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【改稿中】バーテンダーのおじさんは僕の初恋  作者: 紅夜チャンプル
3. 翔と拓海、そして凪のストーリー編
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ご褒美

広樹の部屋で凪は広樹に接近します。そしてバーでは仲良さそうな広樹と凪を見て、拓海も思うところがあるようで‥‥

広樹の家に来た凪。

「すごい‥‥お洒落‥‥」

モノトーンで綺麗に整頓されたお洒落な部屋。家具のセンスも良く、まるでどこかのモデルルームのよう。だけど生活感はあって、いつもの広樹が纏っているあのいい香りがするような‥‥心地よい部屋であった。


「まぁ座って。ゆっくりしていってな」

そう言われて凪は黒いソファに座る。よく分からないけど、このソファもすごくいいブランド物のような気がする‥‥

そしてお茶をいただいて休憩した後、凪が言う。

「ヒロさん‥‥今日のシャツにこのズボン合わせるといいのかな?」

「そうだな」

「じゃあ履いてみる」


凪が目の前で着替えるので、広樹はちょっと目を逸らして別の方を向いていた。同じ男性なのに恥ずかしいのは何故だろうか‥‥

「ヒロさん、どう?」

「おお、似合うな。そのボトムスにこのシャツも合うから」と今日買ったシャツも取り出す。

「じゃあ上のシャツをこれに変えたらいいんだね‥‥ヒロさん‥‥手伝ってほしいな‥‥」


「ええ?」と広樹が驚く。

自分で着れるだろうとは思ったがこれは‥‥本当に着せ替え人形になりたいっていう表情のような気が‥‥

「じゃあ‥‥はい、それ脱いで‥‥」

シャツを脱がせるなんて、はたから見れば恋人同士がこれからそうする、ということではないか。色白で綺麗な腕が見え、少し触れるだけで気持ちが抑えられなくなる。

インナーはそのままで、その上から今日買ったシャツを着せるはずなのに進まない。むしろ全て脱がせてしまいたい。


「俺、どうしたんだろうな‥‥着替えを手伝うつもりが‥‥」と広樹が戸惑う。そんな広樹を見て凪は、

「いいよ、ヒロさん‥‥そのために来たんだから」と言った。しかも万歳をして待っている。なので、ゆっくりとインナーを脱がせると凪が、

「ヒロさん‥‥」と言いながら抱きついてきた。すべすべの肌‥‥愛おしい‥‥その心地良さに触れながら‥‥広樹は凪と唇を重ねた。そして凪の綺麗な顔立ちがさらに綺麗に見えて、広樹は夢中で凪にキスを繰り返した。


凪は頬を赤らめ、瞳を潤ませながら言う。

「ひ‥‥ヒロさん‥‥好き」

「凪くん‥‥俺も‥‥好きだよ」

「ねぇ、凪って呼んで‥‥僕のこと」

「それじゃあ‥‥凪‥‥」


呼び捨てにされたのが嬉しかったようで、凪が広樹にまた笑顔を向ける。こんな至近距離でこの笑顔‥‥広樹は再び凪の唇を塞ぐ。凪は幸せそうな表情になり、2人はそのまま身体を重ねるのであった。



※※※



数日後、

「いらっしゃいませ」という声とともに凪が広樹と腕を組んでやって来た。

先に来ていた拓海が驚く。広樹と腕を組んでいる上に、凪の服のトーンが明るいものとなっており洗練されたファッションである。


「おい‥‥凪‥‥まさかヒロさんと‥‥?」

「‥‥そういうことだよ」

「早くないか‥‥?」

「そうかな? だって好きになったんだから仕方ないだろう? 僕から見れば‥‥拓海が遅すぎると思うけど」

「‥‥どうすればそうなるんだよ」

拓海が少し羨ましそうに見ている。


「簡単なことだよ。好きですっていうオーラを出しておけばいいんだから」

「そんなに簡単にできれば苦労しないって‥‥」

「今日は翔くんはいないんだね」

「ああ、1人でボーッとしたい時にもここに来るんだよ」

「それでも翔くん誘いなって」

「そう言われても‥‥」


そして怜も、広樹と凪は両想いかもしれないとは思っていたものの、本当に付き合うことになったと聞いてやはり驚いていた。

「おい怜、お前だって日向くんがいるじゃないか」と広樹。

「まぁそうだが‥‥ショッピングモール、楽しめたか?」

「そりゃあもう‥‥楽しかったさ。そこでその‥‥色々あってな、付き合うことになった」

凪が隣で嬉しそうに広樹を見つめている。


「お幸せにな。凪くん、困ったことがあれば俺からヒロに言うから」

「はい!」

「おい凪、返事良すぎないか?」と広樹が言うが、凪がニコニコしていたので‥‥可愛いから許してしまった。



そして、

「いらっしゃいませ」という声とともに日向も来た。すぐに凪のファッションに気づいた日向。

「わぁー凪くんお洒落‥‥ショッピングモール行ってきたの?」

「うん、ヒロさんが‥‥選んでくれたんだ。日向くんは映画楽しかった?」

「楽しかったよ、面白くてあっという間に時間が過ぎちゃった、ね、怜さん♪」

「ああ、そうだな」


凪のお洒落なファッションに気づいた日向であったが、日向も怜にプレゼントされたシャツを着ていた。

「あ‥‥それは‥‥うちのブランドだね?」広樹が気づく。

「怜さんがプレゼントしてくれたんだ‥‥」

「似合っているよ、日向くん」と凪も言う。


「凪くんは‥‥全身ヒロさんにコーディネートしてもらったの?」と日向が尋ねる。

「うん‥‥」凪が少し赤くなっている。広樹に着替えさせてもらう時のことを思い出しているようだ。

「いいなぁ、僕もヒロさんにコーディネートしてもらいたいな」

「え?」 凪と広樹が同時に声をあげる。

「あれ? 僕何かおかしいこと言った?」と日向。


凪と広樹の中ではコーディネートしてもらう→着替えさせてもらう→そしてそのまま‥‥の流れだったので、2人とも恥ずかしそうにしている。もちろんこの2人の間でしかこんなことはしないので、普通に服を選ぶぐらいなら構わなさそうではあるが‥‥少し凪が微妙そうな顔をしている。

「凪‥‥妬いてる?」と広樹が小声で言う。

「‥‥そうかも」と凪。


その様子に気づいた怜が、日向に言う。

「ひな、俺がコーディネートしてやろうか?」

「え‥‥怜さん‥‥何で?」

ひな‥‥やっぱりお前は鈍感だな(でも可愛い)‥‥この2人の仲睦まじい雰囲気を見て、まだ分からないか‥‥

とりあえず、俺のやり方で‥‥

「ひな、ヒロも最近忙しいみたいだからさ、その‥‥代わりにご褒美あげるから」


日向がぱっと笑顔になった。尻尾を振っている犬バージョンのひな、出来た。と思う怜である。

「怜さんのご褒美‥‥? ご褒美‥‥」

「はい、サービス」

ピンク色の甘い香りがする‥‥ローズカクテル(日向専用でノンアルコール)である。


前に怜が日向のために作ったもので「愛している」「抑えきれない理性」という意味があり、甘酸っぱい香りとその意味合いに酔いしれながら‥‥これを飲んだ日には2人でどれだけ愛し合っていたか。

一時期、家でも作っていたものの、これを飲むとお互い「抑えきれない理性」となるようで、確実に寝不足になるためしばらく控えていた。だが、このタイミングで久々のローズカクテルの登場に日向は一気に顔が熱くなっていくのを感じた。


「あれ、日向くん大人しくなったな」と広樹。もう大丈夫だから、と目で合図を送る怜であった。

「怜さん‥‥今日は‥‥そういうこと?」

日向が甘えた表情になる。

「そういうこと」と怜に言われ、日向は嬉しそうにローズカクテルを口にした。甘酸っぱい‥‥怜さんが「お前を愛しているということだ」と言ってくれたのを思い出す‥‥


「へぇ‥‥日向くんはそうなるんだ」と凪が言う。

「分かりやすいな」と拓海。

「拓海だってわかりやすいよ? あ、でも翔くんにはもっとアプローチしないとずっと親友止まりだよ?」

「おい‥‥俺達には俺達のペースってものがあるんだから」

「俺『達』かぁ‥‥まぁいいんじゃない?」


同性愛だなんて無縁だと思ってたのに、翔に対する気持ちはやはりそういうことなのだろうか‥‥そしてこのバーに2組も同性同士のカップルが普通にいる。皆幸せそうだ、羨ましいと思ってしまうのは‥‥自分にもそういう想いがあるからなのだろうか。


凪が話す。

「拓海、僕はこれで良かったって思ってる。ヒロさんと出逢えて、怜さんや日向くんとも知りあえて、ちゃんと自分に向き合うことができた。だから‥‥拓海も素直になりなよ」

「凪‥‥」

素直な日向や凪。それに比べると一緒にいる時間は長いものの、翔への気持ちを伝えられていない自分。だけど「親友」という言葉で出来るだけ長い間、翔の近くにいたいとも思う。


「ま、拓海のペースで頑張れば? 翔くんが誰かに取られないうちにね」と凪。

そう言ったと思えば、広樹に対してはニコニコと笑顔を見せており、「ヒロさん‥‥」と甘えている。

凪って‥‥こんな奴だっけ? 

そう思いながら拓海はカクテルを飲んでふぅと息をついた。



※※※



凪と広樹が仲良く帰っていき、拓海も帰った後、閉店の時間となった。従業員も帰ったが日向が残っている。

「ひな、久々のローズカクテルだったな」

「怜さん‥‥怜さん‥‥」

店の奥で抱き合いながら口付けを交わす2人。すでに日向の顔がほてっている。

「ひな‥‥続きは家で」

「‥‥はーい」


こうして2人も家に帰って行った。

そしていつも通り、プラス甘酸っぱいローズカクテルの味を思い出しながら‥‥2人は一晩中、何度も求め合っていた。

「ローズカクテル‥‥また欲しいな、怜さん‥‥」と言いながら日向は怜と唇を重ねていた。


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