表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【改稿中】バーテンダーのおじさんは僕の初恋  作者: 紅夜チャンプル
4. 社会人編 〜ふたりのこれから〜
75/81

今日は離れたくない

日向と怜、お互いの気持ちを話します。その後はやっぱりいつも通りでしょうか。

「ただいま‥‥」

「おかえり、ひな‥‥」

まだ緊張感のある中、2人は夕食を済ませてソファに座る。怜が早速話す。


「ひな、すまなかった。俺はお前の気持ちを考えずに‥‥誤解を招く行動を取ってしまった」

「怜さん‥‥」

「それに、従業員から聞いた。陽菜さんは昨日1人でうちのランチに来ていたそうだ。お前と会ったのも偶然だったんだ。信じてあげられなくて悪かった」

「‥‥僕も本当は先にカミングアウトしておくべきだったんだ。そうすれば陽菜さんがあんなことをせずに済んだかもしれない‥‥」

「そういうのは、しんどければ無理にしなくても、自分のペースでいいんだぞ」

「そうだね、もう陽菜さんには言ったから。特に気にしてなかったけど」

「そうか」


「あの公園で3人を見た時、家族に見えたんだよね。僕にはそれが辛かった‥‥怜さんが翼くんのことを考えているのはわかるけど、それってつまり‥‥」

「裕子さんのことか」

「あのお母さんと怜さんとの距離が近く感じたから、僕は苦しくて‥‥怜さんを好きでいいのかわからなくなったんだよ‥‥声をかけることもできなかった。疎外感というのかな。僕が前に自分の家族にされたような‥‥」


母親と再婚相手の義父が妹だけを可愛がっていた、あの状況を思い出してしまったのだった。

「最初は考え過ぎだと思った。もう社会人なのにいつまでこんなこと考えてるんだって‥‥でも、あの時の辛さは完全には忘れられない。またひとりぼっちになるんじゃないかって‥‥怜さんがあのお母さんを選ぶんじゃないかって、ずっと不安だった。それにあのお母さんは怜さんのことをずっと見ていた。2人がとても仲良さそうだったから‥‥嫌だったよ‥‥」


大きな瞳に涙を浮かべた日向が、怜を見つめている。

ここまで追い込まれていたなんて‥‥それもそうだ。自分が何とも思っていなくても、裕子がどう思っているのか、周りにどう見られているのか‥‥俺は何も気にしていなかった‥‥ひなをこんなに苦しめてしまったのだ。


「ごめん‥‥ひな‥‥本当にごめん‥‥裕子さんとの距離感には気をつける。公園にも行かない。ひなのこと‥‥絶対に悲しませない‥‥約束するよ」

怜は日向を抱き寄せる。怜の腕の中で日向は、我慢していた涙が一気に溢れ出すのを感じた。


「うぅ‥‥泣かないって決めたのに‥‥怜さん‥‥怜さん‥‥!」

「前から言ってるだろう? 俺の前では泣いてもいいって」

「怜さん‥‥怜さん‥‥怜さん‥‥!」

「何回言ってんだよ‥‥フフ」

「だって‥‥怜さんが‥‥怜さんが‥‥」

怜は日向の背中をポンポンとして、落ち着くのを待っていてくれた。

あったかい‥‥怜さんの腕の中はやっぱり心地良い‥‥そう思いながら日向は‥‥


スースー

「泣き疲れて寝るって‥‥子どもみたいだな、フフ」

怜は日向の頬にキスをしてソファに寝かせた。

「こんなに俺のことを想ってくれているのは‥‥ひな、お前だけだというのに‥‥たくさん泣かせてしまったな‥‥」

怜が日向の髪を撫でながら言った。


‥‥30分後。

「ひな、そろそろ起きた方がいいぞ」

「ん‥‥あれ‥‥僕、寝ちゃってたの?」

自分の気持ちを頑張って怜にぶつけたので、疲れてしまったようだ。

「ひな‥‥これ」

怜が抹茶オレを持って来てくれた。

「わぁ‥‥僕の好きなやつだ。ありがとう、怜さん」

いつもの笑顔に戻った日向‥‥可愛い‥‥前からこの笑顔をずっと守りたいと思ってたんだった。俺は。


「美味しい‥‥やっぱりこの抹茶が世界一だよ、怜さん‥‥」

前から日向が「世界一美味しい」と言ってた抹茶オレ。今日はさらに美味しく感じる。

ふと日向が怜の方を見る。

「あのさぁ‥‥昨日から寂しかったから‥‥今日はずっと離れたくない‥‥」

そう言って日向が怜に抱きついている。

「俺も‥‥ひながいないと耐えられない‥‥」

2人は唇を重ねる。昨日の分まで‥‥いつもより長い間‥‥



※※※



ベッドで怜に寄り添いながら話を聞く日向。

「え‥‥景子さんがそんなことを‥‥? もう、今度から怜さんのことで困ったら景子さんに言うから」

「おい‥‥それは勘弁してくれ。あの子にはかなわないからさ‥‥」

「じゃあ‥‥もう僕を困らせるようなことをしたら‥‥嫌だから‥‥」

日向が怜にしがみついている。少し震えているのだろうか‥‥

「ひな‥‥?」


「怜さん‥‥僕から離れないで‥‥」

「離れるものか」

「怜さんと‥‥一緒にいたいよ‥‥」

怜は初めて日向にそう言われたことを思い出した。あの時も必死でうちのバーに来て、一緒にいたいと言ってくれた。その時から日向の‥‥そういった気持ちは変わっていない。嬉しそうにしていることが増えたが、いつだってどこかで不安を抱えているのかもしれない。

そんな日向を守ると‥‥俺はあの時決めたんだ。それを忘れてはならない。


「ずっと一緒にいような、ひな‥‥」

「うん、怜さん‥‥大好き‥‥」

「ひな‥‥俺も大好きだよ」

優しく抱かれながら、怜にキスをされる。すると日向の頬が赤くなって可愛い‥‥可愛い‥‥と思いながら、怜はぎゅっと日向を抱き寄せた。


「ひな、あのさ‥‥明日‥‥休みだよな」

「うん‥‥」

「‥‥」

「‥‥」

「‥‥可愛いから‥‥寝かせたくないかも」

「‥‥いいよ‥‥怜さん‥‥」


怜は日向の首筋にキスをする。日向がぴくっと動くが‥‥そのまま怜に身を任せていた。

「怜さん‥‥『あ』で始まる言葉‥‥聞きたい」

「うーん‥‥何だろうな‥‥アメリカンショートヘア」

「え? 怜さんの‥‥いじわる‥‥じゃあ僕が言うね? あいして‥‥」

その言葉を言おうとすると、いつも通り怜に唇を塞がれてしまう日向。


「‥‥んっ‥‥れいさん‥‥」

「‥‥愛しているよ、ひな」

日向はさらに顔を赤くして瞳を潤ませている。

「可愛いんだから‥‥ひなは‥‥」

そんなことを言いながら、怜は日向にキスを繰り返し‥‥2人は熱い夜を過ごしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ