４７：表裏一体
いいことと悪いことは表裏一体。
無人島生活では、いいこともあれば、悪いこともある。
まずいいことは勿論、レイとメイが合流してくれたことだ。
二人はスーパー従者＆侍女であることを、この無人島でも余すことなく証明してくれた。
レイは弓矢、釣りの道具、罠などを自ら作り、そして主に魚や山鳩、イノシシなどを捕らえてくれたのだ。メイはそれらの獲物を見事に捌き、調理してくれる。海水から塩も手に入れ、絶品サバイバル料理も作ってくれた。
さらに洞窟を見つけ、そこを四人で快適な住空間へ変えることにも成功。
火種は絶やさないようにして、洞窟までちゃんと運んだ。
無人島なのに、予想以上に快適に過ごせているのは、この二人のおかげ。
ちなみに私の手錠もレイにより外してもらうことができた。手錠は放置しても、どうせ痩せて外れそうな気はしていたが、邪魔だったので、助かった。
ちなみにレイとメイに負けないぐらい、フレデリックも頑張っている。
彼は植物に詳しく、食べられる草花、果実を見分け、食卓に賑わいを与えてくれた。一方の私は、刺繍が得意だったことを生かし、限りある洋服をアレンジし、丈や裾を調整し、皆の服を用立てたのだ。
これらはとってもいいことだと思う。
その一方で悪いことは……。
天候だ。
明け方と夜にスコールがあるが、それは貴重な飲料水の確保になるから、問題なかった。困っているのはハリケーン！ 立て続けにハリケーンが来たのだ。こうなると魚を釣りに行けないし、果実の採取もできない。レイとメイが持参してくれていた缶詰と、干し肉などでなんとかつないだものの……。本当に困ってしまう。
私達の捜索活動だってハリケーンではできない。
ただ、悪いことの中にも、良かったこともある。それはみんなとじっくり話せたことだ。
特に印象に残り、自分の気持ちと向き合うことになったのは、フレデリックと話した時のこと。
それは偶然だった。
ハリケーンが夜のうちに通過し、久しぶり真夜中に雨風が止んでいた。もはや強風と雨の打ち付ける音が当たり前なので、逆に静かな夜に目が覚めてしまった。するとそれはフレデリックも同じだったようだ。外の様子を見ようと洞窟の入口に行くと、そこにフレデリックがいた。
改めてそこで見たフレデリックは、変わったな、と思う。
無人島生活で体を動かすようになり、時に海や川で魚を採ったり、砂浜を駆け回ることもあった。しかも陽射しもある。それでいて食料はいつも足りず、砂糖なんてもうない。
その結果、フレデリックはもはやぽっちゃり令息ではなくなっていた。元々身長もあったので、今は若干ぽっちゃりぐらいだった。あのたこ焼きを頬張ったかのような、ぷっくりほっぺでもなくなっている。シルバーブロンドの髪は伸び、ワイルドヘアになっていた。髪型の変化も彼の印象を変えたと思う。ナイフはあるので髭は剃っているが、これで顎髭を生やしたら、あのフレデリックだとは分からないかもしれない。
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