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【改稿中】バーテンダーのおじさんは僕の初恋  作者: 紅夜チャンプル
4. 社会人編 〜ふたりのこれから〜
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片想い 2

前回に引き続き、陽菜の片想い編です。

日向の会社の新人歓迎会、一次会が終わって、

「はい! 二次会行く人こっちですよー!」という声が聞こえる。

日向はもちろん帰るつもりなので、お疲れ様でしたと言って帰っていく。すると、

「日向さん! 待ってください!」と陽菜が追いかけて来た。

「陽菜さん、二次会行かないの? 新人さんは歓迎してもらえるよ?」

「いや‥‥いいんです。日向さんが帰るならご一緒に‥‥」

「え? 僕に合わせなくて大丈夫だよ?」

「あ、ちょっと疲れちゃったので‥‥ハハ」


日向はクスっと笑った。

「そうなんだ‥‥実は僕もああいうの、すぐ疲れちゃうんだよね。お酒が飲めないのもあるけど。1年目は頑張って二次会まで行ったけど次の日ボロボロだったから、もう無理はしないんだ」

「そうだったのですね‥‥私も無理しないようにしないと。明日も仕事ですしね!」

「陽菜さんはすごいな、仕事の意欲も高いし、コミュニケーション力もあるし」

「ええー! そんな‥‥」

ますます気になっちゃうじゃないの。私の前で自分の苦手なことを話してくれるなんて‥‥これは気を許してくれているのでは? うーん‥‥もうひと押ししてみようかな。


「あ‥‥」と言って陽菜がふらついて日向に寄りかかる。古典的なやり方かもしれないけど、日向さんみたいな純粋そうな人にはこのぐらいやらないと。

「え? 陽菜さん、大丈夫?」

日向が陽菜の顔色を見ている。日向に近くで見られて陽菜は顔が赤くなりそうであった。

日向さんのその大きな瞳で見つめられると‥‥だめだ。好き。どうしよう。


「疲れてるのかな? 無理しちゃだめだよ? えーと‥‥タクシー乗った方がいいかな?」

「す‥‥すみません」

日向はタクシーを呼んで陽菜と一緒に乗る。

タクシーの中でも陽菜は日向に寄りかかったままだが、日向は特に何も話さず前を見ている。そして、陽菜の住むマンションの近くで降ろしてもらい、日向が陽菜を支えながら陽菜の部屋の入り口まで歩いて来た。


「陽菜さん、大丈夫?」と日向が心配そうにしている。

「すみません‥‥思ったよりも‥‥飲み過ぎちゃったかもです‥‥」

「それは大変だ」


陽菜がどうにか鍵を開けて日向と一緒に部屋に入っていく。綺麗に整頓された部屋。もしものために掃除しておいて良かったと思う陽菜である。

どうにか陽菜をベッドに座らせて、日向は去ろうとするが陽菜が日向の手を取る。

「あ‥‥あの‥‥もう少し一緒にいてもらえませんか?」

これで大概の男性は一緒にいてくれるはず‥‥陽菜は日向を見つめている。


「うーん‥‥ちょっと待っててくれる?」

「え?」

このシチュエーションでちょっと待っててってどういうこと? 日向さん‥‥先輩達が言ってたように謎なんですけど。

日向は離れたところに移動してスマホを取り出した。誰かに電話するようだ。


「あ‥‥怜さん? 新人の子が酔い潰れちゃって家まで連れて来たんだけど、もうちょっと一緒にいてほしいみたいなんだよ。どうしよう?」

陽菜は驚く。すっかり目が冴えてしまった。親じゃないわよね‥‥? 彼女でもないはず‥‥? というかこういう状況で誰かに許可って取るものなの?

「うん、わかった。じゃあそうするね」

そう言って電話を切る日向。そして陽菜の方にやって来た。


「横になっていれば大丈夫だから。悪いけど僕は帰るね。明日早いんだ」

「あ‥‥はい、ありがとうございます‥‥すみませんわがまま言っちゃって」

「気をつけてね。じゃあまた明日」

日向は帰って行った。

あれ‥‥? 部屋に入ったのに何もなかったんだけど。つまり私に興味ないってことかしら‥‥何だかすごく恥ずかしいじゃないの、私ったら。

それに電話の相手は一体誰? れいさんって聞こえたけど、女性? わからない‥‥もう少し別のやり方を考えないと。

陽菜はスッと立ち上がって台所へ向かった。



※※※



「ただいま」

「おかえり、ひな‥‥大丈夫だったか? 何もされていないか?」

怜が慌てた様子で玄関に来た。

「大丈夫、怜さんの言われた通りにして部屋から出たから‥‥ごめんなさい。僕も酔い潰れた時に怜さんにお世話になったから、しんどそうな人を放っておけなくて‥‥」

「何もないなら良かったよ」

ひなは鈍感だから(そこが可愛いのだが)、酔い潰れたとはいえ女性に部屋に誘われることがどういうことなのか、分かってないのか‥‥女性というか、男性にも好かれたことがあるから男女問わず気をつけてもらわないと‥‥


ソファに座っていると怜が温かいお茶を持って来てくれた。

「おかしいな。いつも通り女性のタイプ聞かれたら分からないフリをして乗り切っていたのに、陽菜さんはあれからも僕のことすごい褒めてくれるし‥‥距離は近かったかも」

「陽菜さんというのがその新人か。そうだな‥‥そういう子にははっきり言わないと分かってもらえないかもしれないな‥‥」

「はっきりって‥‥自分が好きなのは男性ですってこと?」

「普通に恋人がいます、でいいんじゃないか? 彼女がいないっていうと期待させてしまうからな」


「僕‥‥前は『大切な人がいるって言うんだ』なんて言ってたけど、何だか会社で言うのが恥ずかしくて」

「ハラスメントという言葉もあるぐらいだから、そういう話は遠慮する人が多い気がするけどな。陽菜さんは‥‥ひなのこと本気だから積極的に振る舞っているのかもな。とにかくひなは‥‥俺以外の人と部屋で2人にならないように気をつけた方がいい。お前は本当に可愛いくて襲いたくなる」


日向が顔を赤らめる。

「怜さん‥‥」

「ひな‥‥」

怜が日向に優しくキスをした。

「僕ってそんなに‥‥襲われやすそう?」

「お前は自分がどれだけ魅力的か分かってないな‥‥真面目で素直で優しくて、他に良いところ挙げたらキリがないぞ?」

「そうなんだ‥‥そう思ってくれるの怜さんだけかと思ってた‥‥気をつけるよ」



※※※



そして数日経ったある日のこと。陽菜が日向に話しかける。

「日向さん‥‥実は相談したいことがあって、お昼休みにご一緒してよろしいですか?」

「うん、いいよ」

お昼休みにランチに行こうとした日向であるが、

「あの‥‥私今日はお弁当持ってきたんです。節約しようと思って」

「そうなんだ、じゃあ僕はコンビニで何か買ってくるよ」

「大丈夫です! 日向さんの分もありますので」

「え?」


結局休憩スペースに陽菜と一緒に来た日向。

「この前は家まで送っていただき、ありがとうございます。実はおかず作り過ぎちゃって‥‥日向さんへのお礼の意味も込めて、持って来ちゃいました」

陽菜は日向の前に弁当箱を置く。1人用の弁当箱にお箸付き。まさか‥‥自分のために?

「あの‥‥こういうの申し訳ないんだけど」

「遠慮せずに食べてください♪ 私こう見えて料理好きなので」


蓋を開けると色とりどりのおかずがたくさん入っていた。

「うわぁ‥‥美味しそう」と日向が言う。

せっかく作ってくれたのでいただくことにした。

「陽菜さん、料理上手だね。美味しいよ」

「日向さんのこと考えてたら作りたくなっちゃって‥‥いつもお世話になってるし」

陽菜は料理が得意。また古典的かもしれないけれど胃袋を掴む作戦で、日向さんを振り向かせて見せるわ‥‥! 


そして日向に相談に乗ってもらった後に、ハッと陽菜が気づく。

「いけない、この後ミーティングだった! 準備してきます! 日向さん、ごゆっくり」

陽菜が去って行った。何だか慌しかったなぁ‥‥と思いながら日向が気づく。お弁当箱を洗って返さなきゃ。

そこに日向の同僚がやって来る。

「さっきから見てたけど陽菜さんって可愛いよな、日向とお似合いなんじゃない?」

「え‥‥やめてよ、そういう話は‥‥」

「お弁当まで作ってもらっちゃって‥‥フフ」


お弁当箱を渡したままにしたのはもちろん陽菜の作戦である。あの「れいさん」という人が誰なのかわからないけど一緒に住んでいるとしたら、日向さんにはお弁当を作ってくれる人がいるのよっていうアピール(マウントともいう?)になる。さて‥‥何か変化あるかしら?



そして日向が家に帰宅した。

「怜さん‥‥これ‥‥」

「弁当箱じゃないか」

「陽菜さんがどうぞって‥‥相談があるからって言われて昼休みに呼び出されて、休憩スペースに行ったら出されてしまって」

「そうか‥‥ひな、明らかに陽菜さんはお前に気がある」

「何で僕なんだろう‥‥陽菜さん、他の男の人にも好かれてそうなのに」


「教育係としてのひなを尊敬しているんだろうな。だが‥‥ここまでされたら俺も負けてられないな。ひなは俺が守る」

「怜さん‥‥!」

日向は怜に抱きついた。


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