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断罪されたので、裏から王国を乗っ取ります  作者: 早乙女リク


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第44話 公開審問決定

 王宮議会は、異様な静けさに包まれていた。


 議題は一つ。


 ――再編政策に関する公開審問の実施。


「異議はあるか」


 国王の問いに、誰も即答しない。


 反対すれば、“透明性を拒む側”になる。

 賛成すれば、王家自ら火を大きくする。


 巧妙な議題だった。


「異議はありません」


 最初に声を上げたのは、アルベルト・クラウスだった。


 穏やかな口調。


「王国は契約を掲げた。

 ならば説明も契約の一部」


 反論は難しい。


 軍代表が、低く言う。


「混乱を招く恐れがある」


「混乱は、隠蔽から生まれる」


 即座に返る。


 視線が、自然と王太子へ集まる。


 レオンハルトは、ゆっくりと立ち上がった。


「……実施する」


 短い言葉。


 議場にざわめきが広がる。


「日程は?」


「一月後」


 退路を断つ宣言だった。


「公開形式。

 質疑は制限しない」


 アルベルトの目が、わずかに細まる。


「殿下、よろしいのですな」


「王家は、契約を隠さない」


 その言葉に、迷いはない。


 会議は、決まった。


 公開審問。


 再断罪の舞台が、正式に整えられた。


 ――


 その夜。


 王都中に告知が貼り出された。


『再編政策公開審問

 主催:王宮議会

 弁明者:アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン』


 名が、はっきりと記される。


 酒場では歓声と不安が混じる。


「ついにか」

「説明できるのか?」


 教会では、静かな祈りが増えた。


 大司祭イグナスは、報告を受けて目を閉じる。


「人の理が、神の前に立つ」


 口元に、わずかな笑み。


「見届けよう」


 ――


 王宮執務室。


 マティアスが、書類の束を机に置く。


「想定質問一覧です」


 アリシアは、静かに目を通す。


「統制過多」

「自由の侵害」

「教会軽視」

「王権の逸脱」


 予想通りだ。


「答えは、用意できる」


 淡々と呟く。


「ですが」


 マティアスが、声を落とす。


「感情は、理屈で動きません」


「ええ」


 アリシアは、静かに頷く。


「だから私は、感情を動かさない」


 弁明しない。

 謝罪しない。


 説明するだけ。


 扉が開き、レオンハルトが入る。


「決まった」


「ええ、聞いたわ」


 短い沈黙。


「支持は」


 レオンハルトが、ゆっくりと言う。


「公の場で明言する」


 空気が止まる。


「王家の決断として」


 アリシアは、彼を見た。


「いいの」


「迷いはある」


 正直な言葉。


「だが、逃げれば王にはなれない」


 その瞳に、揺れは残っている。

 だが、覚悟もある。


 アリシアは、わずかに微笑んだ。


「それでいい」


 それ以上の言葉は、いらない。


 ――


 一月後。


 王宮大広間。


 公開審問の舞台は、すでに整えられている。


 席は埋まり、

 貴族、教会、軍、商人代表、民衆代表。


 すべてが、見ている。


 悪役令嬢は、中央に立つ。


 再び、裁かれる位置に。


 だが今回は、追放されるためではない。


 ――理念が、生き残れるかを試すために。


 審問の日は、迫っていた。

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