第6話 俺とあのこの1週間
《1日目》
なぜかばぁちゃん家を相続し、田舎生活スタートするのかと思いきや、なぜか異世界に転移。
その後巨大触手と目が合って失神。なんやかんやあって、なぜか触手の母になった。
夕飯は具なしインスタントラーメン。
《2日目》
とりあえずばあちゃん家を探索。なぜか
『超初級 料理のさしすせそ』『初めての田舎暮らし 家庭菜園編』『家庭の医学』等々
ご都合主義にも程があるラインナップのばぁちゃん家の本棚に助けられて、試行錯誤で作った昼飯はなんやかんやでやっぱりインスタントラーメンになった。
食糧の備蓄には限りがあるので、自給自足生活の為に午後は森探索に出かける。そこで初めての魔獣に出会って失神。
いや頭3つある大蛇見たら、誰だってビビるだろ!!俺だけじゃない、俺だけじゃないはず。
気を失った俺を介抱しつつ、蛇を仕留めて持って帰ってきたシュウはすごい。
狩られた魔獣を見て、本日2度目の失神。
失神していたせいで時間がなくなったので、夕飯はやっぱりインスタントラーメン。「カアサマノゴハン、オイシイネ」と言ってくれるシュウは天使なのかもしれない。明日こそは米を炊こう。
こっちにきて初めてのお風呂にも入ったけど、ばぁちゃん家は今だに五右衛門風呂だったのでシュウだけでなく、俺もすごい興奮した夜だった。
《3日目》
昨日の森探索での筋肉痛がひどい。
歩くっていうかよじ登る、登山というよりロッククライミング要素の強い探索だったからか、全身疲労がすごい。こんな事になるくらいなら、登山部入っとけばよかった。帰宅部歴何年だよ俺・・・
シュウに白米を食べさせてやりたけど、布団から起き上がることすら出来ない。
そんな情けない親の俺に変わり、今日もシュウは大型魔獣を狩ってきている。しばらく肉には困らなさそうだ。どうやらこの世界でもどんな環境でも逞しく生きる生物というのはいるようだ。
動けないので、今日は一日役立ちそうな本をひたすら読んでいた。
やっと回復したのは夜だったので、やっぱり夕飯はインスタントラーメンだった。いかん。こんな食事ばかりじゃ、成長期のシュウにとってよくない!と思ったけど、バリバリ頭から魔獣を食べているシュウをみていらん心配だったようだ。そうだよな、インスタントラーメンだけじゃ足りないよな。
《4日目》
米が食いたい。肉も食いたい。
人間、窮地に立てばなんとかなるもので、ばぁちゃんが置いていた『初心者用 肉・魚のさばき方』を見ながらさばいていく。ほぼ9割シュウがやったけど。
とりあえず、異世界にきて初めての肉!バーベキューだ!米も炊いた。水入れすぎたのか柔らかすぎたけど。それでもシュウは「オイシイ、オイシイ」と完食してくれた。間違いない、確信した。シュウは天使だ。
異世界生活も案外なんとかなるもんだな。
シュウもシュウで、この家での生活を楽しんでいるようだ。毎日テレビの向こう側のお兄さんお姉さんと一緒に歌ったり踊ったりしている。
《5日目》
食欲が満たされると、今度は居住環境を変えたい。
日中でも、陽がなかなか射さないこの家に陽が欲しい!!
という訳で、自宅上空の草刈りならぬ『葉刈り』を開始する。といっても、巨木を俺が登れるわけもなく、そこはやっぱりシュウが大・活・躍
俺は落ちてくる葉をキャッチする係だったのだが、落ちてくる葉がでかすぎて埋もれて終わった。
刈り取った葉は、ムシャムシャとシュウのおやつになっていた。
俺にとっては久々の、シュウにとっては初めての日光浴。
地面に敷き詰めた葉のベットに二人寝そべり、昼寝した。歌詞があやふやながら、子守唄も聞かせた。
夕飯は、増えすぎたワカメの味噌汁とべちゃべちゃのごはん。そして、焦げすぎの肉野菜炒め。
《6日目》
せっかく陽も射すようになったので、広い庭を有効活用する為にも家庭菜園に乗り出す。
食べないことには森で生きていけないしな。
農家なだけあって、家には農具も肥料も種もそろっている。小松菜・ミニトマト・さつまいもetc.
小松菜・水菜は早く育ちやすいというし楽しみだ。
実験的に、自宅庭以外に森にも植えてみた。日本の土と異世界の土では違いが出てくるのか、単純に興味が湧いたからだ。
シュウは昨日観たアニメの影響で、芽が出るおまじなで腕を上下に上げ下げした後、畑の周りを回りながら「ユメダケド、ユメジャナイ」と唱えていた。
いや、これ小松菜だから。どんぐりじゃないから。
夕飯は取れたて野菜のカレー。本に、『カレーの場合は、固めに米を炊くといい』と書いてあったのでためしたら固すぎた。カレーでふやかしながら流し込んだ。
《7日目》
異世界クオリティすげぇ。
昨日植えたのに、森に植えた作物がもう収穫時期を迎えた。しかもでかい。巨大作物コンテストで間違いなく優勝ねらえるわこれ。
いや、でも大丈夫?これ食べられる??シュウは・・・普通に食べてるな。
意を決して、ミニトマト(普通のトマトより大きいけど)を1つ食べてみる。うまい。俺が知ってるミニトマトじゃないけど。酸っぱくなく、むしろ甘い。甘すぎる。高糖度なんて言葉で片付けられないくらい突き抜けすぎている。成長速度だけでなく、味もこの世界仕様になっているのかもしれない。
この世界の料理食ったことないけど。
せっかく来たのなら、町とかみてみるのもいいかもしれない。情報収集もしたい。
夕飯は、残っていた固すぎる米のチャーハン。
レパートリーを増やす事と、シュウの手を借りずとも森探索できるくらいの脚力を手に入れることが目下俺の目標だ。
基本正午近くまで亘は寝るので、朝食はなし(その間、シュウは魔獣やら草を食べています)
昼食は昨日の残りを使用。
なので、がっつりたくさん作るのは夕食だけ。という設定です。
でも、亘はママですから、この先料理の腕は上げていく予定です。