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災厄

 炎が世界を包んでいた。

 燃える街。

 燃える人々。

 人々の叫びと嘆き。

 喘ぎ苦しむ悲痛な声が耳を。

 死体とのたうちまわる人々が視界を覆う、まさに阿鼻叫喚の地獄絵図であった。


「■■■■■■■■」


 ソレの声は人の声帯を通しているとは思えなかった。


「進めー! かかれー!」


 隊長の指示に、だが兵士達は動けない。

 誰もが腰を抜かし、その魔王よりも強力な威圧感に逃げだし、そして死んだ。

 漆黒の騎士。


 全身を甲冑で、否、正確には顔や腹など、鋼の鎧で覆われていない部分もあるが、ソコはまるで墨を垂らしたように黒く塗りつぶされ、人の肌は確認できない。


 全身に淡い黒光を帯びて、人間の目があるべき場所には鋭い、赤い光が宿っていた。


 ソレが剣を横に一振りする。


 その一撃で兵士達の視界を黒い壁が覆った。


 壁の正体は天まで届く黒炎の津波。



 触れる全て灰塵(かいじん)に変え、炎の波は街の三区画分の土地を焦土に変えた。


「■■■■■■」


 ソレが駆けた。


 過去位置の地面は抉れ、それが通った後は衝撃波で焦土がさらに抉れて大地をズタズタにしていく。


 神速を以って駆けるソレは城門を貫き、触れる兵士を肉塊に変え、壁を破壊して王の間に辿りつくと立ち止る。


「な、なぁ!?」


 腰を抜かし、玉座でもがく王へ歩みよるソレの圧力に耐えきれず、近衛兵はすでに戦意を失い、四つん這いになって逃げ始めている。


 ソレは左手で王の首をつかみ、締めあげる。


「■■■■■■■■■■」





 この日、隣国が謎の巨大爆発を観測。

 次の日、本来堅牢な城が築かれているはずの爆心地に赴いた調査隊が見たのは、村一つ収まるほどの広大な窪地だったと言う。

 

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