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【改稿中】バーテンダーのおじさんは僕の初恋  作者: 紅夜チャンプル
4. 社会人編 〜ふたりのこれから〜
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これからのこと

怜とのこれからのことを考える日向です。一方怜は‥‥

パートナーシップ制度とは‥‥

お互いを人生のパートナーとすることを公に証明するもの。結婚のような法的拘束力はなし。多くの自治体で導入‥‥制度の利用者もそこそこ多い‥‥


「こういうのがあるのかぁ‥‥」

日向は会社の昼休みに休憩スペースでスマホを眺めていた。

結婚とは違うけど、結婚に似たような感じで‥‥これがあれば僕達の関係が証明される。自治体からの支援や病院で家族として認められる。


家族‥‥

自分の家庭環境が複雑だったため、家族という言葉に憧れはあった。実際に怜と裕子、翼が公園で遊んでいるのを見かけた時には家族のように思ってしまった。しかし、そう見られる、仲の良い家族に見られることが羨ましいとも思った。

僕には‥‥妹はいるものの‥‥家族のパートナーと呼べるのは‥‥怜さんだけ‥‥


「日向さん♪ お疲れ様ですっ」

陽菜が飲み物を持って現れた。

「今日は愛妻弁当の日だったんですね!」

「え‥‥ちょっと陽菜さん‥‥言い方‥‥」

「あ、そっか。愛妻っていう言い方が変なのか。じゃあ彼氏弁当ですかね?」

「あの‥‥そういうのも‥‥」

日向は顔がほてってしまう。そしてふと思った。


彼氏弁当とか、彼女弁当という言い方よりも‥‥怜さんのお弁当は愛妻弁当と言う方がしっくりくるかも‥‥それはつまり‥‥怜さんとは家族なわけで‥‥パートナーなわけで‥‥

でも怜さんって‥‥僕にとっては妻というより夫っぽい‥‥いや、妻と夫という考え方自体が合ってないかも?


「妻でも夫でもない‥‥パートナーかぁ」

「日向さん? あ! パートナーシップ制度ですか?」

やたらと勘のいい陽菜にそう言われて日向は驚く。

「陽菜さん、知ってるの?」

「知ったのは最近ですよ。日向さんと怜さんってパートナーになるのかなと思って調べたら、検索で出て来ました。これまでは知らなかったです‥‥そういう制度もあるなんて。確かうちの人事制度でも認められていたはずです。福利厚生が同じように受けられるとか」


「そうだったんだ。うちの会社でもそういうのあるんだ‥‥ありがとう。陽菜さん」

「いえいえ! 怜さんとお幸せに!」

そう言って陽菜は休憩スペースから出て行った。

「よし、後でもう少し調べてみよう」

日向も休憩スペースを出て午後の仕事に向かった。



※※※



怜のお店にて。

「怜さん、少しお話がございまして」と裕子。

「大丈夫ですよ、どうかしましたか?」

「私、今は翼と実家に住んでいるのですが、ずっとこのままというわけにもいかなくて。いずれは翼と2人で暮らせるように‥‥そろそろ就職活動をしようと考えております」


「そうですか、そうだな‥‥うちだと正社員というのは難しいからな‥‥」

「すみません‥‥なので、決まるまでの間はこちらでアルバイトさせていただけると助かるのですが‥‥就職活動でシフトを調整いただくことは可能でしょうか? 無理を言って申し訳ないです」

「いやいや、そういうことなら事前に言ってくれたら調整するよ。裕子さんが抜けるのは残念だが‥‥あ、そうだ。俺の知り合いに正社員の募集があるか聞いてみるよ。飲食店経験もあってここまで頑張ってくれたんだ、自信を持って紹介できる」


「え‥‥? 何から何まで‥‥本当に怜さんには感謝しかないです‥‥自分でも探してはみますので‥‥」

「わかった。翼くんは元気か?」

「はい! 元気です。あの子のためにも頑張ります‥‥」


裕子が来てから、ランチ営業をスムーズに回すことができた。色々と課題も見つけたのでそれを反映させて‥‥次のアルバイトが入るまではどうにかやっていくしかなさそうだ。

「俺も頑張るか‥‥」



※※※



そして裕子は怜の伝手もあって、飲食店の採用が決まった。最初は非正規雇用となるが裕子の実力であれば、正社員にもなれるだろう。


怜は家で日向に裕子のことを話した。

「怜さん、無事に決まってよかったね! てことは‥‥またアルバイトを募集するの?」

「そうだな‥‥すぐには入って来ないとは思うが、しばらく今の体制でやるしかないな」

「そっか‥‥あのさぁ怜さん‥‥」

「何だ?」

「次はなるべく‥‥男性を採用してほしいな‥‥」


「フフ‥‥ひなみたいな男性だったらどうするんだ?」

「あ! そっか‥‥ごめん。何だか気になっちゃって。普通に仕事だけの関係なら何ともないのにね」

「ひな、もうあんなことにはならないから‥‥」

「うん‥‥」


日向は怜にパートナーシップ制度のことを相談することとした。

「あの‥‥怜さん‥‥」

「ん?」

どうしよう‥‥いきなりすぎるかな‥‥

日向はなかなか言い出せない。

「何か‥‥あったか?」と怜に言われる。

「怜さんは‥‥僕達のこれからのこと‥‥何か‥‥考えてる?」


もちろん今のままでも幸せだけど‥‥この先も貴方と共に人生を‥‥歩んでいけますか‥‥?


「ひな‥‥これからのことって‥‥」

「今のままでも嬉しいよ? けど亜里沙もプロポーズされて、僕は‥‥この先どうなるのかなって‥‥」

「そういうことか」

パートナーシップ制度のこと‥‥言っちゃう? どうしよう‥‥


「この先も‥‥俺はひなと一緒にいるつもりだよ」

「怜さん‥‥」

それは分かってるんだけど‥‥怜さんはそのままでもいいのかな‥‥

だけど‥‥何かあればいつでも話してくれていいって言っていた怜さん。ちゃんと話そう。


「怜さん、パートナーシップ制度って知ってる?」

「パートナーシップ制度‥‥そういえばあったな。詳しくは知らないけど‥‥ってひな、それが気になるのか?」

「うん‥‥僕達の場合だと今のままでも構わないかもって思ってた。だけど僕は‥‥怜さんと家族になりたい‥‥ずっと1人だったから‥‥家族が欲しい‥‥僕の家族は怜さんでいいんだよね‥‥?」


「ひな‥‥」

怜が日向を抱き寄せて言う。

「この俺と家族に‥‥なってくれるのか? ああいう制度を利用すると‥‥ひなはもう、自由に恋愛ができなくなってしまうぞ?」

「何言ってるんだよ怜さん‥‥! 僕には怜さん以外の人なんて考えられない。怜さん以外の自由な恋愛なんていらない、怜さんと一緒になりたい‥‥僕達がパートナーで家族なんだよっていう証明が欲しい‥‥そうじゃないと、僕は不安だよ‥‥さっきみたいに『男性を採用してほしい』なんて言ってしまうし‥‥」


「ひな‥‥そうか。俺は前に入院もした。これからだってひなに迷惑をかけてしまうかもしれない。だから‥‥そういう制度でひなを縛り付けてしまうんじゃないかって思ってた。今だったら‥‥俺に何かあっても自由に動けるだろう?」

「怜さんに何かあったら、僕がそばについてる。一緒に解決していけばいいでしょう? 迷惑なんかじゃないよ‥‥だって僕は怜さんのことが‥‥こんなにも好きなんだから。僕だって怜さんがいないと生きていけないんだから。この先もずっと‥‥僕と一緒にいて‥‥」


「ひな‥‥本当にいいのか?」

「うん‥‥」

「嬉しいよ‥‥ひな‥‥俺だってひなとパートナーになれたらって‥‥思ってたんだから」

「怜さん‥‥!」

日向がぎゅっと怜に抱きついて離れない。


そういえば、前に怜が入院した時にも怜は看護師に日向のことを「配偶者のようなもの」と紹介していた。

「あの時から‥‥いつかひなとパートナーになれたらって思ってた」

「そうだったんだ‥‥あの時から僕達、実はパートナーになってたのかもね」

「フフ‥‥そうだな」

「どうしよ‥‥僕‥‥ドキドキし過ぎて日常生活をちゃんと送れるかな」

「ハハ‥‥共に日常生活を送っていくのが夫婦やパートナーだろう?」

「あ、そうだね」


「けど‥‥ドキドキしながら照れているひなは可愛いから‥‥もっと見ていたいな」

怜が日向の顔をじっと見つめる。

「れ‥‥怜さん‥‥」

顔を近づけるだけで赤くなってしまうひな‥‥相変わらず可愛いのだが。

そう思いながら怜は日向にキスをした。


パートナーになると思うと、余計にドキドキしてしまう‥‥僕はいつになったら落ち着いた大人になれるのだろう‥‥

「そのままでいいんだよ、ひなは‥‥素直で純粋なところが、俺は好きなのだから」

前もそういうことを言ってくれていた怜さん‥‥パートナーとなっても僕は、このままでいいんだ。

「僕も‥‥怜さんのこと‥‥大好き‥‥」



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