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【改稿中】バーテンダーのおじさんは僕の初恋  作者: 紅夜チャンプル
4. 社会人編 〜ふたりのこれから〜
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自分としたことが

日向が新人の教育係に。新人は日向を慕っているようで‥‥

僕としたことが。

昨日、怜さんと女の人と子どもが公園で遊んでいるのを見て、「怜さんは子どもが欲しかったんじゃないか」なんて思ってしまったが‥‥いるじゃないか。(しょう)くんが。


翔は日向と同い年。怜は一度子どもができて結婚したものの、翔が生まれてすぐに離婚した。当時は何も分からなかった怜だったが、女性を好きになれないことに気づいたのだ。20年の時を経て翔と再会したが、最近はあまり会う機会もない。


昨日の僕ったら、何を考えていたんだろう? 自分が子どもの頃寂しかったからって、勝手に被害妄想にとらわれてしまった。僕の悪い癖だ‥‥怜さんに心配をかけてしまった。

もっと冷静に、落ち着いて判断できる大人の男性になりたい‥‥こんなことで悩んでいる場合じゃない。3年目の僕‥‥頑張る!


そんなわけで、今日は新入社員の研修が終わり各部署に配属される日。日向はおもちゃ等を販売するエンターテイメント業界の会社の企画部署にいる。

日向の下に新入社員の女性がつくこととなった。名前は陽菜(はるな)

「よろしくお願いします、日向さん」

「こちらこそ、陽菜さん」


新人には入社5年目以降の上司はいるものの、入社3年目からOJTの練習を兼ねて基本的なことを新人に教えていく。

「とても分かりやすい説明をありがとうございます! 日向さんって頼りになります!」

「あ‥‥ありがとう」

僕が頼りになる? いつも怜さんを頼りにしていたのに、こんな僕でも成長できたのだろうか。少し照れてしまう。


「うふふ‥‥日向さんってうちのおもちゃのこのキャラクターに似ています!」

「え? これって‥‥」

可愛いクマのキャラクターである。

「ちょっと‥‥陽菜さん。クマに似てるって‥‥ハハ‥‥」

「私も子どもに喜んでもらえるようなおもちゃを作りたくて‥‥緊張していたのですが、日向さんみたいな方で良かった!」


にこっと笑う陽菜を見て日向は自分の年の離れた妹のことを思い出した。そういえば妹に雰囲気が似ているような気がする。

「そういう陽菜さんは、僕の妹にちょっと似ているかも」

「へぇ‥‥日向さん、妹さんがいらっしゃるのですね! 妹さんが羨ましいです‥‥こんなに優しいお兄さんがいて」

「いや‥‥優しいだなんて」


陽菜さん、めちゃくちゃ褒めてくれるんだけど‥‥新人にとっては3年目って慣れているように見えるのかも。

「日向さん! お昼、ご一緒しましょ!」

陽菜に誘われてランチに行くことになった。最近の新人は先輩に対しても積極的だな‥‥と日向は思った。(自分もつい最近まで新人だったのに)


午後からも日向と陽菜は一緒に仕事を進め、定時となった。

1人でやるよりもスムーズに進んだな‥‥陽菜さん、優秀だ。僕の1年目、情けなかったもんな。毎日怜さんに泣きついてたような気がする。そうだ、怜さん‥‥今日は早く帰って怜さんに昨日のことを謝らないと。


「お疲れ様です!」そう言って日向は急いで会社を後にした。

「日向さん‥‥」と陽菜が呟く。可愛い顔立ちだけど、頼りになるし優しいし‥‥好きになっちゃいそう。けれど、あの感じはこれからデートかしら? そうよね、あんなに可愛いかったら彼女がいそう。



※※※



「ただいまっ」

慌てた様子で日向が帰って来た。

「おかえり、ひな」

「怜さん‥‥!」

日向が勢いよく怜に飛びついた。

「ひな?」

「昨日は心配かけてごめんなさい、僕少し疲れていたみたいで、変なこと考えてしまって。でももう大丈夫だから‥‥」

「そうか‥‥それなら良かった。何かあったらいつでも言うんだぞ?」

「うん」


夕食後、ソファで日向が話す。

「今日から僕に新人さんがついたんだ! 陽菜さんっていってね‥‥何だか妹に雰囲気が似てて」

「おう、そうか」

「それで‥‥僕褒められちゃった。頼りになるって。優しいお兄さんがいる妹さんが羨ましいって‥‥こんなに褒められたの初めてだよ‥‥ランチも誘われちゃって一緒に行ったんだ」

「すごいじゃないか‥‥」

と怜は言いつつ、配属初日で先輩に対してそこまで言うものなのか? と疑問に思っていた。ひなは‥‥自分がどれだけ魅力的かがわかっていない。これまでもひなを好きになった人はいたが、はっきり好きだと言われない限り‥‥ひなは気づかない。そしていきなり先輩をランチに誘うか? その新人‥‥ひなに気があるのでは。


「緊張してたって言ってたけど、教育係が僕で良かったとか言われちゃって‥‥恥ずかしいや」

いや、本当に緊張していたらそこまで喋らないし、ランチに誘うわけがない。だが‥‥せっかくひなが自信を持っているのに俺が何か言うのも‥‥

「そうか‥‥ひなは‥‥みんなに好かれているな」とふんわりした言い方をしてみた。

「そうかなぁ‥‥あ、怜さんの方はどう? アルバイトのお母さん、優秀なんだっけ?」

「そうだな‥‥息子くんも可愛いし」

「へぇ‥‥それで公園で遊んでたの?」


怜がハッとなった。

「ひな‥‥見ていたのか?」

「うん。3人で楽しそうにしているなって‥‥あ、用事があったから少ししか見ていないんだけど」


俺としたことが。

ひなはもしかして‥‥それを見て元気がなかったんじゃ‥‥

「あの子は翼くんていってな。前に転んでしまって、うちの店で手当をしたことがあって‥‥それがきっかけなのか分からないが‥‥俺に懐いてくれて」

「ふぅん、そうだったんだ」


怜さんは優しいんだから‥‥初めて会った時に僕のことも店に連れて行ってくれた。困った時にそうされると、みんな怜さんのことを好きになっちゃうんだから‥‥怜さんは自分がどれだけ素敵で格好良いのかが分かっていない。

翼くんが可愛いのは分かるけど‥‥あのお母さんが怜さんを見ていた様子はまるで‥‥いや、そんなことない。また負のループに巻き込まれないようにしなきゃ。


「怜さんも‥‥みんなに好かれているんだね」とふわっとした言い方をしてみた。

「そうか?」

「そうだよ‥‥僕だって‥‥初めて会ったあの時から怜さんのこと‥‥気になっていたよ? 怜さんに助けてもらった翼くんもそのお母さんも‥‥怜さんのこと気になってたりして」

「フフ‥‥まさか。そう言うひなだって‥‥その新人さんがひなのこと、気にかけているかもしれないぞ? 俺だって初めて会った時からお前のこと‥‥可愛いと思ってたんだから」


「え? いやいや‥‥僕はそこまで大した人間じゃないよ‥‥それに僕、クマのキャラクターに似てるって言われたんだよ? きっと男らしくないってことだよ。今だって怜さんがいないと生きていけないもん」

日向が怜の肩に頭を乗せた。

「ひな‥‥」

「怜さん‥‥」

キスをして日向が怜の腕の中にすっぽりとおさまっている。


一見、仲の良い2人に戻ったようであるが‥‥

怜さんとあのお母さん‥‥何ともありませんように、と思う日向。

ひなとあの新人‥‥何ともありませんように、と思う怜。

お互い不安はあるものの‥‥今はソファで過ごす時間が愛おしくて、再び唇を重ねる2人であった。



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