ目が死んでいて怖いのだ。この国も僕らが来なければ滅んでただろう。それほど追い詰められていたのだ、生活環境は悪化していたのだろう。
そしてその女の子が部屋を出た直後だった。
神崎さんは立ち上がり、
神崎「デューク、毒物の警戒はできるな?注意しろ、俺は彼女をつける。」
エ「えっ?毒なんですかこれ?」
神崎「わからない。」
と、部屋を出ていってしまった。
親衛隊「おい待て、どこに行くつもりだ?」
突然部屋を出た俺を廊下側で警戒に当たっていた親衛隊が呼び止める。
神崎「ちょっと用を足しに。」
と、普通に言った後、小声で
神崎「というのは嘘だ、俺は彼女の後をつける。」
と告げておく。
親衛隊「何?どういうつもりだ?」
神崎「気になるなら付いて来い。」
親衛隊の制服は戦闘服にしては音は鳴りにくい。この程度音はカートの雑音で掻き消されるハズだ。
神崎「あんた彼女について何か知ってる?」
親衛隊「いや、だがここで働いている者だということは確かだ。」
神崎「なら尚更だ。」
親衛隊「どういう意味だ?」
神崎「今に解る。」
俺達は厨房に辿り着いた。
BBA「ふん、無事に帰って来ちまいやがったよ。」
早速クソババアの声が耳に入ってきた。
BBA「私はてっきり今頃あんたが悪魔の夕飯になってるかと思ったよ。」
例えレイズ君が人を食ったとしても、親衛隊の監視があるんだ、今頃静かに食われてるなんて有り得ねえだろボケ。
クソアマ「あら、あんた帰って来たんだ、だけどあんたが帰ってくる場所はここには無いわ。」
聞いてるだけ不愉快だ。もうこいつらは確信犯だ、上が何と言おうが俺はシルバレット、好きにやらせてもらうぜ。
"バァン!"
9mm拳銃で壁にかかっていたフライパンを変形させる。
突然聞こえた謎の爆音で、中は一瞬でパニックになる。
神崎「今晩はクソッタレども、生ゴミより臭いなこの厨房は。」
親衛隊「神崎、人を傷つける様な真似は俺が許さないぞ。」
神崎「ならあんたが御成敗なさられな。」
俺はカートの側で踞っていた女の子にナイフを突きつける。
神崎「服脱ぎな。」
そんな俺にもロングソードが突き付けられる。
親衛隊「何をしている!?」
神崎「バカめ、お前はVIPの警護しかできないのか?ほら脱ぎな。」
厨房の人間達は、少女に脱衣を強いる俺と、それを止める親衛隊員を見つめている。
ナイフを突きつけられた彼女は服を脱いで行く。
上裸担ったところで俺はナイフを引っ込める。
神崎「ほら見な、予想通りだ。」
親衛隊「これは……」
神崎「人を傷つける様な真似は俺が許さないんじゃなかったのか?じゃあ彼女をアザまみれにしたやつらはどうするつもり?俺みたいにそのロングソードでぐさりといくんでしょ?俺が彼女を傷つけたらそうするつもりだったんでしょう?」
親衛隊「くっ……」
神崎「俺には剣を向けられるのに、厨房の連中には向けられないのか?臆病者め。中途半端な正義感だな。」
親衛隊「クソッ……」
とそこに、騒ぎを聞き付けた他の親衛隊員達やノーマル兵達がやって来た。
そしてどう見ても悪者な俺に皆が武器を構える。面白いのでもういっちょからかってみる。
神崎「お前達、命の恩人に何様だコラ?」
親衛隊B以降「お前が誰であろうと、罪人にはかわり無い!捕らえろ!」
殴られるのも嫌だったのでサブマシンガンを作って応戦しようとも思ったけど、女王陛下に怒られそうだったので素直に殴られて縛られておいた。
そして俺とデュークとレイズ君は再び牢獄にやって来てしまいました。
殴られて歯も数本抜け出し、肋骨も折れて肘の靭帯も切れちゃったけど、デューク君にかかれば全回復だ。が、今回はあえてそうせず、一切の治療を受けない。
もう痛みにもだいぶ慣れたな、口がひきつるけどさ。
デ「神崎さん、何しでかしたんですか?」
神崎「ちっとね、面白いことやってたの。」
デ「それで打ち首とか笑えないですよ?」
神崎「大丈夫、本当に面白いのはここからだから。」
デ「本当に何したんですか?」
神崎「今はイラついているそこの監守も、後で面白いことになるぞ。」
デ「過去の話を聞いているのに未来の話をしないでください。」
神崎「まあ、正しき行いってヤツを、少々乱暴にやっただけさ。」
デ「よく少々で牢獄行きになりますね。」
神崎「もっと乱暴にやったら艦隊とこの国の関係にもヒビが入ってたかもね。」
デ「じゃあかわいいもんかもしれないですね……何で乱暴にやるかな?……」
神崎「まあ解るよ。」
それから20分位が経った。
沢山の足音が聞こえてきた。
女王「直ちにリーモア艦隊の人々を釈放しなさい!」
「えっ!?は?ハイッ!」
鍵を持った監守がこちらに走って来た。
神崎さんのしでかした事に大体の想像がついてしまった……
牢を出ると、女王陛下の後ろには親衛隊が沢山居た。だけど皆怯えた表情をしていた。
勇敢な戦士達が怯える状況、やはりそういうことなのだろう……神崎さん腹黒いなぁ……わざとボコされてまでやるのか……
女王「この度は、誠に申し訳ございませんでした!」
と、女王陛下が深く頭を下げる。この謝罪の意の示し方は同じなのか。
神崎「いえ、女王陛下に落ち度はございません……悪いのは後ろの方々ですね。無関係な方に謝られましても満足はいかないものです……ウッ……親衛隊は庭に集合。」
ゲッス……
多分痛みで声が出てるのはホントなんだろうけど、ゲッス。
神崎「どうも皆さん、夜分遅くにお集まりいただき有難うございます……ところで親衛隊長、親衛隊とはどの様なお仕事をなさられておられるのですか?」
神崎さんはあえて笑顔は表に出さず、真顔で淡々と喋りスゴい圧力をかける。と言っても、顔も腫れてて表情はよくわかんないけど……
親衛隊長も自分に非があり、反論すらできない為、汗をかいている。
女王陛下も神崎さんを心配そうに見つめていた。
デ「女王陛下……あの、心配なさらなくても大丈夫ですよ。あの人きっと遊んでるだけですから……外は風が冷たいですし、早くお休みになられた方がお体のためです。」
女王「ですが……」
デ「女王陛下に危害が及ぶようなら、僕があの人殴っておくんで、どうかご心配なさらずに。」
女王「デューク様は、あのようなお姿の神埼様を殴ると仰るのですか!」
デ「治療を拒んだのは彼です。ですので問題ありません。」
と言っても心配なものは心配なものか……
神崎「それは素晴らしいお仕事をなさられておられますねぇ。ところでこれはなんでしょうか?」
と、自分の歯を見せつける神崎さん。
神崎「私はもう、21歳になりまして、自然に歯が抜けるようなことはありまん。ですがこれは私の歯の様です、不思議ですねぇ。」
ああイライラしてきた。
レ「隊長やるなぁ。」
デ「感心しちゃダメだよレイズ君……」
神崎「ではどうして私の歯は抜けてしまったのでしょうか?どなたかご存じありませんか?」
どうせ神崎さんがそう仕向けたのだろうが、実際にその現場を見ていないため僕は、神崎さんの質問に返答することはできなかった。
親衛隊長「それは……私共が、暴力をあなた様に加えてしまった為であります……」
神崎「では何故そのようなことがおきてしまったのでしょうか?」
しばらくの間静寂が訪れる。
神崎「私は、剣を向けられ、不平等な扱いを受け、濡れ衣を着せられ、挙げ句の果てには無抵抗のままに、重症に至るまでの暴行を受けてしまいました。これは何故でしょうか?」
一部の親衛隊員達が涙を流し始めてしまった……そろそろ茶番の域を越えてきた……
まあ神崎さんもあの傷でよく自立できるもんだ。
神崎「何故誰も答えてくれないのですか?」
その顔で言われると、切なくなってくるよね。
神崎「私もこの国を守るために、数えきれない程の敵の中に出向き、最前線で命を懸けて戦いました。ですが、何故私はこうなってしまったのでしょうか?」
何故って自分が一番よくわかってるでしょう……
と、親衛隊長まで声をあげて泣き始めてしまったところで神崎さんは態度を変える。
神崎「まあ元はと言えば、情報不足だよね。いっつ……そもそもさ、ここに来て間もない俺が気づけたことに、何であんた達が気づけなかったわけ?彼女きっと長い間いじめられてたと思うよ?実際に職場でも邪魔者扱いされて、暴行を受けて身体中にアザができていたわけだし。栄養不足は気づけなかったしにても、あんた達バカだよね。」
僕は言いすぎだと思う。
神崎「それでさ、確かに俺も乱暴な事したけど、何であの場で誤解を解いてくれなかったかね?しかも一切抵抗しなかったのになんであそこまで殴るかな?見て解る通り身体中傷だらけだよ。歯は抜けるし肋は折れるし靭帯は切れて腕が変な方向にまで曲がるし、アガアッ!……何でこうなるかね?君達も腕反対まで曲げよっか?ねじって引き千切ってあげようか?」
まさかこれは本気じゃないだろうな……
神崎「マジで反省しろよお前ら。俺を悪魔を仲間にしたヤバイやつって思ってただろうけど、これは本当に無いぜマジで。これから俺に何されても文句言うなよなコラ。わかったなら返事しろよな……」
急に態度が変わった神崎さんに困惑する親衛隊員達だったが、怒られていることには変わりはなく、ガクブルしていたのだった……
まあ、スピリットイメージングシステムなんて、偽装工作でしかないんですけどね。




