表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【改稿中】バーテンダーのおじさんは僕の初恋  作者: 紅夜チャンプル
4. 社会人編 〜ふたりのこれから〜
80/81

ご挨拶

怜が、日向の両親への挨拶に行きます。

パートナーシップ制度を利用することと決めた日向と怜。

「結婚とは異なるとはいえ‥‥事前に伝えるべき人には伝えた方がいいだろう」と怜が言う。


となるとまずは‥‥

「お兄ちゃんいきなりどうしたのー? 女子高生は忙しいって言ってるじゃん」

週末に、日向の妹の菜穂が家に来てくれた。

「いらっしゃい、菜穂ちゃん」

怜がランチにパスタを準備してくれていた。

「うわぁー美味しそう! ま、おじさんの料理が食べられるならいっかー♪」


パスタを夢中で食べている菜穂。

少し落ち着いた所で、日向は菜穂に話をする。

「菜穂には最初に話しておこうと思ってて、今日来てもらったんだ」

「ん? どうしたの?」

「僕と怜さんは‥‥恋人同士なんだ」


シーン

菜穂の動きが止まった。

「‥‥そういう人、ほんとにいるんだ」

高校生になったとはいえ、まだ大人ではない。自分の恋愛経験もそこまでなさそうな菜穂である。やはり驚きを隠せないようだ。

「それで、僕達パートナーシップ制度でパートナーであることを届け出る予定なんだ。日本では同性婚はできないけれど、パートナーシップ制度があって」

「そうなんだ‥‥」


怜も話す。

「急にこんな話して驚かせちゃってすまないよ。だけど、世の中にはこういう人達も一定数いるんだ。俺とひなも、実際は今まで通りかもしれないが家族になりたくてな」

「おじさん‥‥あたしは前からお兄ちゃんの家族はおじさんだなって思ってたよ。年が離れているから2人がその‥‥付き合ってるとかパートナーっていうのは‥‥まだピンと来ないけど。正式に家族になるってことなら、それはお祝いしたい」

「菜穂‥‥ありがとう」

「お兄ちゃん‥‥あたしのこと忘れないでね」

「え? 忘れるわけないって‥‥いつでも菜穂はうちに遊びに来てもらっていいんだから」

「うん! あ‥‥でも急に呼び出すのは控えてね。あたしも予定あるんだから」

「フフ‥‥わかった」


「ひなのご両親にもご挨拶に行った方がいいとは思うけど‥‥」と怜。

「そうだよね‥‥」

「ただ、あの家では色々あったと思うから‥‥ひなが辛ければ俺一人で行くから」

「怜さん‥‥」


母親の再婚相手である義理の父親のことは今でも怖い。母親だって‥‥僕のことをどう思っているのかわからない。

でも‥‥


「僕‥‥両親のところに行く」

「大丈夫か? ひな‥‥」

「お兄ちゃん! そういうことなら、あたしがついてるから」と菜穂が言う。

「菜穂‥‥いいの?」

「あたしに任せて。前に比べたらお父さんもお母さんも、あたしの言うことを聞いてくれるようになったから」

「菜穂ちゃん、頼もしいな」と怜。


「じゃあ日程を決めないとね、怜さん」

「そうだな、連絡は俺からしておくよ。ひなのお父さんには店の資金のことで、これまでも連絡を取っていたから」

「ありがとう、怜さん‥‥」



挨拶しに行くと言ったものの‥‥日に日に緊張感が増していく。

夜にベッドで日向が不安そうに怜にしがみついていた。

「ひな‥‥大丈夫だよ。俺がついてる」

「怜さん‥‥」

「今の状況が変わることはないんだから‥‥」

「そうだよね‥‥」


「俺だって心配だな、いきなりおじさんが来て『息子さんをください』みたいな感じだろう?」

「ハハ‥‥本当だ‥‥笑ったらお腹痛くなってきた」

「おい、笑いすぎだって」

「でもさ、もうすでに一緒に住んでるからさ、あの両親にとっては『もう差しあげたつもりです』みたいな感じじゃない?」

「フフ‥‥何なんだそのやり取り‥‥」


これから挨拶に行くというのにベッドで2人が笑っている。

「怜さん‥‥何だか大丈夫な気がしてきた」

「そうか‥‥それなら良かったよ」



※※※



そして、日向の両親に挨拶に行く日となった。

この家を出たのが5年程前になる。

「はぁ‥‥5年ぶりか‥‥」

いよいよということで‥‥日向はやはり緊張しているようだ。

「ひな‥‥」

怜が日向の手をぎゅっと握ってくれた。

「怜さん‥‥」

大丈夫だって怜さんも言ってくれたんだから‥‥行かなきゃ。


日向の母親の留美(るみ)が迎えてくれた。

「こんにちは、ご無沙汰しております」と怜。

「どうぞ、お上がりください。日向‥‥久しぶりね」と留美が言う。

「母さんも元気そう」

「そうね」


奥のリビングへ案内された。ソファに日向の義理の父親の耕造(こうぞう)が座っている。

耕造の姿を見て反射的にびくっとしてしまう日向。怜が日向の背中に優しく手を添える。

「お兄ちゃん! おじさん!」と菜穂も来てくれた。

菜穂がいると少しホッとする日向である。


そして‥‥怜が覚悟を持って話す。

「今日はありがとうございます。私は、5年前に日向さんと一緒に住むようになる前から、日向さんとは真剣にお付き合いさせていただいております」

留美と耕造は驚くものの、そこまで表情は変わらない。

「それで‥‥パートナーシップ制度で今後はパートナーとして、日向さんと一緒になることができればと思います」


留美は耕造の方を見る。すると耕造が話し出した。

「日向がここを出た時から、君達には好きにしてくれたら良いと思っていたが‥‥そういう仲だったのか」

「お父さん、今は同性カップルもいるんだよ。怜さんといるお兄ちゃんは、いつも笑っている。だからお兄ちゃんには幸せになってほしいの」

「菜穂‥‥そうだな。もう我々が口出しすることではないな。私は同性のそういった話にはあまり詳しくはないのだが、お祝いはさせてもらうよ」

「父さん‥‥ありがとう」と日向が言う。


「怜さん、日向をこれからも‥‥よろしくお願いします」と留美。

「こちらこそ、よろしくお願いします」と怜。


一通り話が終わったところで耕造が日向に言う。

「日向、これまですまなかったな」

「えっ父さん‥‥」

「幸せにな」

それだけ言って耕造は部屋に戻って行った。

「日向‥‥私もごめんなさい。お幸せにね」と留美。

「ありがとう、母さん」


菜穂が玄関まで来てくれた。

「ね? お父さんとお母さん、ちょっとマシになったでしょ?」と菜穂がドヤ顔で言う。

「本当だ‥‥菜穂のおかげだよ」

「お兄ちゃん、思春期に入った娘にはね、弱いんだよ‥‥お父さんっていうのは」

「フフ‥‥そうなんだ」

「あ! ということはさぁ‥‥おじさんはあたしのお兄さんになるの?」

「え? 怜さんが‥‥?」


日向は怜の方を見る。

「お兄さんって呼んでもらえるなんて、若返ったみたいだな」と怜。

「いや、呼び方は別。おじさんはおじさんだわ」

「菜穂ちゃん‥‥そうだよな、ハハ」

「これからも仲良くするんだよ! お兄ちゃんとおじさん」

菜穂にそう言われて、頷く2人であった。



帰り道、日向はすっかり安心した表情である。

「怜さん‥‥ありがとう」

「こちらこそ。大丈夫だっただろう?」

「そうだね、思ったよりも‥‥スムーズだったね」

「色々あったけれど‥‥日向の幸せを願ってくれているんだよ」

「うん‥‥」


これから僕達はパートナーになる‥‥家族になる‥‥もう恋人じゃなくて夫婦みたいな、それ以上の関係なんだ‥‥

「嬉しい‥‥怜さん!」

日向が怜と腕をぎゅっと組んで寄り添う。

「幸せにするから‥‥ひな」

「僕も‥‥怜さんを幸せにする‥‥!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ