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【改稿中】バーテンダーのおじさんは僕の初恋  作者: 紅夜チャンプル
3. 翔と拓海、そして凪のストーリー編
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どんな時でも一緒にいること

みんなが怜のことを心配している様子。そんな中、凪と日向は年の差恋愛について話をします。

「わかったよ父さん、お大事にね。何かあれば言って」

翔が怜と電話をしていた。

胃潰瘍か‥‥元気そうだったけど苦労していたのか。

「大丈夫なのか?」と拓海も心配している。

「1週間ぐらいの入院が必要だけど、そこまで心配いらないって。だけど食欲はあまりないみたい」

「食べられないのは辛いよな‥‥」


大学で亜里沙にも怜のことを話した日向。

「胃潰瘍って入院するの? 大変ね‥‥」

「僕‥‥怜さんのこと応援してるとは言ったんだけど、不安だよ‥‥」

きっと怜さん自身が一番辛い。だけど自分も辛くて亜里沙につい話してしまう。

「それは不安になるわよ、今は家にいるの?」

「うん、お店も休んでいて入院前の検査もあるみたい」

「そっか‥‥日向もしんどくなったら駄目だからね。色々やろうとしているんでしょう? 無理しないで」

「うん、ありがとう」

バーに怜はいないものの、残りのメンバーで対応されている。怜がしばらく休むことになったこともあり、常連客は少なくなってきている。


「ただいま。怜さん」

「おかえり、ひな」

バーではなくて家で過ごす時間が増えた2人。怜のことは心配だが‥‥こうやって家でゆっくり過ごすのも悪くないなと思う日向である。


ピンポーン

広樹と凪が来てくれた。

「これ、作ってきました」

凪がおかずの入ったタッパーを持って来てくれた。

「すごい‥‥これ凪くんが?」日向も驚く。

「消化に良さそうなものを中心に持ってきました。お口に合えばいいのですが」

「怜、これめちゃくちゃ美味いから」と広樹が言う。


「ありがとう、凪くん‥‥君も忙しいだろうに」と怜。

「いえ、一度に作った方が早いので。ヒロさんから聞きました‥‥お大事にしてください」

「俺も健康に気をつけろってことで‥‥凪が時々作ってくれるんだ」と広樹。

「そうだったのか、俺達の分までありがとな」

「怜さん、これは怜さん用だから‥‥」と日向が遠慮している。

「日向くんの分もあるけど、僕達はもうちょっとガッツリ食べたいよね」と凪。

「若者が羨ましいな、ハハ‥‥」と広樹が呟いていた。



※※※



ある日、凪から日向に連絡があり2人で会う約束をした。

ファミレスでドリンクバーを注文して日向がオレンジジュースを飲んでいる。

「日向くん、オレンジジュース似合うよね」と凪に言われる。

「それ前に怜さんにも言われた‥‥お酒飲めないから仕方ないんだけど」


「日向くんは就活の準備、進んでる?」

「うん‥‥まだ絞り込めてないんだけど」

「僕、ヒロさんにいつも甘えてたんだけど、もうすぐ社会人になるなら少しはしっかりしないとって思って‥‥」

「そうなんだ、それもそうか‥‥」

「日向くんは怜さんと1年ぐらいだろ? その‥‥うまくいく秘訣とかあるのかなって思って」


日向がこの1年を思い出す。ほぼ怜に頼りっきりであったような気がする。

「2年生だったのもあるかもしれないけど‥‥怜さんの優しさに甘えてここまで来ちゃった」

「フフ‥‥やっぱりそうなんだ」

「やっぱりって‥‥凪くんたら」

「まぁ、年離れてたらそうなるよね」

「うん。だけど、怜さんがもうすぐ入院することになったし、僕も怜さんの役に立てるならとは思ってる。一緒に住んでいる家族みたいなものだから」


「家族か‥‥」

家族という響きを聞くと、今後のことを考えてしまうが‥‥まずは就活である。

「よくさぁ、大学から付き合ってそのまま結婚する人いるじゃん、そういう人達っていつ頃から考え出すんだろう。家族になるってこと」と凪が言う。


「仕事が軌道に乗ってからとかじゃない? それか大学の時からかも」

「大学の時から‥‥」

「凪くんはどうしたいの? ヒロさんとのこと」

「もちろん一緒にいたい。ただ向こうは気を遣ってそう。これから僕にはまだ出会いがあるんじゃないかって思ってる」

「怜さんもそうだったよ」

年の差恋愛とはそういうものである。わかってはいたが、自分達はさらに同性カップルということもあり、色々と考えてしまいそうだ。


凪が話し出す。

「実は僕は女子が苦手で‥‥付き合ってもうまくいかなかったんだ」

「そうなんだ、凪くん女子に慣れてそうなのに」

「気が利かないし、頼りないって言われるし‥‥」

「あんなにおかず作って持って来てくれるのに?」

「あれは‥‥ヒロさんだから。ヒロさんが好きだから、体調が心配になって作ったんだ。今まで誰かに料理を振る舞ったことなんて‥‥実家の家族ぐらいだよ」

「へぇ‥‥」


「ヒロさんに出逢えて気づいた。僕はああいう人が良かったんだ。誰かに頼りたかったし甘えたかった。男性を好きになったの、初めてだったんだけど‥‥それまで女子と付き合うのが普通だと思ってたから」

「周り見たら、みんな男女だもんね。僕も最初はよく分からなかったけど、怜さんのこと、好きな気持ちに嘘はないから。これからのことも気になるけど、それよりも‥‥」


「それよりも?」

「今、怜さんとの時間を大切にしたい」

「日向くん‥‥」

「今、怜さんが苦しんでいるなら、側についていたい。怜さんが元気になったら、また一緒に出かけたい。まだまだ話したいことだっていっぱいあるんだから‥‥」

そう言う日向の目は真剣そのもの。

凪も今は広樹と一緒にいたいと思っていたが、懸念していることだってある。年も離れており広樹のことを理解できるかがわからない、そして広樹にも気を遣われてしまう。


それでもシンプルに「怜さんとの時間を大切にしたい」という日向の言葉は、凪には十分響いたようだ。怜と過ごしてきた1年間の想いを感じる。日向は単に怜に甘えているだけではない、どんな時でも怜と一緒にいるという‥‥覚悟のようなものがありそうだ。

「僕も‥‥ヒロさんの力になりたい」と凪。

「え? あんなに美味しいごはんを作ってくれてるんだもの。絶対ヒロさん心強いよ。僕だって怜さんの作るごはんが好きだから」

「うん‥‥そうだね。ありがとう、日向くん」


「ところでさ‥‥」

日向が凪をじっと見て言う。

「僕にでもできる簡単な料理ってある?」

「え? ああ‥‥そうだな‥‥怜さんのために?」

「それもあるけど‥‥これまで怜さんに頼りっぱなしだったから、最低限はと思って」


凪が考えている。

「まずは無理しないことかな‥‥今は100均で便利な調理グッズが売ってるよ。僕も使うことあるし。これから就活で忙しくなるだろうから‥‥そういったグッズからというのはどうかな」

「なるほど‥‥」

「あとは‥‥このサイトとか、初心者向けかつレンジのみのレシピとか‥‥忙しい人用のものが載っているかな」

「おお‥‥これいいね」


「フフ‥‥」と凪が笑う。

「凪くん、どうしたの?」

「何か花嫁修行でもする人みたい」

「ええ? ちょっと凪くん!」と日向は言うものの、少しドキドキしている自分にも気づく。


「ごめん、一生懸命な日向くんを見ていたら、本当に怜さんのこと考えているんだなと思ったからさ」

「そうだよ、いつも考えてる。9割怜さん、残りは就活」

「ハハッ‥‥就活の割合少なすぎ」

「あ‥‥確かに1割は少ないね。じゃあ2割」

「大して変わってないし」


そして凪に付き添ってもらって100均で調理グッズを買ってみた。少しでもいい、出来るところから怜さんに‥‥

「ただいま、怜さん」

「おかえり、ひな‥‥ん? 何だそれは」

怜が100均の袋を見ている。

「僕でもできる調理グッズ‥‥買ってきた」

「え‥‥ひな、まさか俺のために?」

「うん‥‥だけどこれから僕も簡単な料理はできるようになりたいから、少しずつ頑張りたい。凪くんに教えてもらったよ。いいサイトがあるって」


「‥‥こんな俺のために‥‥悪いな」

「ううん、僕は怜さんの辛さが少しでもマシになるなら、出来ることはやりたいから。今日これで何か簡単なやつできるかな? えーと‥‥」

日向がスマホでレシピを見ていると後ろから怜に抱きつかれた。

「‥‥怜さん‥‥これじゃ集中できないよ‥‥」

「どんなレシピかなと思って」

怜の顔が自分のすぐ隣にあったので、日向はドキッとする。やっぱり怜さんが僕の心の9割を超えそう‥‥

「怜さん‥‥」

「ん?」

「もう少しこのままでいてもいい?」

「‥‥いいよ、ひな」




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