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デスゲームで冷酷な男と組んだら、なぜか俺だけ守られている  作者: しゃとーぶりあん


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第1話 ゲーム開始

 



 蒼真が目を覚ましたとき最初に視界に入ったのは、どこまでも白い天井だった。


 蛍光灯の光が、冷たく広がっている。


 その光は病院のようでもあり、だがどこか無機質で、感情のない明るさだった。


 鼻に入ってくる匂いはコンクリートと鉄。


 病院なら当然あるはずの、消毒液の匂いすら、ない。


「……」


 桐生蒼真は、ゆっくりと瞬きをした。


 体がやけに重い。


 後頭部が鈍く痛む。


 起き上がろうとして、そこで初めて気付いた。


 床も、固いコンクリート。


 そして、ここは――――、


 見知らぬ部屋だった。


 窓はない。


 四方は灰色の壁で囲まれている。


 倉庫のようにも見えるが、やけに天井が高い。


 蒼真はゆっくり体を起こした。


「……どこだ、ここ」


 自分の声が、妙に響いた。


 そして次の瞬間、蒼真は気付く。


 自分以外にも、人が倒れていることに。


 床のあちこちに、男たちが横たわっていた。


 大学生くらいの若者。


 スーツ姿の社会人。


 中年の男もいる。


 全員、まだ意識が戻っていないらしい。


 蒼真は周囲を見渡した。


 数えてみる。


 一人。


 二人。


 三人――


 二十人。


 ちょうどそのときだった。


 ブツン。


 天井の中央に設置されていた巨大モニターが、突然点灯した。


 白い光が部屋を照らす。


 蒼真は思わず顔を上げた。


 そして──




『皆様、おはようございます』




 無機質な声が、部屋全体に響いた。


 人の声のようで、人の温度がない。


 機械が読み上げているような声だった。


(でも、どこか聞き覚えのあるような──)




『これより皆様には───』




 一拍の沈黙。




『デスゲームに参加していただきます』




 空気が、一瞬で変わった。


「……は?」


 誰かが間の抜けた声を出す。


 他の参加者たちも、次々に目を覚まし始めていた。


「なんだここ……」


「ふざけてんのか?」


「ドッキリ?」


 ざわめきが広がる。


 しかしモニターの声は、何事もないように続いた。




『ルールは簡単です』




 画面に文字が映る。


 参加者 20名




『皆様には、2人1組のペアでゲームに参加していただきます』




「は? なんだよそれ」


 若い男が立ち上がり、モニターに向かって怒鳴った。


「こんなの犯罪だぞ! さっさと出せ!」


 だが。


 モニターの声は、感情を持たない。




『勝てば生存』




 一拍。




『負ければ──死亡』




 部屋が凍りついた。


 誰かが笑う。


 乾いた、信じたくないという笑いだった。


「いやいや……映画かよ」


 その瞬間だった。


 グシャ。


 鈍い音が、部屋に響いた。


 蒼真は反射的に振り向く。


 男が一人、床に倒れていた。


 頭から血が流れている。


 天井を見ると、そこには機械のアームが無数に伸びていた。


 鋼鉄の腕。


 先端には鈍器のような装置。濡れて光っている。


 無数にある()()のうち一本が──


 さっきの男の頭を、()()()()の力で殴りつけていた。




『これ以降、第一ゲームにおけるルール説明中の発言は禁止とさせていただきます』




 機械の声が、静かに言った。


「……」


 誰も、声を出さなかった。


 出せなかった。


 さっきまで笑っていた男の体が、ぴくりとも動かない。


 床に血だまりが広がっていく。


 蒼真の喉が、ひくりと鳴った。


(……死んだ?)


 目の前で。


 本当に?


 モニターが再び光る。




『それでは、ペアを発表いたします』




 画面に、名前が並び始めた。


 次々に表示されていく名前。


 そして。


 ペア番号 03


 蒼真の視界が止まった。



 桐生 蒼真



 自分の名前だった。


 胸が、どくんと鳴る。


 そして、その下に表示されたもう一つの名前。



 神崎 蓮



「……」


 その瞬間だった。


 蒼真は、誰かの視線を感じた。


 ゆっくり顔を上げる。


 部屋の隅に、一人の男が立っていた。


 黒い髪。


 白い肌、整った顔立ち。


 冷たいほどに鋭い目。


 まるで感情を切り捨てたような、無表情。


(……はァ?イケメン爆発しろ)


 とっさに悪態をついてしまうほど、その男は美形だった。


 周囲は混乱しているのに。


 その男だけが、異様なほど落ち着いていた。


 蒼真と目が合う。


 その瞬間、男が歩き出した。


 ゆっくり。


 まっすぐ。


 一直線に蒼真の方へ。


 足音が、静かな部屋に響く。


 そして、蒼真の前で止まった。


 男は、蒼真を見下ろした。


 頭一つ分上からの視線は、蒼真にとってはなかなかに屈辱的だった。


 数秒の、沈黙。


「お前か」


 低い声だった。


 それだけ言って、男は蒼真をじっと見つめた。


 頭から、つま先まで。


 まるで値踏みするように。


 蒼真の背中に冷たい汗が流れる。


(な、なんだこいつ……)


 怖い。


 理由は分からない。


 だが本能が告げていた。


 この男は普通じゃない。




『第一ゲームを開始します』




 モニターの声が響く。


 部屋の中央の床が、機械音と共に開いた。


 そこから台が上がってくる。


 上には、二つのボタン。


 赤と青。


 モニターに説明が表示された。




『ゲーム名――信頼遊戯』


『二人同時に押してください』




 蒼真は画面を見る。


 そこに表示された結果を見て、背筋が冷えた。



 青=協力 赤=裏切り


 協力 × 協力 → 両方生存

 裏切り × 協力 → 裏切った側だけ生存

 裏切り × 裏切り → 両方死亡



 つまり――


 裏切れば、生き残れる。


 でも。


 相手が裏切れば、自分は死ぬ。


「……」


 蒼真は隣を見る。


 神崎は、ボタンをじっと見ていた。


 表情は変わらない。


 氷のような眼。


 蒼真は思わず声を出した。


「なぁ……」


 神崎は視線だけ動かした。


「協力、するよな?」


 沈黙のあとに。


 神崎は言った。


「さあな」


「え」


 背筋が冷えた。



『制限時間30秒』



 モニターが告げる。


 周囲ではすでにパニックが起きていた。


「頼む、協力しよう!」


「裏切ったら殺すぞ!」


 叫び声。


 時間が減っていく。


 20秒。


 15秒。


 蒼真はボタンを見つめた。


 協力か。


 裏切りか。


 もし裏切れば、生き残れる。


 でも。


「お前」


 隣から声がした。


 蒼真が顔を向ける。


 神崎がこちらを見ていた。


 その目は、妙に静かだった。


「協力押せ」


「……え?」


「いいから」


 神崎は言った。


「ここじゃお前は死なない」


 蒼真の頭が真っ白になる。


(は?)


 意味が分からない。



『5秒』



 神崎がボタンに手を置く。


「押せ」


 心臓が暴れていた。


 でも。


 蒼真は――――、


 協力ボタンを押した。


 同時に。


 神崎も、ボタンを押す。


 モニターが光る。



 『結果表示。



 桐生蒼真 協力』



 一瞬遅れて――



 『神崎蓮 裏切り』



「……え?」


 その瞬間。



 バン!



 銃声が響いた。


 蒼真の隣にいた、別のペアの片方が撃ち抜かれる。


 血が飛び散る。


 天井にぶら下がる機械のアームたちから生えた銃口が、


 しろい煙を立ち上らせていた。




『裏切り成功』


『1人以上の死者が出た場合、ゲームは終了となります。皆様、お疲れ様でした』




 モニターが告げる。




『ペア03 生存』




 蒼真は凍りついた。


 残ったペアを読み上げる声も耳に入らない。


 ゆっくり神崎を見る。


 声が震える。


「……今」


 喉が乾く。


「裏、切ったよな?」


 神崎は平然としていた。


「ああ」


「なんで……」


 蒼真が言い終わる前に。


 神崎は、白い犬歯を覗かせてニヤリと笑った。


 冷たい笑み。


 そして蒼真の耳元で、静かに囁いた。


「簡単だ」


 一瞬の沈黙。


「生き残る為に、やったんだ」


 蒼真の背筋に、ぞくりと寒気が走った。


 この男は───


 絶っ対に、信頼できない。

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なんちゃってデスゲーム風BL開始でございます〜。

明日明後日は休日なので毎日1話更新目指しまっす。

今のとこ攻めはひたすら意地悪ですが

いつかイチャイチャできる日は…来るのか?

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