だから、悪くないじゃん!!!
ソルリの時と同じように俺は屋敷内を考えなしにさまよった。しかし1分、2分と歩いてもあの引力は現れない。そのことを少し疑問に思いながらも"この先に在る"と信じて進み続けた。そしてそれから10分歩き続け、とうとう端までたどり着いた。
「おかしいなぁ…」
「何が、おかしいんですかぁ?」
後ろから声がした。背筋が凍るような…ものすごくゾッとした。俺はとっさに言い訳を考える。だが休憩は理由に使えない。…なにせイエローカードが出されている、再犯をすればこの地位は軽く吹き飛ぶだろう。そうして俺が2秒以内で考えだした言い訳。
「レラ様が寝ているお部屋の場所を思い出せずに屋敷内を探しておりました。」
これを聞いてカラット侍従長の表情は変貌した。その顔は俺に中学校の小言が多い先生を思いださせる。
「いいですか!レラ様の寝室はソルリ様のお隣です。一年間は既に働いた屋敷でしょう?それも”住み込み”で。そもそも、私が命じたのはソルリ様を起こすことです。それが終わったら屋敷内の窓掃除をするのが通常業務でしょう?レラ様を起こすことは求めておりませんし別の方の担当です。勝手なことを…。仕事をしようとしていたのですから咎めはしませんが、もうちょっと色々と覚えなおしなさい。わかりましたか!!わかったら直ちに職務へ戻ること。」
廊下で立って説教とか、一体俺が何をしたというのだ…。
気分が下がったまま俺は窓を掃除しに動いた。12時までずっと掃除を続ける。しかし200人態勢で行っていたが、進捗は館の60%といったところだろう、それも6時間やってのこれだ。かなり進んでいる方ではないか。
昼休憩が入った。そういえども休憩とは名ばかりで、俺含め侍従は部屋に戻ることが許されず侍従専用の食堂でサンドイッチを受け取り、2分以内に食事を終えることが求められる。
早くも仕事に駆り出される。廊下をゆっくりと歩いて少しでも体力を回復させながら向かう。たどり着くまでに団欒室の前を通った。すると姉妹三人の会話が聞こえた。
「お願い!!死んで!死んでよ!レラ!!!死んで!!」
「え…、えっと…えっと。い、嫌です。アジ姉様の頼みだとしても、何もせずには死ねません!私は抵抗します…!」
「アジ姉、やってしまって!もし私が参加したらぼこぼこにしちゃって楽しくなりそうにないので出来ませんが、がんばってくださいませ!」
口が悪い姉妹だ。今日に国の方が来ることを忘れていらっしゃるのだろうか。
…ん?止めないといけないやつ、虐め、いびり?じゃないか!?
そういえば、あの女は[主人公をハッピーエンドに導け。]と言っていたな。そして俺が感じた予感はソルリで、今いじめられているのがレラだ。
…。どっちが主人公なんだ…?
読んでいただきありがとうございます!!!
『シンデレラ』を入れました。入れ込みました。
これでどんな展開にしてもシンデレラ文句はいわれませんよね?!




