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1-1



●1-1



 目が覚めると、見覚えのない天蓋があった。

 コンタクトレンズを外した覚えがない。体は熟睡した後の感じがあるから、目が心配になる。

 起き上がって、覚えのない寝心地の良いベッドから下りて周りを見渡すと、天蓋付のベッドを中央に据えた部屋。海外の歴史建造物のセットのような作りだが、それよりも目が大事だ。


 壁に鏡がかかっていて、そこに近づくと見覚えのない顔が映りこむ。


 自分とは到底なかった色合いと愛らしい顔。

 ザ、日本人であった自分とは縁のない、青い瞳にプラチナブロンド。


「うわっ、可愛いー!」


 思わぬ眼福に歓声をあげると、鏡の中の美少女の口がぱくぱく動く。

 声も可愛い。


 見たことがあるような、ないようなといった顔だ。

 でもとにかく美少女だということだということは、わかる。

 鏡で目を確認するが、コンタクトレンズは入っていなさそうだ。カラーコンタクトももちろん、入っていない天然ものの青色。


「……で、ここはどこ」


 裸足で歩く音も吸収する絨毯の上、行ったり来たり歩いてみる。重厚な造りの扉もあるが、今着ているこれはナイトドレスだと理解しているので、出ることは躊躇われる。

 ひとまずは自分の名前、知識、経歴を思い出すことにする。


 日本で歯科衛生士として働いて、何年経ってもイライラすることがあって、とうとうやっていられるか!となって酒を飲んだ。

 何故かその日はコンビニで買ったお酒を、部屋まで待てずに歩きながら飲み始めてしまった。

 ある気ながら飲酒なんて、地雷系みたいだな、なんて軽く考えていたのがまずかったのか。

 考えたくないが、三缶目を飲みほした位で、帰路の橋から見事に川に転落。


 仕事の知識もあるが、転落したところからその先を思い出そうとすると、何故か今の記憶になる。ナイトドレスの知識も、枕元にある本のタイトルが読めるのも、その記憶が理由らしい。


 扉が開けられ、メイドが入って来る。立ったままベッドの上にある本を読む私を見て小さく声をあげる。

 振り向くと、記憶通り見慣れたメイドが立っている。


「ルイーズ様、どうされましたか?」

「何でもないの。それより今日の日付を教えて?」




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