ずっと一緒に
日向と怜、幸せいっぱいの一日。
週末にバー「ルパン」にて。
貸切りで日向と怜のお祝いパーティが開催された。
バーの従業員達が気を利かせて貸切りとしてくれたのだ。そういえば、日向がバーに行く時は毎回、怜のいるカウンターに通されていた。最初から2人の関係は気づかれていたのかもしれない。
「日向、怜さん‥‥おめでとう!」と亜里沙。
「おめでとうございます! 良かったわ、2人がこういう形で結ばれて」と景子。
「父さん、ひなくん‥‥おめでとう」と言うのは怜の実の息子の翔。
怜はその昔、翔が生まれてすぐに離婚しているが20年後に再会し、今でも時々連絡を取り合う仲。
「怜さん、日向くん、おめでとう! パートナーシップ制度かぁ‥‥気になるかも、なぁ翔」と言うのは翔の恋人の拓海。
附属高校から翔と親友であったが、大学生で恋人同士となり、今も同じ職場である。
「そうだな‥‥ゆくゆくはこういう制度を使いたいね、拓海」と翔が言う。
「僕も気になるなぁ」と言うのは拓海の従兄弟の凪。
女性が苦手だったが怜の高校時代の同級生である広樹と出会い、恋に落ちた。
「日向くんも怜さんもおめでとう! 日向くん‥‥あとでパートナーシップ制度のこと教えて?」と凪が言っている。
「フフ‥‥凪も気になるか?」と言うのは凪の恋人の広樹。
怜の同級生であったが、4年程前にこの地域に転勤して怜と再会。お洒落でワイルドな男性である。ヒロ、ヒロさんと呼ばれている。
「怜、日向くん‥‥本当におめでとう! タキシードがよく似合ってるよ」と広樹も言う。
「ありがとうございます!」と日向も怜も笑顔になる。
みんなに祝ってもらえることがこんなに幸せなことだったなんて‥‥
怜と日向は指輪をお互いの指につけた。広樹お勧めの、シンプルだがセンスの良いデザインのブランドである。
指輪があると、本当に結婚したみたい‥‥と思いながら、日向は自分の手を眺めていた。
結婚式では誓いのキスというものをするが、僕達はどうするのだろう‥‥
日向が怜の顔を見つめる。
「ひな‥‥?」
「怜さん‥‥誓いの‥‥キスって‥‥するの?」
日向が頬を染めて尋ねる。
「私は‥‥見たいかな」と亜里沙が言う。
「私も‥‥気になる」と景子。
じーっと全員に見られる怜。これはやるしかなさそうだ。
怜はゆっくりと‥‥日向にキスをする。
皆の前で‥‥僕達‥‥キスしてる‥‥と思った日向は、自分から言い出したのに恥ずかしくなってきた。
そんな日向を怜がぎゅっと抱きしめてくれる。
「ひな、愛している」
「怜さん‥‥僕も」
こっちまでドキドキする‥‥と翔と拓海は思う。凪は目を輝かせていた。
そして、美味しい料理とデザートを食べながら歓談する。
「やっぱりここのお店はいいわよね〜♪ カクテルが美味しくてお洒落で、しかも怜さんがいるし」といつもの調子で景子が喋っている。
「ランチも美味しいからまた行きたいわ」と亜里沙。
「この店で6人集まった時、楽しかったよね」と翔が言う。
6人とは‥‥日向と怜、翔と拓海、凪と広樹である。バーでワイワイ喋っていたことを思い出す。皆が男性同士の恋愛をしているが、それぞれの話を聞くのも面白かった。
「そういえば凪、ヒロさんと同棲始めたんだって?」と拓海が言う。
「うん‥‥」少し凪が照れている。
「うちの嫁、本当に料理うまいから」と広樹が言う。
前から凪のことを時々「嫁」と言っており、そういうノリで2人は仲良く暮らしているようだ。
「そうか‥‥僕達も同棲しちゃう?」と翔が拓海に言う。
「え? うーん‥‥その方が貯金できるのかな?」
「まぁ‥‥ゆっくり考えるか。大体拓海がうちに来たがるからね」
「おい‥‥それは翔が誘うからだろう?」
「誘われたい顔をするからだよ? 拓海‥‥」
翔にそう言われ、拓海は顔を赤くしていた。
※※※
パーティも無事に終わり、家に帰った2人。着替えてから、パートナーシップ制度の手続きを行うために役所へ向かった。
2人で署名をして手続を終える。
隣にいる怜さんは‥‥今日から僕のパートナーなんだ。
これから人生を共に歩んでいく‥‥どんなことがあっても2人一緒であれば、きっと乗り越えられる。
家に戻った2人。
「怜さん‥‥これからもよろしくお願いします」
「こちらこそ‥‥よろしくお願いします」
何だか堅苦しくなってしまったが、すぐいつも通り日向が怜に抱きついた。
「今日は幸せな一日だったね‥‥怜さんが今までで一番素敵だったよ」
「ひな‥‥今日のお前の笑顔も最高だったよ」
「もう‥‥これから僕達、堂々とパートナーとして生きていけるんだね」
「そうだな、ひな‥‥幸せにするから」
「怜さん‥‥皆の前で言ってくれたの、もう一度言って? 『あ』で始まる言葉」
「ひな、愛しているよ」
日向は心の中から温かさが溢れ、嬉しくて怜にキスをした。
これまでと変わらない関係であっても、パートナーシップとして宣誓すれば実感が湧いてくる‥‥貴方と人生を共にする、いつまでも一緒にいるということ。
これからも一緒にいてね、怜さん‥‥
もちろんさ、ひな。ずっと一緒にいような‥‥
終わり
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
筆者は恋愛ものを書くことが多いですが、背景にある家族のことも書きたいと思っております。
そのため、これまでの作品は大体家族が絡んでいます。
1章で出てくる日向、怜、亜里沙、景子は筆者の性格に近い部分から生み出されたキャラクターです。その一方で2章以降に出てくる翔、拓海、凪、広樹などは一から作り出したキャラクター。
そのため、話が広がって行きいつしかキャラクター達が勝手に動いてくれる感覚となりました。
こういったことは初めてだったので物書きとしては嬉しいです。
本編は終わりますが、また番外編を書くかもしれません。もっと彼らを見ていたい‥‥そう思えば自然と彼らは動いてくれると思います。
ありがとうございました。




