140文字小説 その3
また彼女が流行の顔に整形してきた。やはり可愛い。服を着替えるように顔やスタイルを変えるのだ。つきあって3年になるが、僕は3年前の彼女の顔を覚えていない。ある時、君の本当の顔を知らないといったら、そういえば私も知らないと笑った。まあ、僕も似たようなものか
月が玉子に見えた夜。生まれるヒヨコを夢想して、それが雄鶏になったなら、驚くほどの大声で、朝が来るのを鳴くでしょう。ここに一人の弓上手、朝の二度寝が大好きで、月の雄鶏の噂をきいて、これでは朝が台無しと、弓を片手に月を待つ。
牛の背中に鞍のせて、京より東へ下ります。鞍の上には姫がいて、姫の上には月があり、月の側には群雲が紫色で空にあり。雲の上には雷様が、一人無聊におりました。入道相国ゆるすまじ。雷様の力を借りて一人のややを生みました。源氏の始まる少し前。平氏が終わる少し前。
空から糸が垂れていた。ごく普通の糸だ、僕は迷う事無く、糸に尺取り虫をくっつけた。尺取り虫は当たり前のように、ゆっくり、だが確実に空にむかって這って行く。上手く行けば何番目かの宇宙に到達した生物になるはずだ。
月が巨大なお団子だと分かった時から、人類の宇宙進出が本格化したと言って良いと思います。ほぼ無尽蔵ですから、これで食料問題は解決する。誰もがそう思った事でしょう。まさかこのお団子に合うタレが見つからないなど、誰も予想できなかった時代の話です。