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【改稿中】バーテンダーのおじさんは僕の初恋  作者: 紅夜チャンプル
3. 翔と拓海、そして凪のストーリー編
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応援しているよ

何かと体調のことが気になる怜と広樹。2人で健康管理の話をします。そして日向は怜を、凪は広樹を‥‥

「いらっしゃいませ」

今日は広樹が1人でバーへ来た。

「よお、怜」

「いらっしゃい、ヒロ」

メニューを見せる怜に広樹が話し出す。

「この前さ、健康診断の結果が出て‥‥気になってた数値が大して下がってなかったんだ」

「そうか、通院しているんだっけな」

「ああ、やっぱり生活習慣を変えないとってやつかな。食事とか」

「なかなかすぐには難しいよな」


「怜は健康診断受けているか? 大事だぞ?」

「今年はまだだったな‥‥」

正月に健康第一という目標を立てたものの、特に何かに気をつけているわけではない。そういえば‥‥

「最近胃の調子が良くないな」と怜。

「おっと‥‥胃が痛いのは辛いな」

「食べた後ちょっと痛むかもしれない‥‥」

「それ、診てもらった方がいいんじゃないか?」


「胃薬は飲んでいるのだが‥‥そうだな、店に立てなくなったら行くか」

「いや、もう少し早くてもいいと思うぞ?」

「うーん‥‥」

「日向くんは知ってるのか?」

「いや、知らない‥‥ひなも就職活動が始まるから」

「わかるよ、迷惑はかけたくないよな。俺もこの前、凪に持病の話はした。俺で本当にいいのかと思ってたんだが‥‥一緒にいたいと言ってくれてな」

「それは良かった」

「だから、あの日向くんなら‥‥伝えてもいいんじゃないか? 怜だって日向くんの胃の調子が悪かったら知らせて欲しいだろう?」

「それはそうだが‥‥」


あれだけ年が離れていたら‥‥自分のせいで彼に負担がかかることもありそうだ。今は大丈夫でも‥‥将来のことを考えると不安になるものである。

何があっても側にいるのが夫婦だとして、果たして日向は自分のことを‥‥どう思っているのだろうか。

「お互い、健康には気をつけなければな」

広樹が怜に言った。



※※※



‥‥今日ヒロさんの家に行ってもいい?

凪からメールが届いた。バーで待ち合わせではなく、広樹の家に直接行きたいという。

そして広樹が家に帰ってすぐに凪が来てくれた。

「ヒロさん、これ‥‥」

凪は数種類のおかずをタッパーに入れて持って来てくれた。

「これ‥‥凪が作ったのか?」

「うん‥‥ヒロさんの食生活聞いてるとちょっと心配になっちゃって」

「そんな‥‥こんなにたくさん大変だろう?」

「大丈夫だよ、僕こういうの慣れているから。それよりもヒロさんに健康でいて欲しいし。あと、バーは控えめにするかアルコールなしの方がいいかも」


「凪‥‥ありがとう」

「晩、食べた?」

「いや、まだだ」

「じゃあ‥‥食べて欲しいな」

広樹は凪の作った煮物を食べてみた。あっさりしていて優しくて美味しい‥‥

「めちゃくちゃ美味いよ」

「本当? 嬉しいな」

こんなに料理上手なのに凪のどこが「期待外れ」なのだろう。そう言われていたのが信じられない。広樹にとっては期待以上のそのまた上である。


「ヒロさん‥‥」

「ん?」

「今日泊まっていってもいい?」

「いいよ」

凪が喜んでいる。

可愛い凪と美味しいおかず‥‥俺、こんなに恵まれていて良いのか?

「そうだヒロさん、ちょっと相談なんだけど」

そう言って凪は就活の話をする。

色々と考えていて偉いと思う広樹。さっきから‥‥凪のことを褒めてばかりだな。


「ヒロさん、そんなに褒めてくれるなんて。みんな普通に就活のことぐらい考えるよ」

「まぁ、そうだけど‥‥」

「でも嬉しいからいっか」

あ‥‥その笑顔がまた可愛い‥‥

そう思って広樹は凪を抱き寄せる。

「ふふ‥‥ヒロさん‥‥」

「凪‥‥」

今日もたくさん甘えられるかな‥‥そう思いながら広樹に抱かれて幸せそうな顔をする凪であった。



※※※



「はぁ‥‥」

やはり怜の胃の調子は良くないようだ。結局、内視鏡検査を行うことになった。

「怜さん‥‥」

食欲のない怜を見て、日向が心配している。

「ひな、お前は就活も控えているんだから‥‥俺のことは気にせずにな」

「怜さん、就活はあるけど‥‥僕でも出来ることがあったら言って」

「じゃあ‥‥」

「‥‥」

「‥‥抱き締めてもいいか?」


日向はバーの2階で怜に初めてそう言われたことを思い出す。もう1年以上経つけれど、あの時の幸せだった気持ちはずっと忘れられない。

「怜さん‥‥怜さん‥‥」

「‥‥何で泣いてるんだよ‥‥ひな」

「だって‥‥思い出しちゃったんだもの」

「フフ‥‥悪い夢でも見たのか?」

「違うよ、初めて怜さんが‥‥」



初めて怜さんがキスしてくれたこと‥‥



「初めてって‥‥あの時か‥‥」

お互い初々しさが残っていたあの頃。

今ではもっと好きだしもっと一緒にいたいしもっと‥‥もっと‥‥

日向が怜の顔を見つめる。

「怜さん、僕は怜さんの一番近くにいるから‥‥絶対離れないから‥‥」

「ひな‥‥」

その日のキスは、初めてのキスと同じぐらい温かくて濃厚で、少し懐かしい味がした。日向が怜の背中に手を回してゆっくりさすっている。

「ありがとう、ひな‥‥」



※※※



そして怜の内視鏡検査の結果は‥‥

「胃潰瘍だった。入院が必要になる」

「え‥‥胃潰瘍‥‥ストレス‥‥?」と日向が言う。

「よくわからないが‥‥1週間か2週間ぐらいの入院だ」

「怜さん‥‥」

胃潰瘍で入院って相当酷いんじゃ‥‥日向は不安でいっぱいになり泣き出しそうになったが、必死で抑える。

「僕、応援しているよ。怜さんなら大丈夫」

日向が怜に抱きついている。

「そうだな。しっかり治してくるよ」と怜が言って日向の髪を撫でていた。


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