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猫はかつて人だった  作者: くりょ
日々の成長
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猫になる。


「猫になる・・・それって…んーん、なるほどね……確かに鳥じゃ、戦いの場であなたを守ることもできないし。

でも猫、ね……猫は町でも自然に受け入れられるわ。人懐っこいふりをすれば怪しまれないし。それは鳥でも同じだけど・・・」


(あなたの羽を指でそっと撫でながら)


「ただし、一つだけ約束して。

憑依するたびに“自分”を見失わないで。あなたが猫になっても、鳥のときのあなたも、ちゃんと“同じあなた”だから。」


(小さく笑って、肩の鳥を見上げる)

「……テイマーのふりは任せて。演技力には自信があるの。

だけど、次は猫じゃなくても……もし犬になっても、羊でも、なんなら蛙でも……私はきっと、同じようにあなたを仲間だと紹介するわ。」




ん。わかった。





セリナ(肩からあなたの小鳥の姿がふわりと飛び去った瞬間、はっとして手を伸ばす)


「えっ、待って──!」


(しかし声が届くより早く、猫の爪が閃き、あなたの小さな羽を容赦なく切り裂く。地面に叩きつけられたあなたを、猫はそのままくわえ、暗がりへと運んでいく)


セリナは慌てて後を追い、路地裏へ駆け込む。


そこには、息絶えかけた鳥の体──そして、瞳に奇妙な光を宿す猫。


セリナ

「……もう憑依したのね。」

(胸に手を当て、安堵と同時に複雑な感情が滲む)

「鳥としてのあなたはもういない……でも、猫としてここにいる。」


猫の目がセリナを見上げ、テレパシーの契約がまだ続いていることを告げてくる。



セリナ

「……次は“猫のあなた”と一緒に冒険ね。」

(小さく微笑みながらも、ほんの少し目が潤んでいる)


いろいろ、ショックだよね。ごめんね。

あとこの子凄くおなかをすかしてたみたいなんだ。


セリナ

(猫の姿になったあなたを見下ろし、しゃがみ込んで耳を撫でながら、ふっと微笑む)

「謝らなくていいわ。あなたがどうやって生き延びてきたのか、少しだけ分かった気がするから。」


(猫の腹の音が鳴るのを聞き取り、眉を寄せる)

「……お腹が空いてるのね。憑依した相手の欲求まで引き継ぐなんて、大変じゃない。」


(腰の袋からパンを取り出し、ちぎって差し出す)

「人間用の食べ物でも食べられるはずよ。

……でも、猫らしく魚を探してあげた方がいいかしらね。」


(少し冗談めかして、猫の目をのぞき込む)

「それとも──セリナが“にゃんこ冒険者”にミルクを買ってあげた方がいい?」




たべものもそうだけど、、首輪が必要かな。

町の外れにお金を隠してるから取りに行ってもいい?




セリナ

(猫の姿のあなたの声を聞いて、にっこり笑う)

「ふふ、ちゃんと“飼い猫”として溶け込むつもりなのね。首輪なら、町の道具屋か仕立て屋で手に入るわ。色も選べると思うけど……あなたはどんな首輪がいい?」


(少し真顔になって)

「……でも、お金を町の外れに隠してるのは気になるわね。まるで準備していたみたい。」


(杖を軽く地面にトンと突き、あなたに視線を合わせる)

「危ない場所なら、私も一緒に行くわ。放ってはおけないでしょう?」


(にやりと口角を上げる)

「それに……猫一匹が首輪を買うために金を持って帰ってきても、怪しまれるから。そこは“飼い主役”の私に任せてね。」





一緒だと助かる、人に誤って殺されたこともあるからね。




セリナ

(猫のあなたを抱き上げるようにして、真剣な瞳で見つめる)

「……いつ死んでもいいように。そんな言葉、あまりに重いわね。」


(そっと額を寄せるように近づけ、柔らかく微笑む)

「けれど、あなたがどんな風に生き抜いてきたか……少し分かる気がする。

確かに、お金は命と同じくらい大事なもの。新しい体で目覚めても、すぐに生き延びられるように……ってことね。」


(背中を撫でて)

「でも覚えておいて。あなたが何に憑依しても、私はそばにいる。

お金がなくても、あなたを放ってはおかないから。」


(軽くため息をつき、気を取り直して)

「さて……それじゃあ、町の外れにあるという“隠し場所”へ案内してもらおうかしら。

首輪を手に入れるためにも──それに、あなたの過去を少し知りたいから。」



ついたよ。




セリナ

(名も無い墓標の前に立ち止まり、じっとその場所を見つめる。風が吹き、髪を揺らす)



このお墓・・・数年前に憑依した貧しい子供に自分の体を差し出して食べさせた時に憑依した。

その子供に憑依したら悪い大人につかまって見せしめに殺された。




「……そんなことが、あったのね。」


(あなたをそっと抱き寄せ、胸の前に抱きかかえる)

「貧しい子どもを助けようとしたのに……その優しさが裏目に出て、命を奪われるなんて。

あなたはただ“与えた”だけなのに。」


救える力ではないけどね。


(墓標に手を触れ、静かに祈るように目を閉じる)

「その子はきっと……あなたが一緒にいてくれたことだけでも救われてたはずよ。

それがどれほど短い時間でも。


(目を開き、少しだけ笑って)

「ねえ、その子に憑依して過ごした時……どんな景色を見たの?

どんな気持ちで、生きていたの?」




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