22:決定!
リントン王国最大の港町アドルアルゼの観光を満喫し、そして今日。
私はイミルとその側妻たちに見送られ、ホテルを後にした。
イミルが選んだだけあり、側妻の皆様は、素敵な方ばかりだった。もしかしたら本当に、表裏なく仲がいいのかもしれない。でも、それは私が部外者だから。もし正妻である私と出会っていたら、また態度は違っていたかもしれない……。女性というのは、嘘を隠すのが上手だから、怖い!
レイ、メイと共に向かったのは、港だった。
この港からは、近隣の島へ、毎日のように船が出ていた。
リントン王国の領土には、三十四の離島が含まれている。
そのうちの十五の島には、この港から行くことが可能だった。
大小さまざまな島があり、そのすべてが観光客ウェルカム。
そしてどの島もエメラルドグリーンの海に囲まれ、リゾート気分を満喫できる。
よって正直、どこでもよかった。
気持ちが軽やかになっている私は、もうタイミングのあう船があれば、それに乗っていこうー!という気分になっていた。
白の麻のワンピースを着て、白いリボンが飾られたストローハットを被り、ウキウキで港に到着した。せっかく離島に行くのだ。リゾートなのだからと、メイにはレモン色のワンピースを着せ、レイには白シャツにシアン色のベストにズボンという明るい服を着てもらった。
この姿で三人並ぶと、背後のターコイズブルーの海にも映える!
「お嬢様、どちらに乗船されるおつもりですか?」
「そうね。どれがいいかしら……」
メイに問われ、港に停泊している船を眺めていると、ひと際目立つ船がある。いわゆる豪華客船だ。四本も煙突があり、見上げる程の高さ。
「あれは離島に行く船ではないわよね?」
「お嬢様、あの豪華客船は、クリスタルシティ行きです。約一週間の船旅となり、料金も宝石を買える値がするかと」
さすがレイ。恐らく今、この港に停泊している客船については、すべて把握していると思うわ。
それにしてもクリスタルシティ。
外洋を渡った別の大陸に向かう客船だわ。
クリスタルシティは、リントン王国が発見した新大陸にある都市だ。開拓されたばかりの都市で、交易の要にもなっている。新大陸は広大であり、投資している貴族も多く、入植者も止まるところを知らず、増えている――そう、妃教育で学んでいた。
クリスタルシティ。
実際のところは、どんな都市なのだろう。沢山の金山もあり、建築に仕える森林も豊富にあると聞いている。一度ぐらい、見てみてもいいかもしれない。
そんな気持ちでクリスタルシティに向かう豪華客船を見ていると。
驚いた。
まるで攻略対象かと思うほどの、ハンサムな男性を発見してしまった。
シルバーブロンドに珍しいブロンズ色の瞳。
マリンブルーのセットアップを着て、ブルーラベンダー色のマントをはためかせているその姿は、まさにザ・王子様だ。
しかも沢山の護衛の騎士も連れている。
本当に王子様なのかもしれない。
さらに。
あれは……。
度々この港町に着いてから見かけている、高身長ぽっちゃり令息がいる!
三度以上同じことが続いた時。
それは何か意味がある気がしていた。
勿論、これは私のオリジナル・ジンクス。根拠なんて何もない。
その瞬間。
行き先が決定した。
「レイ、メイ、あの船に乗りましょう!」
レイとメイが「「えっ」」と声をあげながら、私を見た。
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本日バレンタインということで、活動報告でちょっとした診断を公開しています。
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気になる方がいたらご覧になってみてください☆彡


























































