みそ汁
みそはどこからやってくる。
遠くの町からやってきた。
煮干しはどうしてやってきた。
海の果てから旅をして。
干からび乍らやってきた。
しょっぱくなって持ってきた。
子供のころ、母に黙ってみそ汁を作ったことがある。
結論からいうとすごく不味かった。
出汁が無い場合みそ汁は味気無いと知った。
子供のころのみそ汁はとにかく野菜を突っ込んだ。
灰汁取りなんて関係なし。お腹を膨らませるために一杯入れる。
父は島の子であり、湯通ししないまま魚のアラでアラだきを子供たちに振舞った。
これが翌朝になると凄まじい臭いを放つ。しかも美味しくない。
父としては湯通ししないアラだきこそが美味しいのだと思っていたと思う。
別にアラだきに限ったことじゃないが温めなおした汁物の味はまた別物でできたてが一番おいしいと思っている。
出汁を取った水にみそを丁寧にといて入れる。
乾燥若芽がぶわっと広がる。
ジャガイモが美味しいのは冬場。
里芋も捨てた物じゃない。
子供のころはみそ汁すら嫌っていたので油っぽい豚汁なんて地獄だった。
食べ終わるまで母は退席を許さなかったのだ。
ぎとぎと油に涙目で。
ごっくんのんでテレビ待ち。
時計がチクタク動いてる。
やっと食べ終わって走っても。
もう一五分すぎている。
一五分たったからもうみれない。
一五分しかたっていないからみよう。
たまった器をかたずけて、冷たい水に手を浸す。
さくっと洗っておべんと作り。
おやすみなさいとスイッチオフ。