第1話 危険なお遊び
どうも初めまして清流丸どす。
今日から1ヶ月、午後六時に連続投稿しますので、ぜひ小腹が空いたらおつまみにっ。
終わらない日常を、いつまでも。
広大な森林の頂上付近。
古臭い木でできた小さな家から、大きな声が漏れていた。
「「じゃんけんぽいっ!」」
俺の手はグーに対し、相手の女はパー、つまり、俺の攻撃だ。
「テイリャァァァァァァァァァァアアアア!!!」
握りしめた拳とは反対の手で手刀の形を取り、真上から寸分違わぬ緻密さで振り下ろされる。
そのスピードは亜光速に到達する速度で、余りにも早い手刀は空気が避ける時間を与えず、漂う酸素や窒素と核融合を引き起こし、通過した空間には真空状態が生まれる。
その暴力的なエネルギーを発しながら振り下ろされる手刀は、的確に彼女の額めがけて放たれていた。
「ホォォォォアチャァァァアアアア!!!」
彼女はギラリとした眼光で俺の手刀を睨みながら、両手を合唱するように受け止めることを試みる。
彼女の手さばきも常軌を逸しており、おなじみの核融合と真空状態はおろか、急速な動きに耐えられなかった衣服の袖が爆散した。
その飛び散った布切れは圧倒的なスピードゆえに鋼鉄を凌ぐ硬度を持ち、壁面に穴を開けて森へ消えていく。
「「ウォォォォォォォォオオオオオ!!!!」」
俺の手刀と彼女の白刃どりが重なった瞬間、相乗されたエネルギーと光速に到達寸前の神速により発生した質量は重力を生み、小さな超新星爆発を引き起こした。
そう、これは、俺と彼女による『叩いてかぶってじゃんけんぽん』の頂上決戦である。
〜〜〜
目を覚ますと目の前にはボロボロの服を着た女がぐったりと倒れていた。俺の方が早く起きたみたいだ。
それを知り俺は両の手を握りしめ、大きく腰あたりでタメを作り、盛大に叫んだ。
「俺の勝ちじゃぁぁぁい」
「ヘケッ...」
情けない声を上げながら、俺の怒号による目覚ましで彼女は目を覚ました。
「く、くそ......また負けたか......」
「これで3戦3勝、もうお前諦めたらどうだ?」
「誰が諦めるか!もう一回......もう一回......!!」
「コルァ!!!」
突然、森の奥から杖をついた、年のいったおじいさんが怒鳴り込んできた。
質量を持つのは相対性理論やらなんやらのうろ覚えの情報を反映。
物理ガチ勢、ツッコミはやめて、泣いちゃう。