仕事はやるか
俺は中の様子が気になりバレないようにのぞこう、と考えたのだがバレると一巻の終わりのため諦めた。
渋々掃除を始める。俺が担当しているのは届く範囲の窓ではなく少し高い位置にある窓だ。一階からも二階からも届きにくい面倒な窓だ。とても長いワイパーを使って窓を拭いていく。こっちが嫌がられるのは下の位置よりも腕が疲れやすいからだ。俺は一枚拭くだけで肩の年齢がどっと老けたような痛みを感じた。めげずに2枚、3枚と続けて拭いていき、3時間後には使い物にならない腕が2本できあがったが、なんとか窓ふきを終えた。しかし今日の仕事はもう一つある。それは国の方をお出迎えすること。窓ふきの終了が侍従長から告げられたのは国の方がいらっしゃる時間の3分前。俺たちは急いで服を仕替えて、エントランスホールで待機した。
馬の音が聞こえる。とうとういらっしゃったようだ。お嬢様3人は年上が好みな俺でも見惚れるほどに美しく着飾っていた。寝起きの姿も見ていたがより一層に美しい。その中でもひと際目を引くのはレラ嬢。彼女は一見地味だが、他の二人よりも"おしゃれ"をわかっている。センスが良いというのだろうか。
そんなことを考えているうちに夫君と夫人、侍従長が先導して国の方を屋敷へ入れる。俺はドアが開いたのを見て、他の侍従と同時に深々と頭を下げた。
夫妻とお嬢様3人、そして国の人と侍従数名が応接間へ向かい、他は解散となった。
勿論俺は選ばれし数名には入っていないので夜の見回りまでは暇な時間が出来上がった。
(こういうとき、スマホでもパソコンでもあれば良いのに。)
部屋の中を漁れども、パズルどころか、本すらない。あるのはメモ帳と筆記用具だけ。
「あの女、ダーツ下手だったなぁ…」
俺は一人でつぶやいた。俺は思い出して笑う。あの乱雑な投げ方を再現して遊ぶ。コケにするようなことをしているとき、突然声が聞こえた。…ような気がした。
「誰が下手ですって!?今日はただ調子が悪かっただけです!」
幻聴だな。暇すぎて俺が生み出したイマジナリー下手女だ、ありがたく笑いものにさせてもらおう。
大声は出せないため静かに笑う。俺はまたつぶやく。
「幻聴を聞くほどに今は極限状態に暇なのだろうか、スマホのありがたみが身に染みるな。」
また幻聴がする。
「実声よ!…まったくバカは困るわ。ほんとうに、こまっちゃうわぁ!」
…。どうやら会話ができるようだ。こいつと、
読んでいただきありがとうございます!!!
ペースはわからなくなってきました、強引に終わらせるのは避けたいと思ってはいます。




