どこへでもどこででも
新たな世界でも、戦士達は、いつまでも、どこまでも……
なんかもうここで終わらせるのもありかなって思うんですよね。ナンバリングが1で終わってはいけない理由もありませんし。まあ、一応続きも書きますけど。
尚、"第9章からでもわかる解説"は書きません。無理ですね、はい。
第89回、今回のあらすじ。
あれからそれなりの月日が流れましたとさ。
しかし彼らの戦いは終わる気配を見せません。
今回は11000文字程度です。
記念すべきな感じがしないでもない感じな第100話 -いつまでもどこまでも-
あれから半年くらいの月日が流れ、季節は春から夏へと移り変わろうとしている。
悪魔達に支配されちゃった南半球も、神崎さんが死ぬ直前に準備をしてくれていたお陰で大規模な戦闘には発展せず、今は平和が続いている。(※健永さんが何をしたか、この部分については今後も触れるつもりはありません。)
そして僕らスピリッツにもようやく機体が調達された。
ティルトローターの武装輸送機だ。整備員さんも皆死んじゃったから、自分達で整備しなくてはならない。
ビーグルの生産はできても、アンドロイドの生産はここではできない。人手不足は避けられない。
しかし、世の中は平和になった。今や世界中の人々が僕らの名前を知っている。中でも一部では世界を危機から救ったものとして。
いまやそんな僕らには、輸送機があれば十分なのかもしれない。
僕らリーモアの主要拠点は現在3箇所にある。エリア33南部と、エリア28。それから北極だ。中でも33は大工業地帯と化している。
戦火を免れた北極の部隊は北半球全体の治安維持や、南半球の悪魔さん達の交渉の道具として大いに活躍されている。けどこの話はまた今度。
エリア28……
ここは一時期戦場と化したが、増設された防空システムによって被害は殆ど出なかった。(最小限に抑えられたって表現は無傷に近い感じがするんで使いません。例えば流れ弾も洒落にならないですしね……)
内部に入り込んだ敵も暇してた地上部隊と、ダイヤモンドの戦士達によって退治されたんだと。
ダイヤモンドの戦士達、それはエリア28ではリーモアの次に名を轟かせる武装集団。そう、王宮の親衛隊だ。(第98部 "偽悪者(前)"後半参照)一時期は国中に展開していたんだとか。
ワイノスへ行った12人の親衛隊は神崎さんからダイヤモンドやオリハルコン等の貴重な資源を用いたブローチが支給された。今それを付けている人達は神崎さんの遺言に従い誰にも渡すつもりは無いらしいが、親衛隊を引退したら、それらは後輩に受け継がせるらしい。つまり次の世代からはこれを付けられるのはトップ12の戦士達となるのだろう……
で、今僕らスピリッツはエリア28の城に潜り込んでいる。
せっかく新しい機体が来たんだから何しようかな、と、思い付いたのが彼らへのサプライズだった。わざと見つかり正体を明かし驚かせてあげようというもの。
僕らスピリッツは今までずっとエリア33に居て、彼らとはあれ以来あっていないのだ。
だけどやるからには本気で潜入しようと思う。しかし人数が居ても邪魔というより、めんどくさいからイヤという理由で、僕とエルフェスさんの2人になってしまったが、逆に少ない方が簡単かもしれない。
装備はリーモアのガチなスニーキングスーツ。話すと長くなるからやめておくけど、ガチでヤバいスーツなのだ。これなら獣人さんの警戒も誤魔化せるはずだ……
エリア28上空……
『エリア28HQよりスピリッツ。先程から何をしている。』
上空2000mで旋回待機しています。
アル「スピリッツリーダーよりHQ。今うちのバカ2人がサプライズだとか言って城に潜り込んでやがる。」
『何?聞いていないぞ!報告しろ!』
アル「しないでほしかったんだと。」
『たっく……責任はとれよ、スピリッツリーダー。』
アル「了解。」
振動保護コンテナには大量の炭酸飲料が入れられており、パーティーをするつもりです。サプライズと言うより抜き打ちだね。
エリア28城内……
「おい、今何かあそこで動いたよな?」
と、警備の獣人さんが僕のいた方向を指差しながら仲間に報告をした。
「うん?何も見えないぞ?」
それもそのはず、アクティブ型のステルス迷彩ですから。
「確認する。付いて来てくれ。」
「わかった。」
マズイ、いくらステルスカモとて堂堂と動いたらさすがにばれてしまう。せめて親衛隊さん達がいるところまでは誰にも気付かれずに辿り着きたいのだけど……
もういいや、跳ぼう。
「なっ!?」
「今何か見えたよな!?」
「ああ、間違いない。俺が確認してくる。お前は増援を呼んでこい。」
「わかった。」
アッチャー……
エ「で、ここからどうするんですか?」
デ「どうしましょうね?さすがに女王陛下まで巻き込むと首が飛びそうなので、やっぱり親衛隊の施設をゴールとしましょう。」
親衛隊の訓練場……
しかし親衛隊はヤバかった。平時で気が緩んでいるハズなのに、全然緩くない。無自覚だかどうかはわからないけど、ステルスカモを使い距離まで保っているのに普通に気付かれた……!
デ「エルフェスさんはタイミングを見て空からやって来てください。僕は突っ込みます。」
エ「行ってらっしゃい。」
僕が走り出した瞬間その親衛隊員は何か(僕)の存在を確信し、笛を吹き武器を構えた。
すれちがい通信する瞬間には攻撃までされてしまったが、認識率が低かったため正確な攻撃ではなかった。
しかし回避するためにスライディングをしてしまった。これはディスアドバンテージ。
次の攻撃は更に正確な攻撃であった。ロールは間に合わないので僕はその剣を手で弾き、再び走り出した。
しかし、笛の音を聞いた隊員達がもう集まり始めていた。早すぎです……
そんなにいつもいつもピリピリしてると寿命縮まりますよきっと……
そして遂に僕は庭で囲まれてしまった。
僕はステルスカモをオフして、両手を上げた。
「何者だ貴様は!!」
スニーキングスーツに加えタクティカルフルフェイスまで被っている。全身は黒く、皮膚は見えない。
そこへエルフェスさんが翼を広げて飛んできた。彼のはそのままでも翼が展開できるように作られてるんで問題ないです。オーダーメイドなんで。
「な!何だこいつらは!!?」
僕が手をフルフェイスに動かすと、首元に槍の刃が当てられたが、構わずフルフェイスを外す。
デ「どうも、お久しぶりです。リーモア所属の、デューク特務少佐です。」
「あ、あなたは……!」
「おま、俺に抱き付いて寝てたやつだろ!」(第99部 "偽悪者(後)"参照。)
デ「てへへ、サプライズです。」
「じゃああの空に飛んでいるのは……」
デ「エルフェスさんです。」
と、エルフェスさんもフルフェイスを外して僕の横に降り立った。
エ「どうも、はじめまして。こうしてお話しするのは初めてですね。」
「お話には聞いておりました。」
エ「いいんですいいんです、そんなに気を使われなくても、僕らこそ侵入者なんで。」
デ「アルさん、こっち来てください。」
アル『了解、急行する。』
次の日……
デ「いやー、今日も平和ですねー……」
炭酸飲料はダメな人もいたけれど、多くの人には大好評だった。
そんで今門兵さんに話しかけている。
デ「そういえば、あの学校ってどうなったんですか?」
「メルコス新王国国立小学校か?」
デ「はい。」
「あそこはヤバイぞ。」
デ「何かあったんですか?」
「ああ、本当に恐ろしいよ。」
何かいけないことをしているのではと思い心配になってしまったが、そういうわけではなかったようだ。
「あそこの子供達はさ、皆超頭よくなっちゃって、俺にも子供が居てあそこに通ってるんだけどもうビックリだよ。」
デ「いい意味でヤバかったんですね。」
「ああ、読み書きができるんだ。俺なんて仕事で使う言葉を覚えるのにも苦労したってのによ。」
デ「言語とかそういう根本的な脳構造は幼ければ幼いほど影響を受けやすんですよ。だからあの学校では2歳児にも読みを教えたいそうなんですって。」
「そりゃスゴいなぁ……」
あそこの学校では計算や常識的知識の他にも、絶対音感、集団行動、魔術学、医学、経済学、芸術学、農学、倫理、等々様々なものが叩き込まれる。勿論責任の持てないことまでは教えてはいない。医学に関しても基礎的な事に限られているし、魔術学も危ない領域には触れない。
今ではそこらの大人よりも子供達の方が頭がいい。そのせいでどこの大人も皆入学を希望するが、人数的に無理なので無理なのだ。
「そうそう、あそこにゃ悪魔がいるらしいぜ。レイズっていう悪魔が住み着いてるらしいんだけど、」
デ「な、何ですって?」
「だから、あそこの小学校には、悪魔が住み着いてるらしい。」
デ「レイズって、レイズ グレーメアですよね?」
「ああ、そんな苗字だったな。知ってるのか?」
デ「知ってるのかも何も、あなたこそ知らないんですか?」
「ああ、知らないな。」
デ「1度は(第89部 "ラッキー"にて)女王陛下の命を狙ったんですよ?」
「な!何だって!?!?」
デ「おおお落ち着いてください、大丈夫ですから…………で、その後神崎さんの部隊のスィーバン小隊に所属してたんですけど、スィーバンは彼ともう1人を除いて皆死んでしまったんですよね……」
「…………何だかよくわからないけど、大丈夫、なんだな?」
デ「ええ、多分。」
「おい……」
1+1が2である事さえ保証できないんですからほんと勘弁ですわ……
という訳で学校へ向かうことにした。
ら、スピリッツ皆で行くことになった。
徒歩です。送迎バスには乗りません。長いです。観光です。警備です。いいんです。
服装はリーモアの制服です。制服は選ぶ必要がなく楽なのです。
道中……
デ「うわー、スッゴい見られてる。超見られてますよ。」
エ「この国では2人の髪の色は目立ちますからね。」
僕とエルフェスさんとファーリンさんは黒いけど、赤に水色は超目立つ。
リーモアの服を着ているからだろうか?国中の人から何か喜ばれている。
人々に囲まれて、お礼がしたいとか、お茶したい、とか、話を聞かせて欲しいとか、握手して欲しいとか、結婚して欲しい、とか色々言われる。
握手とかそういう簡単なの以外は一応全部断ってる。規則ですから。
戦術的、戦略的に関係の無いものは基本感謝の気持ち以外は受け取ってはいけないことになっている。立場によって例外はあるが、僕らは戦闘員。例内だ。
学校……
学校の校庭では子供達が運動をしていた。見てて愉快だ。
今でもここでは多くの職員がリーモアのアンドロイドだ。ここには被害は無かったらしい。ああ、因に仮設校舎はもう解体されました。ここは初登場で僕も始めてくる本校舎です。チラッとフェンスに囲まれたところにVLSが見えます。
校舎の屋上には機関砲も見えます。わー物騒。
まあ条約も無ければ他に目立つ建物も無いからいいんだけど、公共的で倫理上破壊するに相応しくない施設に武装を設置するのはよろしくない行為ですな。特に病院とか最悪です。空爆とかだと病院の上の機関砲を破壊すると、中の患者も殺すことになりますからね。人質とってるようなものですよね。
※VLS:ミサイル垂直発射装置。
ゲートで身分証明書を提示すると、
「お願いだから問題を起こすなよ。」
と言われてしまった。先日の事もあり、完全にブラックリスト入りしてます。アルさんにビンタされました……
リーモアの標準的な身分証明書があれば入校証を付ける必要はありません。磁気スキャンて居場所わかるしね。
しかし中に入るとこちらでも赤髪のお姉さんは注目の的だった。アルさんはすっかり機嫌を取り戻した。
それにしても驚いた。皆アルさんを見てはいるものの、授業放棄は起きていない。学べることのありがたさを噛み締めているのだろう……
フ「後10分程で給食の時間になります。」
と、ファーリンさん。(←エルフェスさんの幼馴染み。)歩きスマホです。
アル「給食とは何なのだ?」
デ「データベース(Wikipedi◯(日本語ページ))によりますと、"給食とは、特定多数人に対して専門の施設を用いて組織的・継続的に食事を提供するもの。"との事です。そして、この学校では"単独調理方式(自校方式)"、という方式を採用していまして、 "学校に給食室を設置して校内で給食を調理する方式。"との事です。画像を見た感じですと、配給に似てますね。」
という僕も歩きスマホです。
アル「なるほど、兵士達の食事と同じだな。」
デ「かもしれないですね。」
アル「なら我らもそれを食すとしよう。」
デ「データベースにやりますと、生徒達に支配されちゃった配られる前には必ず責任者が毒味を行うシステムとなっているようです。もうもうできてますね。」
アル「せっかくなんだ、子供達と一緒に食べようではないか。」
デ「椅子が足りません。この学校ではマナーも教えている様です、無作法な真似はできません。」
アル「その通りだな。」
立ち食いは推奨できません。
とかあって、僕らは普段あまり使われない部屋で5人で学校の給食を食べた。普通に美味しかったけど、おかわりせずには足りなかった。
デ「給食を食べた後は少し体を休め、その後自由に遊ばせるそうです。コンタクトをとる時間としては適切でしょう。」
アル「ところで、私達はいつになったら元の世界に帰れるのだ?」
デ「それ前も話したじゃないですか。条件は、我々の本来の目標を達成することと、スペラーズマスタールーン及びクリップアイのどれかが最低1つは稼働していることです。後の撤退シーケンスにはマニュアルがあります。」
アル「それは知っている。だから、いつになったら目標を達成するというのだ。人々はこんなにも幸せそうではないか。」
デ「3大拠点付近の人口ではではまだ確認できている人類の総人口のせいぜい2割にしか及ばず、特に南半球はご存じの通りです。まだまだ先は長いのかもしれません。」
リーモア艦隊は致命的に衰退してしまった。足りないものは補うしかない。けど、2大プラント艦を含めたプラント艦達はその殆どが戦火を逃れることができた。ストレージは消えてしまったけれど、資源さえあれば、再び艦隊を整えることはできなくても、空と地上できる。
エ「子供達、幸せそうに遊んでますね。」
僕らは食器を返却し、バカデカい校庭に出た。春の日射しは暖かい。えっ?冬でも日射しは暖かい……?
デ「あ、いた。」
当然だが子供達の中では大人は目立つ。レイズ君はすぐに見つけられた。
アル「ん?誰がどこにいた?」
デ「ほら、あれですよ、彼です。レイズさんです。」
アル「んん?」
柚比を指した先に大人は1人しかいないんだけどなぁ……
フ「資料によりますと、専用の指輪を装着するとこで人間の姿になることができる。と。」
デ「そうです、彼です。」
レイズ君は子供を肩車していて、両手も別の子供達に引っ張られている。
とそこへ、
「赤い髪のお姉ちゃんだー!」
とこちらにも人が集まってきた。撤退!
アル「あ!待て、デューク!デューーク!……」
髪の黒くない2人を残し僕らはレイズ君のところへ行った。
デ「半年ぶりですレイズ君。」
僕は手を振ってレイズ君に歩み寄る。
レ「おや、これはデューク特務少佐。」
デ「お久しぶりです。」
身長高いなぁ……
神崎さんの母国では、身長が180cmを超えると人生ハードモードって聞いたけど、彼は185cmだ。神崎さんの母国なら、生活で度々不便を感じるのだろう。
デ「レイズ君はこんなところで何してるんですか?」
レ「ふぅ……何をしているか、か……」
と、自分の肩に乗せていた子供を僕の肩に乗せ、再び口を開いた。
レ「隊長が言ってたんだ。思想は知識の上に成り立つって。自分のやりたいことを見つけるならまず色々なことを学べという意味だ。だから俺もこの学校で特別に授業を受けさせてもらってるんだ。子供達のようにうまくは覚えられないけど、それでも好きなことを学べる日々はとても充実しているよ。本当に世界が変わって見える。」
デ「けど、レイズ君は人間の魂が近くにあるとちょっとまずいんじゃありませんでしたっけ?」
レ「確かに指輪を着けていても俺の血は騒ぐことを止めない。けど、隊長が俺たちに託した未来は、何としても守りたい。隊長を含め、命を落としていった戦士達の魂が、いや、戦士達の託した志しが報われるように……らしくないことをするってのも悪いもんじゃない。逆に不思議な優越感を感じれる。」
デ「性格変わりましたね。」
レ「ふふふ。ところでそのお2人さんは?」
デ「紹介します。エルフェスさんと、ファーリンさんです。2人とも僕らの倍は年を取っているんです。実はこう見えてお2人とも天使なんです。」
レ「天使か…………」
デ「嫌な思い出でもあるんですか?」
レ「いや、始めてみる。」
デ「お2人はこの世界の天使ではなくて、艦隊と共にやって来たんですよ。」
「天子さんなの?」
と、近くの子供達が僕らの会話に反応する。アッチャー……
レ「デューク特務少佐。あなたが1番隊長と時を共にしたと聞いている。後でお話がしたい。3時に校長室まで1人で来てくれないか?」
デ「多分大丈夫です。」
午後3時……
学校にチャイムの音が鳴り響き、授業が終わり、子供達の下校が始まる時間になった。
校長室の扉をノックして、扉を開けるとには中にはレイズ君と、同じく唯一のスィーバンの生き残り、フーレストさんもいた。
レ「わざわざすまないな。」
デ「いえ、こちらこそお役にたてるかどうかわかりませんが……」
レ「まあお掛けな。」
と、水を入れてくれた。
レ「隊長は俺達に、多くは語らなかった。隊長は常に部隊の事を考え、自分の事はあまり気にしていない様子だった。そんな隊長を私達は尊敬しているんだ。決して強くない体で無茶ばかりして、それでも常に的確に部隊に指示を出し続け、命尽きるまで戦い抜いた。私達は隊長によって命を救われた。だから、今亡き隊長に何か恩返しをと思っていたのだが、何をしたらいいのかわからなくて。」
デ「そこで僕にですか…………実は僕も神崎さんの事は本人から聞いたことは少ないんですよ。家族がいるのかどうかさえ知らないのです。」
レ「じゃあ遺族へ贈り物というのも無理か……」
デ「神崎さんは、道徳というものに囚われてはいませんでした。神崎さんはそれが合理的と判断したことは大抵迷わず行動していました。今までも多くの人々を殺し、多くの人々の命を救ってきました。脅威は無力化し、友好的な存在には安全を。そんな人でした。ですから意思を受け継ぐというのは難しいものではないのかもしれません。」
レ「じゃあ、隊長は、隊長の好きなものを教えて欲しい。」
デ「神崎さんの好きなもの…………食べ物とかじゃないんですよね……?それじゃあ…………神崎さんは、学問が好きだったと思います。特に工学。神崎さんの世界には魔法がありませんでした。魔術もありませんでした。しかし神崎さんの世界は、長い歴史の中で蓄積されたノウハウが、高度な文明を築き上げたと聞いています。よくいろんな道具や建物などを見ては、加工方や歴史などを語り、僕らが見ても何とも思わないようなもを見てはよく、背景を考えていました。この部屋を照らすこの発光ダイオードも、外国の企業がどうだとか、ジェットエンジンの先端は昔は違う形をしていて、こういう経緯で今に至ったんだとか、そういうことを言っていました。そしてこうも言っていました。自分達の生活は先人達の苦労の上に成り立っている。ノウハウをバカにするものに恩恵を受ける資格はないと。つまり、神崎さんにとっては先人達の苦労が宝物だったのかもしれません。そう考えると、神崎さんにとっては未来への貢献が望みだったのでしょう…………神崎さんは、歴史に、未来に貢献することを選んだのでしょうね。」
フーレスト「やはりデュークさんもそう思いますか。」
デ「と、言いますと?」
フーレスト「もう確信できました。隊長が何を知り、何を思ったのかわかりました。隊長は歴史に名を残したかったわけではなかったんです。歴史の中に、自分の存在を、確かな痕跡を、どんな形であれ残したかったんです。」
デ「もしかしてフーレストさん。あなたシルバレットですか?」
フーレスト「そうなりますね。」
驚き轟き桃木栗の木山椒の木。
フーレスト「ようやく理解できました。」
レ「どういうことだよ。」
フーレスト「レイズさん、デュークさん……隊長は、真実に辿り着くことを望んではいません。」
レ「だからどういうことだって!?」
フーレスト「来ます。」
レ「誰がどこにk」
デ「キタッ!」
"パパパパパパパパパン!"
窓の外から銃声が聞こえてくる。
"ウウーーーーーーーゥゥゥ!ウウーーーーーーーゥゥゥ!"
『CPより各隊、現在裏ゲートにて正体不明の敵部総勢力との戦闘発生。総員は戦闘体制に以降。繰り返す、敵襲だ。』
デ「CPCP、こちらスピリッツ2。これより現場に急行、応戦する、火力支援を要請する。」
『こちらCPスピリッツ2火力支援了解。』
『ゲート壊滅。防壁展開間に合わない。』
※CP:Command Post つまり指令所。
CPのオペレーターさん達はなかなかに早口だ。戦闘機とかとは違い、ほぼ全ての通信を音声で行わなければならない。まあ考えてみれば当然の事だ。
遂に屋上の機関砲が発砲を始める。開けた窓からはそれが見えた。
敵は展開中の防壁に身を隠すが、防壁の近くに仕掛けられていた遠隔地雷が爆発し敵は打ち上げられる。
しかし敵は少なくとももう10人は居るように見える。ゲートを秒殺できたのだ、普通ではない。
『敵の正体が判明、敵は悪魔だ。町に潜伏していた模様。』
放課後とあり、校舎裏にも子供達がチラホラ見える。しかし防衛側は被害など気にせず全力で敵に火力を注ぐ。けれどいくら奇襲とはいえワープが妨害されている環境でゲートを秒殺となるとやはり、生半可な火力で対処できる敵ではないのは明らかだ。
僕も一目散に敵に向かって走って行く。
しかし次の瞬間僕は悪魔に心臓を貫かれていた。ザ・ワ◯ルド!
デ「ドゥボハアッ!?」
しかしまた次の瞬間にはその悪魔の頭にはナイフが刺さっており、そのちょっと先にはフーレストさんが居た。
!?!?
フーレスト「カウンターはシルバレットの専門分野。」
!?……
恐らくこんな感じだろう。敵は何らかの方法で僕に気づかれないように僕に急接近。後に攻撃。そしてフーレストさんもそれと同じトリックで反撃をしたのだろう。
しかし残念でしたな。不死身の特務少佐とか呼ばれそうな気がする僕は頭以外なら再生できるんだ。心臓が消えた程度では死にはしない。再生魔術の応用で、動脈に大量の血液を連続パルスで生成することによって血液循環は再現できる。しかも心臓自体の修復も余裕だ。この程度、どうってことはない。
僕は頭にナイフが突き刺さり絶命した悪魔を投げ飛ばし、次の目標に向かい再加速する。
が、不思議なことに地面から氷がスゴい勢いで僕の方にだけ一直線に伸びてきたため僕はあえて氷の伸びてきた方に勢いよくジャンプする。
みーつけた。
やはり敵の攻撃だった。
頭を握り潰された悪魔は即死する。してもらわないと困る。
しかしその瞬間にも敵は進行し、展開中の防壁を乗り越え僕の横を通りすぎて行く。
デ「クッ!」
間に合わない以前に僕の方にも新手が!
と、思ったら今度は地面から槍が突き出てきて、敵を一網打尽にしてしまった。
デ「……ファッ!?」
振り替えると指輪を外したレイズ君が立っていた……
レ「隊長に特訓されたこの力で、あんたの守りたかったものを守ってみようじゃないか。」
と、地面に倒れた悪魔達に更に大量の槍胴体を貫いたが、敵の半数には息がある。手加減された様だ。って何が何だかよくわからないけど、コレがレイズ君の攻撃だとするのならば、レイズ君は数十本の槍を同時に操作したことになる……マルチタスクというか、マルチプロセッシングなのかな……?
もう動けそうな敵がいなさそうなので僕は辺りを索敵する。
デ「クリア!」
フ「CP、CP、こちらスィーバン2。敵を制圧した、指示を乞う。」
『CPよりスィーバン2、こちらでも残敵は確認できない。増援の到着まで現状維持に努めろ。』
フ「スィーバン2了解、アウト。」
校舎の近くでは転んで怪我をしていたり蹲ってしまい動けなくなってしまった子供達が見えたが、幸い戦闘によるものではなく、重症を負っているようにも見えない。
そしてようやく武装警備員が校舎の中から出てきたのが見えた。武装警備員さん達も全速力で駆け付けたのだろうが、それだけあっという間に戦闘は進行してしまったのだ。ヘリの音も近付いてくる。テロへの課題は多そうだが、人手不足は簡単には補えない。
実は大人の入場を制限しているのもテロ防止の為なのだ。
結局被害は北ゲートだけで済み、学校の児童達には直接的な被害は無かった様だ。
壊滅したゲートにはバリケードを含む仮設ゲートを設置して、装甲車も警備についている。警戒レベルはFOBのゲートレベルだ。
しかしFOBのセキュリティーは不特定多数の監視には向いていない。入退場者をすべて監視している本校のセキュリティーとしては不安があるため、ここは関係者以外立ち入り禁止だろう。
レ「にしてもなぜわかったんだ?敵が来るって。」
フーレスト「シルバレットには僅かながら未来を予知できる能力があります。隊長が自分の死を予知していたように。」
レ「マジかよ……」
フーレスト「知りたくないことばかり知ってしまう。知ったら本当に命を落としかねない。」
レ「はあ、そうか……じゃああんたが新しいスィーバンの隊長だな。リナンバリングしないとな。」
デ「そういうのタッグって言うんですよね。」
レ「タッグ?タッグネームの事か?」
デ「いえ、それは"TAC"、これは"tag"と文字が違います。」
と、僕らの元へリーモアのアンドロイドが駆け寄ってくる。
「ご協力ありがとうございました。後は我々が引き継ぎますのでここはもうよろしいのですが、スィーバンとスピリッツには司令から召集がかかっていまして、明日、午前9時にFOB10に向かうよう伝えろと言われました。」
デ「明日午後9時にFOB10にスピリッツとスィーバンは集合、了解しました。」
「では、お疲れ様でした。」
次の日……
アル「どこだ?この基地のどこにいるんだ司令官は?」
デ「聞いてみるのが早いです。」
とかそんな感じな僕らの元に司令官はやって来た。
アルケ「よう、ご苦労だな。」
アル「場所くらい伝えてろ。」
アルケ「まあどこでもいいんだよ。しかしまあここで長々と話をするのもあれか。ついてこい。」
と、僕ら7人は建物の中へつれてこられた。
アルケ「まあそんな難しい話じゃない、新しい命令だ。今回お前達には共同で作戦を行ってもらう。本当は俺も参加したかったんだが、幹部は前の決戦で基地司令官位しかいなくなっちまったからな、俺は離れるわけにはいかないんだ。」
デ「まさか、長いんですか?」
アルケ「ああ、そうだ、長期作戦だ。知っての通り人手不足は深刻でな、今までのような作戦が行えなくなってしまった。今では主力は防衛で手一杯。そこで、お前達特殊部隊の出番って訳だ。本当はスィーバンのスピリッツも部隊自体統合したかったんだが、誇り高いスィーバンの事だ、まあめんどくさいもんな。けど、仲良くやってくれよ。で、作戦のないようなんだが、ぶっちゃけ潜入工作だ。俺達の存在はこの世界中に知れ渡ったが、それは名前だけ。何をしている何者かまでは風の噂だ。まあ布教してこい、バックアップは充実させてある。まず、スィーバンスピリッツ統合部隊に特殊権限を付与。大差級の権限だ。これなら付近に展開している部隊に指示もできるだろう。それと、クリップアイが24時間支援してくれる。1番機がいつでも真上にいてくれるぜ。最後に、車両を1台くれてやる。まあ元々リーモアのものじゃないんだがな。」
デ「まさか。」
アルケ「そう、あのバギー(の定義には当てはまらない車両)だよ。だがな……正確にはバギーはやって来たんだ。驚く程に変わってたよ。詳しいことは言えないが、まず3機関がすべて消えて、別の動力に置き換わっていた。索敵性能も向上、武装も強化、オートリペア標準搭載。まあ、車体に"銀の弾丸"のロゴがペイントされていた、と言えばお察しだろう。神崎の影響だ。こりゃもはや遺産だな。まあ、とにかく準備しとけ。お前らの都合がつき次第出撃だ。行ってこい、新世界へ。」
やっぱりナンバリング回収は困難なんで全部は無理ですね……すいませんでした…………
章タイトル何にしようかまだ決めてないんですよね。章の割り当ては自動ですが、新しい章のときは作品の投稿の方が先なんですよ。




