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食事と魔法について

 3人が池につくとエリフィーレは光を生み出し、アッシュは池を掘り、カイトの体を洗っていた。


 アッシュはその後、木やリンゴが地下に埋まってい無いかを調査をする。


 数日は持ちそうな木材を手に入れた。


「肉の解体ってどうやるんだ?」


 アッシュは肉を持ちながら尋ねる。


「やったことが無いのよね」


「それなら僕がやろう↓」


「どうやって?」


「これだけ水があるんだ、こうして水を刃の形にしてさばけばいい↓」


 そう言ってカイトは手のひらに人差し指ほどの刃を形成した。


「そんな使い方ができるのか……戦闘にも応用できそうだな」


 アッシュはカイトの手元をまじまじと見ながら言う。


「あー、戦闘に応用するにはもっと大きい刃を作る必要があるだろう↓それだけ大きい刃を形成するとそれだけ多量の魔力が体の中を移動するから、それによって体を傷つけてしまうんだ↓」


 カイトは動物の腹を引き裂きながら言う。


「何それ、初めて聞いたんだけど」


 エリフィーレはカイトに食いつく。


「そうなのかい?↓よほど勉強しない王女なんだね↓」


「何よ、その嫌味な言い方。私は勉強してるわ。ただその知識を記した書物が無かっただけよ」


「なんでお互い関係をギスギスさせるようなことを言うんだ」


 アッシュは呆れながら言う。


「それは↓そうだねすまなかった↓」


「ごめん」


「それで、さっきの魔法の話を聞かせてくれ」


 アッシュはカイトにせがむ。


「そうだね↓、要は魔法は↓、魔力という、まぁエネルギーの一種に過ぎないのだけど↓。それは体内で形成され↓、それを体で流して表皮から外に飛び出す際に呪文に応じた魔法となって外に出ていくという理論だ↓」


「待って、でも私の光の玉はどうなのよ?体から離れているじゃない」


「それは光の玉まで不可視のエネルギーが運ばれ↓、そこで光エネルギーに変換されているんだよ↓」


「じゃぁ、生身で強い魔法を使おうとすると、失神してしまうのは魔力が体を壊しているからなのかしら?」


「その通り↓」


「それなら、魔法具を利用すると強い魔法が使えるのは?」


「魔法具を利用すると強大な魔法が利用できるというのは↓、体内の魔法のエネルギーをためておき↓、そしてそれを体を通さずにエネルギーに変換できるからなんだ↓だから戦闘や戦争を行うときには魔法具に集団で魔力をためて利用するんだ↓まぁ一種類の魔法しかつかえないのだが↓」


「ふぅん。ならなんで呪文を唱えると魔法の質が変わるの?」


「さぁ?↓」


「さぁって、何よ。知らないの?」


「本が無かったんだよ↓それに僕はもともと理論の研究より、応用の仕方について研究していたから↓」


「私とおんなじね!」


 エリフィーレは口角を吊り上げ厭味ったらしく笑う。


「なぁ、全然分からなかったんだけど。エネルギーって何?」


 アッシュは二人がまたケンカをしないように話題を変える。


「まぁ、魔法を生み出す元ぐらいに思っておけばいいわ↓」


「うん?全然分からないんだけどさ、まぁしょうがないか。でも話を聞いてる限り呪文を唱えるだけで魔法が使えるなら俺もすぐ使えるようになったりするのか?」


 アッシュは少し鼻息を荒くして言う。


「無理ね」


 エリフィーレはバッサリと切り捨てる。


「なんでさ」


 アッシュは落胆しつつ、エリフィーレに聞く。


「魔法を使えるようになるためには、体の中をめぐる魔力を感じて自由に体の中を移動させることができなくてはいけないのだけれど。それを習得するのに1年はかかるわ。それから、彼の理論どおりであればそのエネルギーを外に出し、そして変換する。他にもあまりに多くの魔法を使うと失神したりして、一日の練習できる上限があったり……まぁ、とにかく無理なのよ」


「そうだな↓」


 アッシュは話を聞いてもさっぱりわからなかったが、彼女の無理という言葉だけは理解できた。


「だが、まぁ魔法を体に流して↓、魔法を使った感覚を理解することはできるけれど↓」


 カイトは肉をきれいに解体し終えてから言う。


「そんなことができるのか?」


「私も聞いたことが無いわね。本当に大丈夫なのかしらそれは」


「大丈夫だ↓やってみるか↓」


 カイトはエリフィーレをウザそうにあしらいながらアッシュに提案する。


「ああ、頼む」


 アッシュは好奇心から快諾した。


「やめときなさいよ」


 エリフィーレはアッシュを心配そうに見ている。


「なら僕の両手を自然に握ってくれ↓」


 カイトはアッシュに向きあいながら言った。


 アッシュは言われるがままその手を掴む。


「3、2、1で行くよ↓」


「分かった」


「じゃぁ、3、2、1」


 そうカイトが言った瞬間アッシュの意識は途切れた。




 アッシュが目を覚ましたのは、エリフィーレが振るえた声で「起きて!」と何度も呼び掛けているためであった。


 エリフィーレはアッシュが目を覚ましたのに気が付くと、「良かった」と呟きアッシュが起き上がるのを手助けしてくれた。


 アッシュはエリフィーレの肩につかまりながら、手足にしびれがあることをエリフィーレに告白した。


 エリフィーレはそれを聞くと向かいに顔を赤くはらして肉を加工していたカイトをひっぱたき「やっぱり大丈夫じゃないじゃない!」と叱責する。


 アッシュはエリフィーレに「そこまでしなくても」となだめた。


「これは治るんだよな?」


 アッシュはカイトに尋ねる。


「当り前だろうう↓そんなことよりご飯にしよう↓」


 アッシュは不安を抱え、カイトのその態度にイラついたが、彼がそのような態度を取れるのは、きっとすぐに良くなると分かっているためだろうと、自分を納得させた。


 その後、カイトのはぎ取った肉を火の上に置いた石で焼き始める。


 手足がしびれるアッシュはエリフィーレに抱えられ火の傍に寄った。


 肉は油が多いようで、熱によって滴り落ちているのが分かる。


 アッシュはその肉を取ろうと木の枝をつかおうとするがうまく取れない。


「大丈夫?」


 エリフィーレは肉を食べながら心配そうにアッシュを見る。


「いや、ちょっと。これ無理だな」


「なら」


 エリフィーレはカイトを睨んだあと、自分が取った肉をアッシュの口元に運んだ。


「ん、食べて」


「ああ、ありがとう」


 アッシュは彼女の親切に感謝し、肉を食べた。


「糞が↓、イチャイチャしやがって↓」


 カイトが2人に悪態をつく。


「はぁ?手足が動かないのはお前のせいだろ」


 アッシュはいら立ちを抑えきれずカイトに反抗する。


 カイトにとってアッシュが怒ったのが初めてであったためか、驚いたような顔をし、黙り込んだ。


 その後食事は黙々とした事務作業のように進んだ。


「俺が一番最初に寝てもいいか?」


 アッシュはおなか一杯に肉を食べるとエリフィーレに確認を取る。


「当り前でしょう。早く治しなさいよ」


 彼女は優しくアッシュを横にし、アッシュの頭を自らの膝のうえに置いた。


 目をつむるとすぐに睡魔によって地下に落ちてから初めての長い休養を得た。

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